ドキュメント20min. (ドキュメント20min.)
お国自慢バラエティー「被告人 名古屋」。擬人化したマチが繰り広げる架空の法廷劇。郷土愛と「あるある」とお国自慢をデフォルメしてお送りする。名古屋は「有名物勝手に所有しがち罪」で愛知の他地域から提訴されている。原告側は「なごやめし22選の中で名古屋発祥と断定できるのは9つしかない」「徳川家康の生まれは岡崎市にもかかわらず名古屋まつりの行列に登場する」ことを罪状として訴えた。さらに有名地鶏の「名古屋コーチン」発祥の地は小牧市にもかかわらず、「名古屋」と名付けられている点なども挙げられたが、被告側は名古屋コーチン誕生の背景について反論。江戸時代幸喜から尾張藩では武士の内職として養鶏が盛んに行われており、名古屋コーチンの生みの親である海部荘平・正秀兄弟も旧尾張藩士。そもそも名古屋コーチンを生み出した技術の下地は名古屋にあると主張した。しかも「名古屋コーチン」という名前は明治23年以降京都や大阪で自然に発生したものであり、名古屋が自ら言い張ったわけではなく小牧市の知名度が足りないだけではないかと断じた。その後も家康の居城などをめぐり名古屋を責める原告側だったが、「今まで出身地を聞かれ名古屋と答えた人は?」と弁護側より質問されるとちらほら手があがった。
証人として三重の津が登場。エビの天ぷらが入ったおにぎり「天むす」は実は津市が発祥だと主張。昭和30年代、津市の天ぷら定食店の水谷ヨネが夫につくったのが始まりだという。昭和56年位津の店からのれん分けした名古屋の天むすが芸能人の間でも評判となり「名古屋名物」の印象がついてしまったため「なごやめし」になったのだと明かした。天むす発祥の経緯について弁護側から反駁はなかったが、名古屋はアメリカ有名雑誌の「世界の最もすばらしい場所50選」に京都とともに選出されたことをあげ「恩恵を受けたいと思いませんか」と原告へ質問。一度は納得しかける原告側だったが、雑誌に掲載されていたのは長久手の公園施設や知多のウイスキー蒸留所だったことが発覚。再び非難が集中するが、被告は2016年と18年に実施された都市イメージブランド調査では名古屋は「訪れたい街」の最下位だったと明かしアーティストに素通りされる「名古屋飛ばし」や運転マナーが悪いことを「名古屋走り」と呼ぶことなど名古屋のネガティブ面を次々に吐露。うなだれる被告に傍聴席から豊田が声をかけ「愛知県の製造品出荷額は昭和52年から44年連続日本一」であることや「名古屋市の道路率は全国20の政令指定都市でトップ」であることなどをあげ、名古屋発祥のものにはスーパー銭湯、漫画喫茶など楽しいものがたくさんあると話した。「本音では名古屋を頼りにしているのでは?」と尋ねられた原告は次々に肯定。弁護側と和解した。