国際報道 SPOT LIGHT INTERNATIONAL
イギリス海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」は全長約280m、幅約70mでイギリスの空母として過去最大を誇る。その内部が日本の報道機関に初めて公開された。甲板にずらりと並んだステルス戦闘機「F35B」は、最大で36機搭載することができる。主に攻撃に使用される多用途ヘリ「ワイルドキャット」の姿も。長い飛行甲板から次々に戦闘機が飛び立てるのも、この空母の特徴。戦闘機4機が発艦するのにかかるのは約3分で、素早く敵の動きに対処することができる。イギリスのヒーリー国防相は「今回の意義はイギリスが他国と連携し、航行の自由と国際法を守るその決意を示すこと。同盟国への強いメッセージであると同時に、潜在的な敵対勢力への強い警告でもある」などと述べた。潜在的な敵対勢力について、専門家はその1つが海洋進出を強める中国だと指摘する。中国は近年海洋権益やシーレーン(海上交通路)の確保などとして、東シナ海や南シナ海で威圧的な行動を続けている(米国防省の資料をもとに作成)。東シナ海では中国海警局の船が沖縄県の尖閣諸島周辺で日本の領海へ繰り返し侵入し、ことし5月にはフィリピンの調査船に衝突し放水銃を発射したりして航行を妨害したという。また中国政府は、日本との戦争に勝利した80年の記念日だとしてあさって行う軍事パレードなどの行事に北朝鮮の金正恩総書記やロシアのプーチン大統領が出席する予定だと発表している。ヒーリー国防相は、ロシアが中国・北朝鮮と関係を深めていることから「欧州とインド太平洋地域の安全保障は切り離せない」と述べた。安全保障環境が変化する中、ヒーリー国防相はこれまでの枠組みを超えた新たな連携が必要だと強調した。
