卵アレルギーでも食べられる卵を

2024年5月21日放送 7:20 - 7:28 NHK総合
NHKニュース おはよう日本 (特集)

食物アレルギーについて。小学校から高校までの子どもの6%余りに食物アレルギーがあり、近年増加しているとされている。中でも原因として最も多いのが鶏卵のアレルギー。全体の3割以上を占めている。卵はパンやケーキなどいろいろな料理に使われる食材。こうした中、卵を食べたいという子どもの願いをかなえるためにアレルギーのある人でも食べられる卵を研究する動きが進んでいる。椋毛智暉くん3歳。母親の絵梨香さんがアレルギーの症状に気付いたのは1歳になる前だった。卵が入ったお菓子を食べると口の周りに発疹が出るようになった。その後、ごく僅かでも卵を口にすると全身にじんましんが出たり、吐いたりするようになり、専門の病院を受診した。検査の結果は重い卵アレルギー。卵を食べると場合によっては命に関わると伝えられた。卵が智暉くんの口に入らないよう買い物や調理の際には入念に表示を確認している。いろいろと食べさせてあげたくても応えることはできない。
卵アレルギーで苦しむ人を減らしたい。大手食品メーカーと広島大学が共同でアレルギーの人でも食べられる卵の研究を進めている。アレルギーの原因は卵に含まれる複数のたんぱく質。ほとんどは十分に加熱すれば食べても症状は出ない。しかし、オボムコイドというたんぱく質は加熱をしてもアレルギーを引き起こす性質がなくならない。卵からオボムコイドを取り除くため研究グループが活用したのはゲノム編集と呼ばれる技術だった。DNAの配列の中から狙った遺伝子の働きを止めることができるゲノム編集。オボムコイドの遺伝子にこの技術を使うことでアレルギーが起きにくい卵になるはず。そして研究を始めてからおよそ10年。オボムコイドを持たない鶏。普通の卵、そして主要なアレルギーを起こす成分がない卵。見た目は全く変わらない。この鶏が産んだ卵にもオボムコイドが含まれていないことが確認された。将来の実用化を見据えてこの卵を使ったメニューの開発も進められている。子どもに人気のプリンもその一つ。開発された卵は通常の卵よりも僅かに固くなりやすい性質があった。
新たに作り出されたこの卵。卵アレルギーの子どもが安全に食べることができるかを確かめる臨床試験が、ことし世界に先駆けて国立病院機構相模原病院で始まった。智暉くんも参加している。使われるのはこちらのパウダー。オボムコイドが含まれない卵を加熱して作られた。卵1個の25分の1の量をコーンスープに混ぜて食べてみる。これまでならアレルギー症状が出ていた量。体調に変化が起きていないか、医師が経過を観察する。卵を食べてから2時間。智暉くんにアレルギー症状は出なかった。臨床試験の代表を務める医師はこの技術が実用化されれば、卵だけでなく、さまざまな食物アレルギーへの新たな対策につながる可能性があると指摘する。臨床試験の今後の予定だが、およそ60人を対象に再来年の春まで続くということ。そして安全性を確認できた場合、食品メーカーではまずは病院などでこの卵を使ったお菓子などを患者に提供できないか検討していきたいとしている。


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