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- 松下奈緒
オープニング映像が流れた。
2024年1月1日、能登半島地震が発生。死者489人、住宅被害は15万棟。倒壊した家屋の下で亡くなった人も少なくない。ある女性の家は地震でも無事。5年前に新築されたもので、地震の揺れを低減させる装置「制震ダンパー」が取り付けられていた。今回の地震において、これが設置されていた住宅では全半壊ゼロ。
神戸市にある住友ゴム工業。1909年、英ダンロップの日本支店として創業。幅広い事業を手掛けているが、「産業品」は売り上げ全体の数%ほど。この部署の松本さんは95年の阪神・淡路大震災を受け、「制震」にまつわる商品の開発に着手。設置費用が手頃で、特殊な高減衰ゴムなどを使用。タイヤ開発で培われた技術も活用されている。
阪神・淡路大震災を受けて広まった、建物の「レジリエンス(回復力)」。建物が倒れるのを防ぐほか、早期の復旧も見据えた技術が注目されるように。その1つとして注目されている「制震構造」を開発した住友ゴム工業では、04年に戸建て向けが完成。12年には新築住宅楊、中古住宅用などを開発。工事費用も手頃。
2016年4月の熊本地震。観測史上初、同じ地域で28時間のうちに2度の震度7を記録。死者273人。住宅被害は20万棟ほどあったが、住友ゴムの制震ダンパーを設置していた119棟では全半壊ゼロ。この実績から、地震で被害を受けた熊本城にも採用された。
住友ゴム工業が取り扱う「制震ダンパー」。この日、兵庫・徳行寺から導入について相談が。寺は老朽化。阪神・淡路大震災では目立った被害がなかったものの、耐震診断の結果、震度5程度の地震で倒壊する恐れがあると判明。寺社は屋根が重いことが多く、地震で倒壊しやすいという。これらを受け、住友ゴム工業が30か所・114基の制震ダンパーを設置。
「ガイアの夜明け」はTVerで配信。
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30年前の阪神・淡路大震災をきっかけに生まれた、住友ゴム工業が開発した「制震ダンパー」。地震の揺れを特殊なゴムで吸収する装置で、兵庫・徳行寺からも導入の依頼が。調査の結果、古い建物であるため床下には取り付けられないと判明。
「制震ダンパー」を開発した住友ゴム工業では年2回、社長が各事業所を訪問。現場と直接話し合うのが目的。視察のあと、意見交換会を開催。「被災した企業として 制震事業で人々の命・暮らしを守りたい」という思いから。07年には台湾進出。納入実績は100件以上。きっかけは、阪神・淡路大震災の4年後に起きた台湾大地震。死者・行方不明者2494人、全半壊家屋は10万戸以上。
「制震ダンパー」を開発した住友ゴム工業。台湾・台北で建設を予定しているマンションで、これ300基の採用が決まった。事業を担う松本さんは「私達の事業でしかできない貢献ができている」「胸を張れる」など話す。去年4月に大地震があった花蓮市では、築37年ビルが低層部分で崩壊。松本さんがその現場にやってきた。
去年4月に大地震があった台湾・花蓮。被害が大きかった景勝地・太魯閣渓谷。完全復旧には5年程度かかる見通しで、入口は今も通行が制限されたまま。台湾で「制震ダンパー」の普及に努めてきた住友ゴム工業の松本さん。やってきたのは被災地にある台北栄民総医院。9年前に耐震改修工事が行われ、住友ゴムの制震ダンパー144基を設置。地震でも病院としての機能は継続できたという。
住友ゴム工業で「制震ダンパー」を開発した松本さん。事業をさらに拡大させようと、新たな取り組みを始めた。制震ダンパーは特殊ゴムで揺れを熱に変えて低減するものだが、壁の内部に設置することで壁全体の強度をアップさせる効果もある。現在は強度3.6倍だが、目指すは7倍。東京都では4月から太陽光パネルの設置が義務付けられ、屋根がこれまでより重くなり倒壊の危険性が高まることなどが背景にある。
30年前の阪神・淡路大震災での被災をきっかけに「制震ダンパー」を開発した住友ゴム工業。兵庫・徳行寺での耐震改修工事がスタート。床下に制震ダンパーを設置していく。今秋ごろに完工予定。この事業を担う松本さんは「ますます大きな地震の到来が予測されている」「街全体を安全なものに変えていきたい」など話す。
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。「アメリカ 来週 大統領就任式へ」など。
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