そこにはいつもキミがいた! (そこにはいつもキミがいた!)
昭和47年パンダが初来日、「ランラン」と「カンカン」。2頭はこの年、日中国交正常化を祈念して中国から贈られた。歴史の転換点に現れたスターに、日本中が大フィーバー。一般公開の前には徹夜組もいた。公開当日の行列は1km超え、先頭には徹夜で待機していた男性の姿があった。初日は6万人が動物園に殺到、見ることが出来るのはわずか20秒程。パンダの魅力が、日本と中国との心の距離を近づけてくれた。
昭和59年、また動物園に大行列が出来ていた。その目的はコアラ。オーストラリアだけに生息するコアラは、1日のほとんどを木の上で過ごし食べるのユーカリの葉だけ。野生のコアラは1930年代までの乱獲で生息数が激減、保護のためにオーストラリア政府は輸出を禁止してきた。そんな幻の動物の輸出が半世紀ぶりに解禁された。昭和59年10月25日、待ちに待ったコアラ6頭が来日。東京、名古屋、鹿児島の3つの動物園に引き取られた。この年、日経平均株価が市場初めて1万円台を突破し、景気は拡大傾向。バブルの前夜各地でコアラフィーバーが加速する。デパートではコアラのキグルミがお出迎えし、ユーカリの木に抱きつくコアラの振り付けの「コアラ音頭」が。さらに、コアラをモチーフにしたお菓子が誕生したのもこの年のこと。まさにコアラノミクスと言ったところ。それから40年、6頭から始まった日本のコアラは繁殖の成功などもあり、現在は50頭以上になっている。ブームが去っても変わらずみんなに親しまれている。