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日銀のマイナス金利解除や追加の利上げをきっかけに、多くの金融機関では貸出金利を引き上げている。収益につながる貸し出しを伸ばすためには、元手となる資金をより多く確保する必要があるが、そこで重要性を増しているのが預金。17年ぶりの金利ある世界で始まった競争の現場を取材した。メガバンクのみずほ銀行は、楽天グループとの連携で預金を獲得しようとしている。年間20兆円以上が買い物に利用されるというグループのカード会社と共同で、新たなクレジットカードの提供を始めた。引き落とし先として指定できるのは、みずほ銀行の口座のみ。新規入会者にポイントを付与するキャンペーンを実施している。口座を公共料金の引き落としなどの取り引きに使ってもらうことで、預金の獲得につなげるねらいがある。
メガバンク以外の銀行も預金集めを強化している。大手ネット証券グループ傘下のSBI新生銀行は、この秋からネット証券の口座を持つ顧客全員を対象に、普通預金の金利を0.3%に引き上げた。この銀行は、若い世代の獲得にも力を入れている。メガバンクをはじめ、現在は普通預金の金利を0.1%にしている所が多くなっている。取材を行った日、担当者は融資先の企業を訪問。28歳以下であれば誰でも普通預金の金利を0.3%にし、金利引き上げの対象を今月広げたことをアピールした。さらに、一度口座を作った顧客が離れないための戦略も立てている。増やしているのが、グループの証券会社との共同店舗。銀行の顧客から株式投資などの注文も受けて、グループ全体で囲い込みを進めるねらいがある。金利だけに頼らずに、顧客との関係を強化する戦略。金利のある世界になったことで、金融機関どうしの競争が活発になっている。日銀はあすから2日間の日程で、金融政策を決める会合を開く。今回、政策金利を引き上げるか、あるいは据え置くかが焦点で、金融機関は固唾をのんで見守ることになる。