家族の証言と極秘資料 旧日本軍のタブー 兵士の心の傷

2025年6月6日放送 0:12 - 0:21 TBS
news23 戦後80年プロジェクト つなぐ、つながる

未だに直視できない父の写真。大阪市に住む藤岡美千代さん(66)にとって、父は恐怖の対象でしかなかった。藤岡さんは「普段は暴れてるんですね お酒飲んで子どもを追いかけ回して踏みつけたりこのやろーって投げつけたり」「雨が降ると父が部屋の隅でガタガタガタって震えながら『あいつが殺しに来る』とすごい叫ぶ」「屋根にパタパタパタって音がなると父が『兵隊の足音が聞こえる』と怯える」などと話す。父は戦争のトラウマを抱えていた。藤岡さんの父は20歳で海軍に入った。千島列島・松輪島の航空基地に配属された。再三艦砲射撃にさらされるも生き延び終戦。さらに3年間シベリアで抑留された。藤岡さんが生まれた時は終戦か12年が経過していたが、父のPTSDのような症状は年々悪化していったという。藤岡さんが9歳のときには「混乱して私への性虐待 その瞬間を母が夜中に子どもが心配で見に来た時にみてしまった」という。父のトラウマは藤岡さんにも連鎖していった。父はその後自殺。しかし藤岡さん自身もふとしたことで当時を思い出してパニックになるように。長年口を閉ざしてきた藤岡さんだが、2年前から公の場で語るようになった。きっかけは藤岡さんと同じように、日本兵だった父親との経験で、トラウマを抱えた人たちとの出会いだった。つらい経験を共有することが癒やしに繋がると気づいた藤岡さん。自らが経営する喫茶店で月1回、経験を語り合う会を開催した。そして忘れようとした父のことを理解したいと気持ちが変わってきた。取り寄せた父の軍歴から見つかったのはシベリア抑留中のカルテ。戦時中の様子を知るにつれ、父への思いは変わっていった。実は
実は戦時中、旧日本軍は心に傷を負った兵士はいないとその存在を隠蔽してきた。戦争トラウマの専門家、上智大学の中村江里准教授は「日本の軍隊は天皇の軍隊で世界最強だからそういう兵士はないと存在そのものを隠蔽」と指摘。一方で軍部は、精神疾患にかかった兵士の研究を秘密裏に行っていた。千葉・東金市にある浅井病院の倉庫には、陸軍病院の極秘資料のコピーが残されている。浅井病院の長沼吉宣さんは、戦争後は焼却処分してくれと命令が下ったが、将校たちが忍びないとドラム缶に入れて埋めたそうだと語る。精神疾患の兵士、約8000人の病床日誌、カルテだった。多くの兵士が、戦地での加害行為から罪の意識から精神に異常をきたしていた。かつて国によって隠され、本人や家族も直視できずにいた、元日本兵の心の傷。藤岡さんらはPTSDの日本兵家族会・寄り添う市民の会は、国に実態調査を要求している。


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上智大学東金市(千葉)松戸市(千葉)PTSD千島列島大日本帝国海軍松輪島浅井病院PTSDの復員日本兵鈴木一正

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