- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
大田区にある東邦薬品 TBCダイナベース。医薬品2万5000品目を首都圏を中心に届けている。薬を仕分ける重要な作業をしているが、働いているのは腕型ロボットで人の姿はない。様々な製品を選んで取り上げる作業は自動化が難しく、人の手に頼っていたが、ロボットアームはAIを搭載し自ら製品の違いを判別。それを仕分けている。これがフィジカルAI。AIと機会を連携し自律的に作業をさせる技術。製品が注文ごとのグループにまとまるようにラインに流すと狙い通りに一つのボックスに収まっていく。これにより従来型の物流センターに比べ、人件費を35%削減。また以前、人での作業で起きていた取り間違えなどのミスもなくなった。このロボットにはmujin insideの文字が。東京ビッグサイトで行われた国内最大規模の物流の展示会。そこで各社がアピールしてきたのが自律的に働くフィジカルAI。会場の一角にはmujinと書かれたベースが。Mujinは2011年に設立し、フィジカルAIのスタートアップ企業。今物流・製造業を悩ませているのは2040年問題。団塊ジュニアの世代が65歳以上になり、200万人の現場作業員が不足すると言われている。この深刻な課題を商機ととらえている人はMujinの滝野一征さん。Mujinの本社は倉庫街にあり、フィジカルAIで物流の現場をかえていく、世界を代表するユニコーン企業。人の役に立つAIの形とは。その最前線で、日本の逆襲が始まっていた。
AI時代、日本の強みという映像が流れた。
9月25日に開かれた日本スタートアップ大賞の表彰式。大賞に選ばれたのはフィジカルAIを扱うMujinだった。政府はAIが考え、機械を自律的に動かすフィジカルAIの分野を成長戦略の一つに掲げている。2040年度までに官民で10.5兆円を投資。東京・江東区の倉庫の中に本社を置くMujin。そこに開発部門があるという。得意としている小売の物流拠点向けのフィジカルAIは大きさや形の異なるダンボールをラインに流すと、AIが箱の重さや形をみて、積み上げ方を判断する。この時2つまとめて効率よく、違う角度から掴み、向きを変えた。Mujinはロボットアーム自体を作っているわけではなく、機械を動かすためのオペレーティングシステムを作っている。OSと連携しているのが、ベルトコンベアの上に備えつけたカメラ。1秒間に60枚の静止画を撮影し、箱の形や置かれた場所を認識する。ダンボールを積み上げるカートの上にも別の3Dカメラがついていて、こちらでカートへの積み上げ状況をスキャン。先に置かれたダンボールの高さと幅から、空きスペースに入るかを計算し、空いているスペースに次のダンボールの積み方を瞬時に検討する。そのための箱を選ぶ事もできる。効率よく安全に摘む積み付けという作業で、基本は飲み物など重い箱を下段に、上段には軽い菓子やカップ麺を置く。中段は斜めになった箱があったが、これは下の箱が圧迫されて運の形が崩れる中でとっさに対応しバランスをとった結果で、現場で求められる対応だったという。このMujin OSを導入するとロボットアームや無人搬送車などをまとめて管理することができる。
このMujin OSを搭載するために日本の企業や国内のメーカーがのロボットで使っている制御システムの詳細情報をMujinに開示。Mujinには機密情報が集まっている。そんな中、サイバー攻撃をうけた大手企業からの情報漏えいが相次いでいる。Mujinは社長さえも普段は入れないMujinの心臓部のデータセンターがあるが、ここでデータを守っている。企業価値が1500億円を超える未上場企業をさすユニコーン企業となった滝野さん。投資経験をきっかけに事業を目利きする力を養った。外資のメーカーで働いていた25歳の時にロボット工学の専門家と知り合った。共創業者のロセン・デアンコウCEOは東京大学でロボット工学研究していた。日本での企業を決意したロセンさんはそのパートナーとして滝野さんに声をかけた。ロセンさんは滝野さんのビジネスセンスと情熱に惚れ込み、出会って2年後の2021年にMujinを創業した。その時にMujinのコーポレートカラーはオレンジに決定した。そんな2人のもとに集まった人材は世界4カ国に従業員を463人を抱え、日本には30カ国以上の人材がいる。
滝野さんが創業当時からこだわっているのは、食堂。ビュッフェスタイルで食べ放題だという。30カ国以上から集まるスタッフのために様々な料理を作っている。それを作るシェフはフランスやイタリアで腕を磨いたシェフが毎日手作りしてくれる。
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10月、Mujinにとって大きなプロジェクトの本格運用が迫っていた。小売の国内最大手のイオングループとのプロジェクト。国内で2万店を展開するイオングループが、Mujinとパートナーシップ契約を締結。イオングループの物流部門のトップの山本さん。この施設では常温商品に関する作業の80%の自動化を目指す。省人化に取り組み、台に流す商品を倉庫から取り出すピッキングのエリア。ここでは82台ある自動搬送車の運用を一括して管理している。自動搬送車が作業者の元へ行き、棚から取り出す商品の数を指示。82台の自動搬送車を使って効率的に商品を取り出す。これで1日あたり6人働く人の数を減らすことができた。そして倉庫から店に出荷する量をAIが把握し、積み方も考えてくれるというもの。一度に21カート分の積み方を計算してくれる。首都圏のまいばすけっとの205店舗向けに今年7月から稼働している。
10月中旬に、Mujinのスタッフがイオングループの物流センターに呼び出されていた。イオンのプロジェクトを担当する進藤さんは積付けのシステムを開発したエンジニアの一人。イオングループの担当者から、指摘を受けていた。積付け作業では、そのカートで隙間ができている。問題は土台となっている一番下の段で、カートの側面からみると明らかに土台の面積が狭く、不安定にみえる。最終的にはラップで巻くが、隙間があるとトラックで輸送中に揺れて倒れた商品が ラップを突き破り、荷崩れの可能性も。早速Mujinでは解決策を話し合った。
Mujinはイオングループの物流拠点の自動化に挑んでいるが、積付けのバランスが悪いという指摘を受けて改善を求められている。イオンを担当する進藤さんが施設を訪れたが、この日は、改善策をみてもらった。2リットル4ケースに1.5リットルの1ケースを混ぜてカート幅びっしりの土台に、カートの面積ギリギリまで土台の段が広がるように教え方を変えた。この問題は無事に解決した。10月29日には川口の拠点は本格稼働の日を向け、大勢の報道陣がやってきた。その中心には滝野さんの姿が。フィジカルAIが浸透した姿の未来を語った。
安川電機は産業用ロボットで世界4大メーカーの一社に数えられている。安川電機も5年前から独自のフィジカルAIの開発を進めている。今年7月には、ロボット第5工場を稼働した。AIを搭載したモートマン ネクストが行っていたのはネジ締め。これまで人間の手作業に頼ってきた部分をAI搭載ロボットに置き換えようとしている。その一つが創薬の分野。熟練した研究者にとっても難しく、不純物が混ざってしまうことも。一方でAIを搭載したモートマンネクストは試験管を回転させて様々な角度から撮影。その画像に基づいてAIが判断し、AIが最も効率よく液体を採取する方法を判断。ロボットならではの精密な動きで小さな試験管から狙った成分を最大限採取してくれる。今フィジカルAIを手掛ける理由に安川電機の社長は人手不足であり、物流的な人手不足とやりたがらない人という2種があり、人をロボットに置き換えられるなら置き換えたいというのは昔からあり、そのベースができてきたという。そのために何が必要か?
安川電機は去年7月にあるスタートアップ企業を買収。東京ロボティクスはオフィスに入ると、人形ロボットが並んでいた。toroboと名付けたロボットの設計から開発、組み立てまですべてオフィスで行っている。創業者の坂本義弘さんは今は安川電機に納入するための人型ロボットを開発している。人の手に近いロボットハンドを開発したが、技術的な課題も多く開発費もかさむために断念していた。目指すのは産業用ロボットの周りで手伝う人型ロボット。それをAIで動かすためのデータ収集に取り組んでいる。人がロボットを遠隔で操作部品を掴むなどの動作を繰り返していた。ロボットには樹脂でできたグリップのハンドを。その手元と頭にはカメラがついている。グリップのハンドでコネクターを抜いて、ナットも回す。768通りの動きをAIに学習させていく。部品の改良も進め、安川電機が開発したアクチュエーターは、駆動装置でロボットの動きをより細かく制御し人の動作に近づけることが可能。このアクチュエーターを搭載した新しいモデルのTorobo3を安川電機に納品する。
9月中旬にTorobo3の納期が2週間後に迫っていた。動作を確認するとアクチュエーターの効果でより早く、しなやかにものを扱えるように。この動作は産業用ロボットの部品についた油を拭き取る作業を想定している。人の代わりが務まるロボットに近づいた。
安川電機が買収した東京ロボティクスの「Torobo3」。出荷前に不具合が発生し、動かなくなった。赤い配線に傷が入っていたために作動しなかった。10月半ばに福岡で開催されたものづくりフェア。安川電機のブースにはTorobo3の姿が。扱うのは難しいワイヤーを掴んで箱に入れる作業を行った。東京ロボティクスの社長の坂本さんは日本には現場があり技術もデータもあり、フィジカルAIではどれだけスピーディーにやるのかという段階だとした。
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。キッコーマン 米国で稼ぐ極意。
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