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2024年1月2日早朝。東京・大手町にある読売新聞本社には、それぞれの思惑を胸に秘めた指揮官達の姿があった。その中にレース前から往路の展開を予言していた人物がいた、それが青学の原監督だった。原監督は「準優勝ですよ。駒澤に真っ向勝負だったら勝てない。過度なプレッシャーがかかったときには何かアクシデントが起こる可能性がある。2分以内で山決戦を臨めたら面白いことが起こる」などと話した。絶対王者の駒澤大学は1区にエースを起用した。箱根駅伝の裏側には知られざるいくつもの物語があった。
オープニング映像。
レースは1区から予想外の展開となった。中央大が遅れ、駒澤大は予想通り1位でスタートした。駒澤は1区から後続を引き離し、このあとの布陣も盤石のはずだった。青山学院は35秒差。中央や国学院は大きく出遅れた。2区、トップを行くのは依然、駒澤。鈴木芽吹は初めてのエース区間でも力むことなくペースを刻んでいた。沿道から駒澤の大八木弘明総監督はあんまり速く行くなと檄を飛ばした。原監督も教え子に楽しんでいきましょうね、早稲田も東海もみんなで追いかけて行くよとアドバイスしていた。
原監督は教え子に楽しんでいきましょうね、早稲田も東海もみんなで追いかけて行くよとアドバイスしていた。2区、駒澤は依然として1位を走っていた。後方からは青学の黒田朝日が創価大学のS.ムチーニを抜き2位となった。鈴木芽吹は自身が掲げた目標より早いタイムで襷を繫いだ。青学の黒田は区間賞の走りで22秒差の2位まで順位を押し上げた。鈴木芽吹は黒田のもとを訪れ区間賞を祝福した。鈴木芽吹は「みんなが応援してくれて幸せだった。悔しいけど楽しかったです」などと話した。3区、青学の太田蒼生は逆転のチャンスを虎視眈々と狙っていた。13km過ぎた辺り、太田蒼生は佐藤圭汰の前に出た。しかしまた、佐藤圭汰は太田蒼生を抜いて1位となった。
3区のラスト3kmでは佐藤選手と太田選手がデッドヒートを繰り広げ、最後に太田選手がスパートをかけて青山学院大学がトップに繰り上がった。太田選手は区間1位の59分47秒を記録し、日本選手初の1時間切りを達成した。一方駒澤大学は前回大会の4区から続いた首位継続記録が途絶えた。4区では青山学院大学が更に駒澤大学との差を広げていった。
5区に入っても雨脚は衰えず過酷な環境が続いていた。若林は前回大会の5区にエントリーされたが体調を崩し当日変更。2年分の想いを胸にオール優勝を目指す。一方1分26秒差で襷を受けた駒澤。状態の良さを買われ5区を託された金子が懸命の走りで青山学院を追う。7位には去年東海から創価に転入した吉田。2年前、5区で1年生ながら区間2位と好走。付けられた呼び名は”クライミングモンスター”。さらに今年の主役となったのが城西の山本。今大会で大躍進を果たした城西。その秘密の一つが学内にある低酸素ルーム。広い室内を低酸素状態に保ち走り込む。心肺機能を強化するため週2~3日は徹底的に体を追い込む。2区を任された斉藤も効果を実感していた。山本は5区の山登りを想定したトレーニングを積んでいた。選手たちの前に映し出されているのは自分が走りたい区間の映像。箱根を走るイメージを植え付けることがチーム力の底上げに繋がった。山本から給水を頼まれていたのはOBの伊藤さん。山本の印象についてかわいい感じも走ることに関しては負けず嫌いと。伊藤さんからの給水がさらなる新記録に挑む山本の背中を押す。ゴールのフィニッシュ手前の箱根神社の鳥居付近で山本を待っていたのは両親と親族。最後の勇姿を目に焼き付ける。そしてゴールを制したのは青山学院大学。重圧をはねのけ若林は区間2位で新記録という最高の形で去年の無念を果たした。2位は駒澤大学、3位は城西大学。
復路の朝、スタート前の監督会議。順位を狙う大学、シード権を目指す大学、それぞれの思惑が入り交じる。その表れなのか復路はかなり多くの選手入れ替えとなった。6区は運営管理車での追走ができないため各校の監督たちは町役場で戦況を見守る。全てを選手に委ねるしかない状況。そんな中、3位を走る城西の櫛部監督はじっくりレースを見守りたいと運営管理車の中にいた。そして復路は16校が繰り上げスタート。町役場の監督たちからもどよめきが起こっていた。襷リレーの順位は変わらず。涙した駒澤・帰山。想像以上に選手の脚に負担がかかる山下り。駆け下りてきた代償は決して小さくはない。スピードレースの6区。苦しかった20.8kmを走りきった安堵と共に暫しの休息が必要となる。
青山学院の山内を15キロの給水ポイントで待ち受ける人物は山内と同学年の4年生の山下で山内に「俺の給水をやってくれよと頼まれた」などと話している。山下は4年間三大駅伝への出場が一度も無いが給水とはいえ箱根を走る姿を見ようと山下の両親も現地に来ていた。山内が後15キロになり僅かな距離だが笑顔で給水を渡していた。少しでも箱根で走れた山下の姿に両親は「この姿を見に今日は来た」と話している。東海の石原はシード権を目指しチームの為に走るが昨シーズン番組のカメラが東海を訪れた時、石原とチームメイトの間には距離があった。石原は当時チームメイトとの実力差にジレンマを抱えており練習では俺についてこいと先頭に立ち仲間を引っ張ろうとするが石原のスピードに誰もついて行けずジレンマを募らせていた。主将の越陽汰は「普段の練習から見ても石原だけに頼っている状態が昨年まで続いた」兵藤ジュダは「色んな所でギクシャクしている」と話している。次第にチームメイトとの溝が深まり孤立し、チームの状態はバラバラだったという。
状況を脱する為に石原は自らの振る舞いを改め後輩達の為にシード権を取る目標を掲げ、もう一度輪の中へ飛び込んでいた。あらゆる場面で仲間達とコミュニケーションを取り何でも話せる関係を築き上げていた。練習で皆の意識に変化があり鈴木天智は石原がペースを上げるタイミングで自分もついて行こうというのが増えた。越陽汰は「石原だけに頼るのでは無くチーム全員で目標を達成したい」と話している。シード権という目標の元、チームは1つにまとまっていた。石原が走る沿道には後輩の兵藤の姿があり感謝の思いを込め声援を送り石原のタスキはこれからの東海を託す人生へと繋がったという。
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9区の倉本選手は親子二人三脚で箱根駅伝を目指し、遠藤では両親も応援した。10区にもトップでタスキを繋ぎ、2位の駒澤・花尾選手も長崎から応援に来た家族に力走を見せた。花尾選手は今季2度のケガを経験し、思うように実力を発揮できなかった。仲間も完全復帰を信じてサポートし、12月には元の走りを取り戻して、10区にタスキを繋いだ。
最終10区、青学は1位。その後方では東海大と大東文化大がシード権争いでせめぎ合っていた。こうして青山学院大学は10時間41分25秒、大会新記録で優勝。2位は駒澤大学となった。藤田敦史は「悔しかった。勝たせてあげることができなかったところは私の未熟さが出てしまった」などと話した。3位は城西大学。原晋は「嬉しいけどね。負けて悔しくまた強化、勝って更に伸ばす。またライバルが来る。その繰り返し」などと話した。大会翌日の早朝、駒澤は早速練習を開始していた。
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