- 出演者
- 石原さとみ 岩尾望 足立梨花
きょうのテーマは「帯状ほう疹」。日本人の9割が予備群だという。症状は耐えがたい激痛。しかも、その痛みが長く残ることもある。今、帯状ほう疹になる人が急増中。発症率はこの25年で70%増。番組は帯状ほう疹を経験した87人に取材。治療から予防まで帯状ほう疹の対策も紹介する。
オープニング映像。
蛯原さんは健康的な生活を心がけていたが、1年前に帯状ほう疹を発症。夜も寝られない痛みが出たといい、顔面まひも経験したという。深澤さんも激しい痛みに苦しんだ。人生で一番の痛みだったという。帯状ほう疹を経験した岩尾望は最初、発疹は出ておらず、痛みから来たと話した。痛みを生み出すのが「VZウイルス」。ウイルスが体内で増殖すると刃物で突き刺されたような痛みが出る。そして、痛みやまひなどの後遺症が何年も続き、生活に影響が出ることもある。症状を抑えるには早く抗ウイルス薬を飲んで、ウイルスの増殖を抑えることが重要。ガイドラインには発疹が出てから72時間以内に薬を飲むと記載されている。
大事なのは急いで医療機関に行くこと。しかし、それが難しいことが取材で分かった。今回の取材で87人に話を聞いたところ、多くの人がもっと早く病院に行けばと後悔していたという。貴重な体験談から見えてきたのは3つのまさか。1つ目は「自分がなるなんて…」。宇戸さんは23歳で帯状ほう疹を発症。年上の人がかかる病気というイメージが広がっている気がするが、そうじゃないよというところは知ってほしいと話した。番組アンケートでも4割が40代以下で発症しているという結果が出た。今、若い世代の患者が増えている。2014年から急激に増加。皮膚科医の外山望医師は帯状ほう疹のスペシャリスト。28年前から帯状ほう疹の発症数を調査しており、集めたデータは16万人分。外山医師を中心に宮崎県の皮膚科医たちが一丸となって続けてきたこの取り組みは「宮崎スタディ」と呼ばれ、日本を代表する帯状ほう疹研究の一つに位置づけられている。帯状ほう疹の発症率を継続的に記録した研究は貴重で、10本以上の論文などが生み出された。注目は帯状ほう疹と水ぼうそう(水痘)の関連を詳しく調べた調査。「水痘帯状疱疹ウイルス」が正式なウイルス名だという。水ぼうそうと帯状ほう疹は同じウイルスが原因。水ぼうそうの症状が治まった後も原因となったウイルスは免疫細胞に見つからない形で体内に潜伏。大人になり、加齢やストレスなどで免疫が低下してくると、潜伏していたウイルスが活発になり、帯状ほう疹を発症する。2014年以降に急増した理由はブースター効果。子どもが水ぼうそうにかかると、空気中に水痘帯状ほう疹ウイルスを放出。その子どもに接すると体が警戒モードに切り替わり、免疫が強化される。これがブースター効果。しかし、小児の水ぼうそうワクチンの定期接種が2014年に開始。この年を境に子どもの水ぼうそうは激減。一方、これまでブースター効果を得ていた若い世代は逆に帯状ほう疹にかかりやすくなってしまった。20歳以上の日本人で水ぼうそうの経験者は9割。自分はならないという思い込みは捨てる。
帯状ほう疹について、インターネットで検索すると、おなかや胸に発疹が出ているものが多い。しかし、福田さん(仮名)はお尻に発疹が出た。直前に山に行ったといい、そこで虫にやられたと思ってしまったという。谷田部さんは3年前、顔に発症。たまたま梅の実を取っていて、額に枝が当たっていた。それでかぶれたのかなと思っていたという。帯状ほう疹は見た目だけだと分かりにくく、発疹は全身にできる。発疹が出る場所がバラバラだと帯状ほう疹と気づきにくい。水ぼうそうになると治った後のウイルスたちは神経節に潜伏。神経節は痛みや温度などの情報を脳に伝えるための中継地点。ウイルスがお休みモードだと免疫細胞は気づくことができない。加齢やストレスで免疫が低下すると活動を開始。皮膚表面に到達してウイルスが増殖し、発疹ができる。神経節は全身にあり、水ぼうそうになった後、どの神経節にどれだけのウイルスが潜んでいるかは分からない。そのため、全身にできる可能性がある。帯状ほう疹は発疹が出る前に痛みの前ぶれがある。これは前駆痛と呼ばれ、ウイルスが皮膚に向かう過程で発生するという。今回取材した87人のうち、前駆痛を経験した人は5割。痛みを感じたら、その場所を観察。発疹が出たらすぐに医療機関へ行く。痛みだけでは帯状ほう疹と診断できないため、注意が必要。
松尾光馬医師が帯状ほう疹について解説。帯状ほう疹は昔、1回なるとならないと言われていたが、6%くらいの人が2回以上なるという。2014年以降、2回以上なる人は増えている。免疫を下げるような薬を使用している人、糖尿病やアトピー性皮膚炎の人はなりやすい。若くても仕事で疲れている人はなりやすい傾向にあるという。松尾光馬医師は固定概念にとらわれず、痛みがあって発疹があれば帯状ほう疹だという考えを持つのは大事だと話した。
帯状ほう疹の最大の恐ろしさは長引く後遺症。増殖したウイルスは皮膚だけでなく、神経にも感染し、細胞を破壊する。ひどい場合はウイルスがいなくなった後も神経がボロボロのままということも。取材に協力してくれた87人中2割の人が数か月以上続く後遺症に悩まされていた。最も多かったのが痛み。これは「帯状ほう疹後神経痛」と呼ばれている。5年前に帯状ほう疹を発症した吉田さん。2週間で発疹はなくなったが、痛みは継続していたという。痛み止めも効かず、2か月は完璧に眠れなかったという。日高さんは1年ほど前に帯状ほう疹を発症。その後、腹部の神経に障害が残り、腹筋の右側がまひし、おかなが垂れ下がる後遺症に悩まされている。年齢が高い人ほど後遺症が残りやすいという。痛み以外でかゆみを訴える人もいる。帯状ほう疹の痕は時間が経てば消えるという。
帯状ほう疹の後遺症のリスクを軽減する大切なポイントがワクチンによる予防と適切な治療。今年度から65歳以上を対象に定期接種が始まった。顔のまゆが残ってしまった蛯原さん。そんな夫をそばで支えたのが妻・みの子さん。みの子さんも夫が発症した直後に帯状ほう疹になった。ただ、5年ほど前にワクチンを摂取していたこともあり、後遺症はない。痛みと後遺症に苦しんだ谷田部さんは周りの人にワクチンを勧めている。帯状ほう疹のワクチンは2種類。生ワクチンは1回8000円程度。不活化ワクチンは2回接種が必要で4万4000円程度。発症予防率と後遺症の予防率はいずれも不活化ワクチンの方が高い。一方、副反応は不活化ワクチンの方が比較的出やすい。効果は生ワクチンで5年、不活化ワクチンで10年ほど継続すると報告されている。帯状ほう疹のワクチンは基本的に50歳以上から接種可能。ただ、病気で免疫を抑える薬を飲んでいる人、がんを患っている人は帯状ほう疹の発症リスクが高いため、18歳以上であれば医師の判断でワクチンを接種することができる。今年度からは帯状ほう疹ワクチンの定期接種が始まり、対象年齢の人は自治体から接種費が助成されるようになった。詳しくは住まいの自治体や医療機関などに確認。松尾光馬医師はワクチンは発症を抑え、なったとしても合併症などを抑えてくれる。しかし、副反応があるため、医師とよく相談して打つのが良い。1回なった人でもワクチンを打った方が良いと話した。
山口重樹医師は帯状ほう疹後に痛みを抱える人たちを診療し続けてきた痛みの専門家。近年、痛みを抑えるための薬が劇的に進化しているという。適切な薬の治療を行うことで痛みの記憶が収まり、最終的に痛みで苦しむ時間を短くすることができると話した。痛みに長く苦しんでいた吉田さんは痛みの専門家を受診したことでその後の痛みが軽減された。5か月にわたって悩まされた痛みから解放され、販売業の仕事も続けることが可能になった。帯状ほう疹だと思ったら、まずは皮膚科医の受診がオススメ。痛みが続く場合は医師と相談し、痛みの専門医の受診を検討。松尾光馬医師は痛みを我慢すると、痛みの記憶が残り、治っているのに痛みがあるように感じる。痛みはしっかり取ってあげるのが大事。一部の患者さんはどんな薬を使っても治らないことはある。薬の使い方によっては少しでも良くなる可能性があるため、諦めずに希望を持ってほしいと話した。
石原さとみは帯状ほう疹って怖い。でも予防ができ、適切な治療を受ければ後遺症も軽減できると話した。
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エンディング映像。
「あしたが変わるトリセツショー」の次回予告。
