2024年7月22日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
メダルを懸けた“AI革命” 激変するスポーツとその未来

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
スポーツ界が激変!?パリ五輪と“AI革命”

今週開幕するパリ五輪は史上初AIが本格的に活用される。将来のメダル候補とされる16歳の競泳選手。才能を見出したのはAI。目視では追いきれない高度な技を人間に代わって判定するAI審判、チームにどれだけ貢献したのかを数値化するAI評価。急成長したAIたスポーツ界に革命をもたらそうとしている。しかし、現場では思わぬ葛藤もある。

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トーマス・バッハパリオリンピック国際オリンピック委員会
オープニング

オープニング映像。

メダルを懸けた“AI革命” 激変するスポーツとその未来
AIが“勝者”を予測!?金メダル攻防最前線

世界で最もAIの活用をすすめるチームの1つが競泳のオーストラリア代表。トップ選手たちが練習を行う施設、プールサイドや水中にはカメラが仕込まれ、飛び込み台は特殊仕様。最新鋭の機器がトップスピードや入水角度を記録し、1人あたり1000近いデータをAIが読み込み、泳ぎの分析に活用している。オーストラリアがAIの活用に自信を掴んだのは3年前の東京五輪だった。タッチの差で金メダルを獲得した女子メドレー。この選手たちを提案したのはAIだった。3人目バタフライに選ばれたのはエマ・マキーオン選手。東京五輪では100m自由形で金メダルを獲得したが、バタフライでは銅メダルだった。コーチ陣の中にはマキーオン選手を自由形で出場させるべきとの声もあったが、AIの判断は、個人とリレーのタイム差や直近5レースの出来、1000近いデータを分析しバタフライでの出場を判断した。マキーオン選手は実際、オーストラリアの逆転を呼び込んだ。

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エマ・マキーオンクイーンズランド(オーストラリア)東京オリンピック

オーストラリア代表をサポートするのは大手IT企業。AIの技術はアスリートを強力にバックアップする力を秘めている。AIを使って金の卵を発掘しようという動きも始まっている。オーストラリアの競泳チームがこれまで課題としてきたのは、早生まれの選手の才能どうすくいあげるか。学年ではなく年齢ごとに開かれるオーストラリアの協議会。そこで開発したのが10代前半の選手の身体的な成長を予測するAI。競泳選手6500人分のデータが入力されている。このAIによって才能を見出されたが16歳のイザベラ・オズボーン選手。身体が小さいこともあり11歳のときのタイムは全体の真ん中より下だったが、成長のピークを迎えるころには上位10%に入るとAIが予測した。選抜チームに引き上げられたオズボーン選手は今年4月にはオーストラリア代表に選出された。

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アマゾン・ウェブ・サービス

AIを活用することでスポーツの公平さをより高めようという動きもある。体操の大会で使われているのは、AIが技の成功・失敗を見極めるAI審判。近年、技の高度化が進み目視での判定が難しくなるなjか、審判の補助役と導入されはじめている。大手電機メーカーが5年前に開発したこのAIは選手が採点規則どおりに競技できているか骨格・関節を測定する。すでに男女合計約1500の技を判定できる。

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富士通
“チームへの貢献度” 見えない能力をAI算出

これまで見えずらかったチームの勝利への貢献度をAIが判定する試み。バスケットボール男子Bリーグの長崎ヴェルカでは去年から選手の評価にPIPM・貢献度を表す指標を使用している。これまで選手の評価は成績の記録・スタッツを元にしてきたが、なかには陰ながらチームの勝利貢献するグルー・ガイという選手もいる。自分ではゴールを決めなくても味方をアシストする選手、味方を鼓舞する選手な どの能力はスタッツでは困難。そこで、AI開発企業が着目したのがその選手が出場していたときの得失点の状況。分析の対象としたのは全世界のリーグ戦の6000万回分のプレー。このPIPMは新たな選手の獲得にも活用されている。この日、海外選手枠で誰を獲得するべきかAIを元に分析した。浮かび上がったのはトルコリーグの下位チームに所属する選手だった。

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SportMeme長崎ヴェルカ
スポーツ界が激変!?パリ五輪と“AI革命”

スポーツ分野でのAIの活用についてハイパフォーマンススポーツセンター長の久木留毅さんは五合目ぐらい、オリンピックはショーケースであり見本市であるからAIはパリ五輪で一気に加速していくと思うという。今後はAIを使わない手はないということになっていくなどと話した。

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ハイパフォーマンススポーツセンターパリオリンピック
AIか?自らの信念か?現場が直面する葛藤

AIが才能を見出したイザベラ・オズボーン選手を指導するジェイデン・ブライアンコーチ。この日は2週間後に大会を控える選手たちの練習メニューを考えて。負荷をかけたいと考えているブライアンコーチはハードなメニューを打ち込んでいくが、AIの分析でストレススコアは予想外に低い数値だった。選手たちにはもっと強度を上げた練習が必要なのか?自ら考えたメニューで十分なのか?葛藤する。ブライアンコーチが下したのは、AIには従わないという決断だった、負担が大きすぎると考えた。勢力的に練習をこなす選手たち。ブライアンコーチは選手たちを追い込みすぎていると考え、さらに負荷を減らした。選手を観察しながら、最適な練習メニューを柔軟に組んでいく。

スポーツに本格導入 AIの可能性と“課題”

AIの活用によって期待されることと、懸念されることがある。懸念は技術力で格差が生まれる、意思決定がAI頼みになるなど。久木留さんはAIを使えるところはいろんな選択肢が増えてくるが、AIが使えないところは落ちていくという技術力で格差が生まれてはいけないという。AIに頼りすぎてしまうことでコーチと選手の信頼関係がゆらいでしまうこともある。コーチとアスリートが対話を続けるためには学び続ける必要がある、AIを使いながら対話を続けていくのが理想。久木留さんはハイパフォーマンススポーツはアート&サイエンスだと考える、想像力と表現力はアートの部分、支えるサイエンスがしっかりあるところがAIが期待されていることだと話した。

(エンディング)
次回予告

クローズアップ現代の次回予告。

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