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中国・長沙市の中心部にある通りの入り口には「愛がこの街と出会う」の文字。その通りにはハートや恋愛、結婚にまつわる言葉が至る所にある。提灯には「適齢期に結婚」や「家庭を持つことは国家の利益」と書いてあった。このエリアは地元政府が結婚を推進するために整備した「婚育文化街」。中国では今こうした施設が次々に作られ、政府が若者の結婚と出産を強力に後押ししている。その背景にあるのが深刻化する少子化問題。中国で今年1月から9月までに結婚した人の数は前年同時期より100万組近く減少し史上最低に。2016年に「一人っ子政策」を撤廃した後も少子化に歯止めがかからず、生まれた子どもの数はこの7年間で約半分に。子どもを増やすことが国家目標になっている。長沙市にある若者向けに結婚と出産にまつわる情報を発信する施設を取材。子どもを3人若いうちにもうけることを猛烈に勧めている。男性が妊娠の痛みを理解するため、電気を流して陣痛を疑似体験できる装置もある。こうした政策に「子どもを持つことを国が押しつけている」と批判の声も上がっている。しかし、中国当局の発表した資料にはそうした民意を無視するような言葉があった。また出産すべきとのアピールに熱が入り過ぎたのか、少子化対策を担う政府機関のSNSは「(出産は)女性を賢くする」と主張し、嘘ばっかりだなどと批判が殺到して文章は削除された。中国メディアによると、未婚女性に対しても一部の役所から「妊娠したのか、子どもを持つ予定は」などと尋ねる電話があったという。一方で若者たちは子育ての環境整備の必要性を訴えている。