- 出演者
- 若林正恭(オードリー) 長縄弘親 鈴木裕士
岐阜県関市ここに工場を構えるのは福田刃物工業。創業130年の老舗で工業用機械刃物の製造を手掛ける大ヒット商品が包丁。納品まで9カ月待ちという人気ぶり。地元で人気の古民家カフェでは切れ味に見せられた愛用者が。プロが認める一級品で潰れやすいトマトもきれいに切れる。包丁に使用されている素材はタングステン。切削工具や半導体装置などにも使用されるレアメタルで炭化させ、コバルトやニッケルと混ぜるとダイヤモンドに次ぐ硬さに。この包丁はまさにそれで、超硬合金と呼ばれている。しかしそんな包丁にこだわる企業が大ピンチ。タングステンが高騰しているがその包丁の価格は5万円に。以前と比べると4割ほどの値上げを余儀なくされた。タングステンは生産量の8割を中国が占めている。中国は安全保障などを理由に輸出規制を強化。今年2月から4月は日本に全く入ってきていないという。タングステンを始め今やハイテク製品に欠かせない希少金属のレアメタル。天然資源に乏しい日本にはその大部分を輸入に依存、常に供給不安や価格高騰のリスクがつきまとう。
オープニング映像。
茨城県・東海村は原子力発祥の地で、ここに会社を構えるのがエマルションフローテクノロジーズ。21年創業で社員は約40人。オフィスの下には施設がある。CEOの鈴木裕士は日本原子力研究開発機構出身。挑むのはリチウムイオン電池のリサイクル。リチウムイオン電池は、車やパソコン、モバイルバッテリーなどの生活になくてはならない必要なもの。その中にはニッケルやコバルト、リチウムなどがあり、エマルションフローテクノロジーズはその使用済み電池からこれらのレアメタルを使用している。溶媒抽出は水と油を混ぜて分離する性質を利用し特定の物質だけを取り出すというもの。しかし今までの溶媒抽出は混ぜて分離するまで長い時間待たなければいけないのがネック。しかしエマルションフローという独自の技術で克服。水と油を混ぜながら分けることができる。これにより作業時間が大幅に短縮し高品質のレアメタルを取り出すことに成功した。CSOの長縄弘親は、エマルションフローという技術を開発した一人で、長縄も日本原子力研究開発機構出身。
エマルションフローテクノロジーズの鈴木と長縄がスタジオに登場。2人は日本原子力研究開発機構出身で鈴木は元研究者だったという。長縄はエマルションフローと関係する仕事をしていたと答えたが、放射性廃棄物を処理する仕事をしていたと答えた。その際にウランを原子力で使う時に色々な元素が出現し、核分裂や核反応が起こり色々な元素が出てくるが、元素を分離する必要があるが、その技術が今回のレアメタルの分離と深くつながっているという。籾山高はレアメタルについて、日本はほぼ100%輸入に頼っており、レアメタルは特定の地域や国に偏在しており、コバルトの世界の70%がコンゴ民主共和国だけで採掘されているという。また保護主義的な政策が世界的に進められていて、資源の獲得競争、囲い込み激化してきている。
エマルションフローテクノロジーズからレアメタルを取り出すコア技術の溶媒抽出を取り上げる。電池のリサイクルに取り組むきっかけについて、鈴木は溶媒抽出は以前から使用されているが、これまででは時間がかかる、装置が大きい、コストがかかる問題があった。それらを解決していきたいという中で自分たちの技術がいかせると思い立ったという。長縄は原子力機構の研究は社会実装や原子力の分野にそのまま使えるようにはすぐにはならないという。放射性物質などハードルが高いところに適用していかなければいけないとし、技術として確率されている安心して使える技術にしないといけないと答えた。また確固とした技術になった時に原子力でまた使えるようになるかもしれないとした。
エマルションフローテクノロジーズからレアメタルを取り出すコア技術の溶媒抽出をスタジオで実践。溶媒抽出とは水と油を混ぜ、その分離する性質を利用し、狙った物質だけを取り出す技術。金属のリサイクル、核燃料の再処理、薬品製造などで使用される。実験では2種類の水溶液を混ぜて油を使いコバルトだけを取り出してみる。これが混ざると黒っぽい色に変化する。リチウムイオン電池を粉砕しとり出した黒い粉ブラックマスと同じ色になったところに、特殊な油の中に抽出剤が入っていて、ここにコバルトを入れると青色に。水を吸収すると赤色に。油とくっつき 水がなくなると青色になるという。ブラックマスを降ると真っ青に。
- キーワード
- エマルションフローテクノロジーズ
レアメタルのコバルトとニッケルを混ぜそこからコバルトだけを取り出す溶媒抽出の実験。特殊な油を混ぜてしばらく置いておくのがポイント。すると油と水が分離し、レアメタルを抽出できる。
- キーワード
- エマルションフローテクノロジーズ
鈴木はエマルションについて油と水が混ざった乳濁している状態だという。長縄は乳濁させたものは重力で分離する物を待たなければいけず、静置・分離をしていく必要があるという。そして新技術のエマルションフローは、真ん中の乳濁状態の上に油と水が分離している状態で、水と油をよく混ぜながら同時に分離が起こっている技術。従来の技術は水と油を混合し、静置して分離するが、エマルションフローは混合と分離が同時に起こっている。静置が必要はないと答えた。長縄はこの技術についてはたまたまよく混ざりながらきれいに分離する現象が見つかったと答えた。この技術は水と油の粒の流れをコントロールしており、断面積が広い所は急に液滴の速度が落ちる。液滴がぶつかると小さな液滴が大きな液の塊になるという。水と油の粒の液滴をコントロールしている。
試験陽の装置には中に斜めの板がある。これで流れの早さを変えて油の粒を衝突させている。ぶつかった衝撃で、油は上に水は下に移動している。これにより時間をかけずに分離できる。真似されることを懸念したため特許出願をし、通ったと長縄は答えた。装置の他にも抽出剤の化学構造なども特許を取得している。
静岡県富士宮市にある使用済みのリチウムイオン電池が集められる場所が。2020年からリチウムイオン電池のリサクルを行うVOLTA。自治体や、パソコンをリサイクルする会社から集めているという。ここではスマホやノートパソコンなどから幅広く回収しているが、工場内の撮影はNGだったがまずは加熱しリサイクルの中の電解液を飛ばす。電池は真っ黒になるが、粉末にしてふるいにかけ大きさごとに分けていく。アルミニウムや銅などを取り除き、ブラックマスという粉が残る。リチウムイオン電池の重量の約半分がブラックマスになるが、この中にニッケルやコバルトなどのレアメタルが凝縮。しかし日本国内には精錬会社がないために海外に輸出している状況だという。試算よると、日本のレアメタル価値は累計でおよそ4300トンが中古EVで流出したという(日本総研調べ)。EUで2030年頃までに電池に関する規則を強化し日本でもリサイクル・再生材使用の動きが広がるという。
鈴木は今後の課題に商用化できるようにスケールアップしていく必要があると答えた。また、実験の手順も開発していく必要があり並行して行っているとした。また、リサイクルの純度が大事だというが、99.9%以上が求められ、何回も抽出を繰り返し100%にしていく必要があると答えた。他にもエマルションフローは処理速度が一般的な溶媒抽出の4倍。最大で10倍速い。設備も従来のものよりも小さくて済むためにコスト面でも4割の削減が可能。
エマルションフローの可能性について、鈴木はレアメタル以外も抽出でき、PFASという健康被害などが取り沙汰されている化学物質。水や油を弾き、熱や薬品に強い有機フッ素化合物で撥水スプレーやフライパンなどのコーティングという身近なものから半導体分野で使用されてきた。しかし分解されにくく蓄積しやすい特徴で土壌にのこったPFASによる水道水汚染や人体への影響などが指摘される。エマルションフローの技術は環境調和型の溶媒抽出の技術でもあるとした。また今後の展望には持続可能な社会を作り上げ、資源循環をさせるためのイノベーションとエネルギーを作る宇宙産業、半導体、AIなどそこで資源を使わないような技術を開発していきたいとした。
若林はきょうの総括に、環境に優しいという概念すらもなくすというゲストの言葉に驚いたと答えた。またたまたま新技術が見つかったという話はよく聞くと語った。
アンパラレルド〜ニッポン発、世界へ〜の次回予告。
