グッド!モーニング GOOD!いちおし
葛飾北斎とプロデューサーの関係を探るため、すみだ北斎美術館を訪ねた。企画立案から絵師の起用、彫師・摺師の指揮、出版、流通まで担う浮世絵の総合プロデューサーを「板元」と呼ぶ。江戸の名プロデューサー・蔦屋重三郎は、東洲斎写楽に、役者絵を描かせて人気にさせた実績がある。その写楽よりも前に、葛飾北斎と出版していた。北斎は、蔦屋重三郎とともに役者絵に挑戦したことがあった。すみだ北斎美術館では、その作品を初めて展示している。当時、北斎が師と仰いだのは、吉原の花魁を描いた美人がで有名な浮世絵師・勝川春章。蔦屋重三郎は、勝川春朗という名で活動していた北斎と役者絵以外にも吉原のお祭りを題材にした作品を出版。役者絵では、写楽に追い越される結果になった北斎。当時の北斎は、蔦屋重三郎が求める役者絵を描くことができず、蔦屋重三郎との役者絵はヒットしなかったという。すみだ北斎美術館で初公開されているのが、北斎の「児童文殊稚教訓」。文章から挿絵まで北斎が書いていて、猿が文殊菩薩に人間にしてほしいと願い出る物語。蔦屋から、北斎は4冊を執筆し、絵以外の才能も発揮していた。狂歌の挿絵や絵手本など、北斎は、二代蔦屋重三郎のもとでチャレンジしているという。