NHKニュース おはよう日本 (特集)
8月6日に被爆から79年となった広島・平和公園には被爆樹木「アオギリ」があり平和の象徴として人々に親しまれてきた。アオギリは爆心地から1.3kmの場所で被爆し約50年前に今の場所に移植された。木野表面には被爆の影響とみられる裂け目が残っている。30年以上このアオギリを見守ってきた樹木医・堀口力(79)は広島市内の被爆樹木159本を診察している。アオギリは年月の経過による衰えがみられ、ワイヤーや支柱で支えられている木もある。13年前に亡くなった被ばく者・沼田鈴子が毎日のように木の前に立ち平和を訴えていた姿から“アオギリの語りべ”と呼ばれていた。当時21歳だった沼田とアオギリの木は同じ場所で被爆した。沼田は建物の下敷きになりその時の傷がもとで左脚を切断、婚約者も戦死した。アオギリの木が沼田の生きる希望になったという。堀口は沼田からアオギリを託されたと感じているという。アオギリの木をまっすぐ植え直す治療のため検査を行い根の発育を促す処置を行った。近くに建てられたG7記念館も木に影響を与えることがわかり、広島市は対策のために建物の壁に黒い遮光ネットを設置した。堀口は「普通のアオギリならもう枯れてしまっているような状況。この木もよく頑張っている。1日も長く生きてくれることが沼田の思いにつながる」と話す。