モーサテ 大浜見聞録!
去年ユネスコ無形文化遺産に登録された日本酒がテーマ。日本酒も人気が高まっていると言われているが、国内向け出荷量はピーク時の3割以下と落ち込む。国は既存業者を保護するため、半世紀以上新たな製造免許を交付していない。米造りを抑制してきた保護政策が日本酒業界でも起きている。免許取得に向けて奮闘を続ける小さな酒蔵を取材した。広島市で行われた日本酒のイベント。地元15の酒蔵が参加し、来場者数は1000人以上にのぼった。会場内に日本酒ではなくどぶろくを出品している酒蔵があった。福光酒造はある理由で日本酒の製造免許を失った。創業90年以上の福光酒造。振る舞われたのは1本のどぶろく。四代目の蔵元・福光寛泰さんはほかの酒蔵で修行中に製造免許失効に気付いた。平成18年に先代が脳梗塞で倒れ家族会議で廃業の道を選んだ。福光寛泰さんには事後報告だった。税務署に「手違いだった、免許を返して」と話したが「受理した(返還は)できない」と言われた。長年酒造りをしていても一度免許を返納してしまうと、もう日本酒は造れない。おいしい地下水があるのにと失望する中、偶然にも町がどぶろくの製造特区であることを知る。特区でのどぶろく造りは地元の米を使用することが条件。広島県で生まれた「こいもみじ」という品種を地域の人たちと一緒に栽培。どぶろくの製造過程は日本酒と同じ、蒸しあがった米に麹菌をかけて発酵させもろみをつくる。もろみをろ過しなければどぶろくに絞ってろ過すると透明な日本酒になる。高品質などぶろくを造り新たな市場を開拓。実績を積みながら日本酒の免許再取得を目指す。一方、生きた酵素や乳酸菌が再評価されるどぶろくに大きな可能性を感じるようになった。福光さんは「業界を維持しながら盛り上げるために新規参入は必要」と語る。