モーサテ モーサテアンリ塾
ベンチャーキャピタリスト・佐俣アンリさんを講師に招いた「モーサテアンリ塾」の4時限目・最終回。4時限目はベンチャーキャピタル「ANRI」の会社見学からスタート。スタートアップと一緒に生活するとはどういうことなのか。オフィスのほとんどは「CIRCLE by ANRI」と呼ばれるインキュベーション施設となっており、現在は創業間もないスタートアップ18社が入居している。創業期のスタートアップ同士の仲間とコミュニティを作ることが目的で、1つの場所に複数社が入っている。「隣の企業の進捗はむしろ気になってほしい」そうで、「あいつができたなら自分もできる」という気持ちを持ってほしいそう。現役大学生3人の起業家は、救急車と同じ車体を利用した福祉タクシーや民間救急がすぐに予約できる配車システムを手掛けている。他のスタートアップと肩を並べて働くことについて聞くとCEOの大村さんは「追いつきたいと思うし、それと同時に憧れもある。その人達を見ながら進めるのはこの場所にいる特権」と話す。佐俣さんは「いまのスペースくらいで7社くらいのスタートアップが寄せ集まって仕事していたが、そこから多分4社くらい上場する。その中の1社が一度会社を売却したことがあり、すごいスピードでもう1回成長した。こんなにホイホイ成長するんだなって。会社を運転するなんて一歩間違えるとすぐ潰れるかもしれないのでおっかなびっくり始めるんだけど、35歳位の人が直球で走り抜けちゃう。『あれで良いんだ』って思ってやるとみんなうまくいった。そういう仲間が1人出ると『あれでできるなら自分もできないわけがない』ってなる。自分がそういう場所にいるために努力をするというのは必要だと思う。模範になる人を一生懸命マネすればいいと思う。最初を間違えるとアンチパターン、成功しないパターンを学んでしまうので、自分が筋がいい場にどれだけいれるかを考え続けた方が良い」などと話す。
ここでマレーシア料理のチェーン店の開業を志す大学4年生の加藤さんから「周りの人はほとんど就職で、起業する人がなかなかいない。どうすればそういうコミュニティに入れるか」と質問すると佐俣さんは「飲食店の経営者はとんでもない数いると思う。その集団を探す。例えばフランチャイジービジネスの研究をしている人たち。中級者向けの勉強会に行くと中級者が授業を聞いている。5店舗7店舗までは当たり前の人たちの会話が聞けるので分かってくる。仲間づくりの場は『こんにちは、仲間づくりの場です』ってやっているわけではない。私は大学生の時に30歳くらいの人たちの経営の勉強会に潜り込んでいた。始めは冷たい目で見られるけど、中にはそういう場所に来る人を面白がってくれる大人もいる。そういう人にかわいがってもらって輪に入っていく。その場所を見つけるというのが企業のチャレンジの1つ目」と話した。女性のキャリア支援で起業した小宮さんは「息子が7歳で息子の妊娠がきっかけで最初の企業を諦めた。その経験から女性のキャリアデザインをやりたいと思った。女性起業家への投資は難しい?」と問うと佐俣さんは「女性企業への投資が進まないのはぐるぐる回っている難しいテーマ。マイノリティーがキーワードで、スタートアップの中でまだ5%もいっていないくらい。マイノリティーに起こることは情報が遅れるということ。マジョリティーは自分たちに有利な情報を回している。男性の投資家は何を思っているかと言うと、女性起業家はビジネスプランや資本政策が分かっていないという。これは完全に間違っていて、マイノリティーなので情報が遅れていて明らかに構造的に不利。情報の遅れを保管するために作ったのがここ。情報がリッチな場所を作って呼ぶ」などと答えた。成長が生まれる場所は良い循環がある場所だと佐俣さんは考える。「テレ東BIZ」では4時限目の講義の拡大版を配信中。