- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
栃木県矢板市のJA全農とちぎの倉庫には去年の米価格の高騰で買い控えもあり、売れ残った米が山積みになっていたが、そこに新米が次々に入ってきて大量の米余りに。農協の職員からは悲痛な叫びが。横浜市にあるスーパーの米売り場では茨城産こしひかりの新米が5キロで2646円に。店頭価格は1番高かった今年1月の4416円から1500円以上下がっている。仕入れ担当者は今後について値段は下がってくると語った。この価格急落にJAのトップは農家が持続的に米作りができる価格でなければ米作りは衰退してしまうという。米農家の平均年齢は68.9歳。高齢化や生産コストの上昇で廃業する農家が3年連続過去最多に。今回の価格急落は追い打ちをかけることに。今年3月、茨城県坂東市の米農家の染野実さんは、去年の米が余っているという情報もあると答え、需要と供給のバランスなため余れば価格が下がるという。10人の従業員を束ねる染野さんは、価格の下落に備えての挑戦には、安く作れるかの研究が必要だと答えたが、今年から新たな品種を加えることにした。とうごう44号は実が多い品種とコシヒカリを交配したもの。多収米と呼ばれコシヒカリの1.5倍の実がつく。染野さんは生産性を上げることで価格の下落に立ち向かおうとしていた。低コスト化を図るために新たな手法にも取り組んでいた。
通常は水を張った田んぼに苗を植えるが乾いた土に直接種を撒いていく。乾田直播と呼ばれ、苗を育てる必要がない。水を管理する作業も減るために従来のやり方に比べ生産コストを2割ほど削減できるという。色が赤いのは鳥に食べられないように苦い成分で種をコーティングしているため。農家は後継者不足だが、染野さんには頼もしい存在に、息子の照大さんが今年から米作りを学び始めた。
家計負担とコメ価格という映像が流れた。
茨城県坂東市で先進的なコメ作りに挑む染野さん親子。息子の照大さんは娘婿で染野さんの三女との結婚後に跡継ぎになった。染野さんは将来米作りを託したいと考えている。5年前に結婚した照大さんは2人の息子がいる。妻の由香さんとは茨城の農業大学校で出会った。庭先に植えようとしていたのはシャインマスカット。以前は自営業でブドウの栽培をしていたが、ブドウでは生計が立てられず米農家になったという。しかし大きな失敗に蒔く準備を進めていた種籾。照大さんが管理を任されていた種籾にはカビが生えていた。薬剤メーカーとの話の行き違いで乾燥が不十分のまま保管していたためだという。
5月中旬に、2カ月間に種まきを終えた多収米のとうごうは乾いた田んぼでも芽を出していた。その後染野さんが恐れていた事態に。7月下旬には染野さんについていくと、倉庫には売れ残った米が山積みになってしまった。米の価格高騰で代替米を使用する人が増え、米が売れ残ってしまったという。去年は価格高騰に振り回され、今年は価格下落と戦うことに。
染野さんには経営の悩みを相談しあえる農家仲間がいる。10年前に皆で会社を立ち上げていたが、創業したのは米を輸出する会社の百笑市場。輸出で収入を増やし、米農家が笑顔になる。そんな願いがこめられてる。染野さんたちは、海外のスーパーで試食販売を行うなど日本の米をアピールしてきた。その百笑市場の経営を任されているのが長谷川有朋さん。アメリカの大学で国際経済学を学んだ。帰国後はベイスターズでラミレス監督の専属通訳に。長谷川さんも茨城出身で、縁があって社長を引き受けた。茨城県下妻市に百笑市場の本社があるが、米を年間2300トン輸出し、37の国と地域に展開。しかし米の輸出量は日本全体でみると生産量のわずか0.6%に過ぎない。4月下旬に、アメリカのボストンに長谷川さんの姿が。やってきたのはダウンタウンにある公園。大勢の人が集まっていた。この日は年に一度のジャパン フェスティバルを開催。伝統文化の着物や将棋、漫画のキャラのコスプレショーまで日本一色のイベント。日本食も振る舞われ、大量の日本米を持ち込んでいたのは長谷川さん。用意したのは焼きおにぎりで具を挟んだライスバーガー風、ツナを挟んだスパイシーなおにぎりは1200円。常陸牛を挟んだものは2000円と強気の値段。予想以上の売れ行きに長谷川さんは客の意見を聞いた。販売開始から5時間で米が完売した。しかし北米には最強のライバルがいた。
令和の“コメ余り”という映像が流れた。
4月下旬にカナダ・トロントにいた百笑市場の長谷川さんがやってきた。この街もまた空前の日本食ブームで、和食の店が増えているという。やってきたのは寿司レストランで、店の一番人気はキャビア風のとびこをのせたマグロの押し寿司。値段は2000円だが、北米のほとんどの寿司レストランで使用されているのがカルローズ米。世界的にも大きなシェアを誇る。長谷川さんは早速売り込みにかけるが、日本米を試してもらえることになった。次にやってきたのはカナダで33店舗を展開しているアジア系スーパー。コメの売場には、百笑市場が輸出した米が置いてある。一ヶ月前に販売が始まったばかりだが、この店の売れ筋もカルローズ米5キロの平均価格は1700円ほど。日本米は5キロで3600円と倍以上する。
鳥取県に低コストの米作りに挑む人がいる。トゥリーアンドノーフの徳本修一さんも乾いた田んぼに直接種を撒く乾田直播を取り入れ、大型ドローンによる肥料散布など先進的な農業に取り組んでいる。さらに人工衛星データを活用し稲を管理。生産コストを従来の半分以下に削減できた。しかしいくら頑張っても生産コストを下げきれない日本特有の問題には、田んぼは横並びにあるものの、あぜ道があると2枚分の作業効率がかかる。一枚あたりの田んぼの面積を広げるしかないと徳本さんは答えた。今年5月中旬に徳本さんの田んぼにやってきたのはコマツの小川啓之会長。ブルドーザーが田んぼの畔を削っていく。徳本さんはコマツの協力を得て3枚に分かれていた田んぼを1枚の大きな田んぼにまとめようと考えた。この基盤整備には高度な技術が求められる。3枚の高低差は30センチ。ブルドーザーで高い方から低い方へ土をうつし全体を均一の高さにする。しかし表面の土には稲の成長に欠かせない微生物が生息。まず表面の土を15センチほど削ってから残った部分を同じ高さに維持。最後に微生物のいる土をもどす。この複雑な作業を効率化するのがコマツが開発したICTブルドーザー。ドローンや人工衛星などの位置情報を使って田んぼの3次元データを作製。そのデータをもとに走行中のICTブルドーザーが自動でブレードを上下に動かし、田んぼを平らにしていく。2ヶ月後に整備した田んぼには、均等に水が張っていた。
7月下旬、茨城県坂東市で親子で新たな米作りに挑んでいた染野さん。やってきたのは多収米のとうごうの田んぼ。実をぎっしりつけて花を咲かせていた。この日、とうごう44号を開発したメーカーの近藤さんが米をチェック。従来なら一つの穂に80粒ほど米がつくが、数えると182粒あったという。娘婿の照大さんが作業をしていたのはドローン。大型のドローンで肥料撒きを行っていた。若い照大さんが入ったことで生産効率があがっていく。事務所に戻った染野さんはこの頃各地でJAが農家に払う概算機が発表されたが、去年も4割も下がっていた。民間の米の余剰在庫は過去最大で今季の新米が売れ残り、在庫はさらに売れ残る可能性が。染野さんは百笑市場でとうごう44号を輸出するという。低コストも収量も多いとうごう44号なら海外でも勝てると考えた。
その頃百笑市場には長谷川さんの元に米余りを心配する農家から米の買取依頼が相次いでいた。集まったのは過去最高の4200トン以上。去年を2000トン近く上回った。しかし売り先がなかったらどうするか?という不安もある。8月11日に台風15号が茨城県に初上陸した。
8月11日に台風15号が茨城県に初上陸した。染野さんの田んぼには台風が近づいていた。見回りを終えた従業たちだったが、午後11時には台風は坂東市の南を通過し、強い風が夜中まで吹き続けた。翌朝、コシヒカリの田んぼは穂が倒れていたが、一度倒れると稲刈りできたとしても収穫量は減ってしまう。一方とうごう44号は穂が倒れることはなかった。背丈が低く、茎も太く、倒れづらく収量が安定している。9月下旬には田んぼは一面黄金色に。とうごう44号には実がぎっしりついていた。初めての収穫が行われたが、その収量は同じ面積でコシヒカリの1.4倍に。娘婿の照大さんがコンバインを操作していたが、染野さんの期待もひとしお。5日後に、とうごうが炊きあがった。その味の感想に染野さんは甘味と粘りがあり輝きが良いと答えた。
ロンドンに飛んでいた長谷川さんにビッグビジネスが動き出そうとしていた。
- キーワード
- ロンドン(イギリス)
ロンドンに飛んでいた長谷川さんは実業家のアンドレア・ラスカさんと会っていた。来年に日本の食文化を体験できる施設を作りたいと考えているという。飲食店が17店舗入るというが、日本米を売るチャンス。日本米を食べてもらった感想は好感触。世界に向けた勝負が始まる。
- キーワード
- WAMAロンドン(イギリス)
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。空とぶテスラ。
- キーワード
- テスラ
