サタデーウオッチ9 (ニュース)
今月も食品の値上げが続いている。帝国データバンクの調査では、コーヒー豆やチョコレートなど600品目余りが値上げ。海外の天候不順による原材料の高騰に加え円安の影響も見られるという。輸入食材が値上がりする中今改めて注目されているのが国産品。50年以上多くの人に飲まれてきた「ポンジュース」。原材料に海外産のオレンジ果汁と国産の温州みかんの果汁の両方が使われている。爽やかな味わいが好まれるなどの理由で、これまでオレンジ果汁を多く使っていたが、今回、国産みかんの割合をオレンジと逆転させた。背景の1つが天候不順などによるブラジルでのオレンジの不作。消費者の好みの変化に合わせて果汁の配合を変えることを検討していた中だった。さらに円安の影響もあり、輸入するオレンジ果汁が3年ほどで3倍から4倍に高騰した。輸入価格の高騰で熱い視線が注がれるようになった国産品。愛媛県産のかんきつで果汁を生産している愛媛県宇和島市の会社にも国内の飲料メーカーなどから問い合わせが増えている。ただ、愛媛県のかんきつの多くは生で食べるために作っていて、ジュースなどの加工品になる規格外の果実は限られる。食品加工会社営業部・竹田雅浩部長は需要に対して供給量が足りていないなどと語った。
広島県江田島市。輸入品の価格高騰をチャンスととらえる動きも生まれている。それがオリーブ生産の現場。栽培から加工、販売まで行っている会社。主力商品は摘みたての実を搾ったオリーブオイル。ヨーロッパの干ばつなどの影響で輸入のオリーブを使った製品の大幅な値上げが相次いでいることについて聞いてみると、オリーブ生産加工会社・濱田章裕社長「国産オイルと輸入オイルの金額(差)が狭まってきている。国産オリーブオイルにチャンスがあるのではないか」と話す。実際、全国の飲食店や卸売業者などからの問い合わせが徐々に増えているという。栽培面積、収穫量ともに増えてきている江田島市。広く地元の人を生産に巻き込む取り組みが成果を上げている。地元でオリーブを栽培している男性は農家ではなかったが親戚の農地で10年ほど前に栽培を始めた。市が苗木の購入にかかる費用などを補助するとともに、収穫されたオリーブは先ほどの会社が買い取り加工する。会社では、こうした取り組みに期待を寄せている。国産品にとっては追い風とも言える状況をどう生かせばいいのか。農業政策に詳しい専門家、農林中金総合研究所・平澤明彦理事研究員は「メーカーなどからすれば安定供給が非常に重要。収量を上げたくさんとる。効率化をしコストを下げる方向が必要。(農家が)中長期の取り組みができるような後押し政策があったほうがいい」という。