2024年7月16日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 アメリカ「分断」の行方

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 アメリカ「分断」の行方

アメリカ大統領選さなかの暗殺未遂。銃撃事件後に姿を現したトランプ氏、共和党大統領候補に指名された。事件をきっかけにアメリカ社会に分断が深まることが懸念されている。事件後、各地で対立が起きている。犯行の動機とは?

キーワード
アメリカ合衆国大統領選挙ドナルド・ジョン・トランプ共和党
オープニング

オープニング映像。

トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 アメリカ「分断」の行方
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 凶行の背景に何が?

事件が発生したのは7月13日、トランプ氏の演説中に起きた銃撃で集会の参加者1人が死亡、2人が重傷を負い、トランプ氏も右耳にケガをした。共和党大会でトランプ氏が大統領選の候補者に正式に指名されるわずか2日前だった。事件を起こしたのはトーマス・マシュー・クルックス容疑者、20歳。その場で射殺された。

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トーマス・マシュー・クルックスドナルド・ジョン・トランプ共和党

トランプ氏が演説をしていたペンシルベニア州の会場、演説開始から4分30秒後に不審な動きが撮影されていた。会場近くで、屋根の上に1人の男が上がっていた。男がいたのは演説場所から120m以上離れた建物の屋上で警備員が配置されてい場所だった。動画が撮影されてから1分後、男の銃弾でトランプ氏は右耳を負傷し、観客1人が死亡し、2人が大怪我を負った。銃弾から40秒後、容疑者は射殺された。容疑者は介護施設で働いていたトーマス・マシュー・クルックス容疑者、20歳。事件現場から車で1時間程度離れた中流階級が多く住む地域に暮らしていた。高校時代は成績優秀者で表彰されたこともあった。その一方で高校時代には射撃部に入ろうとしていた。もの静かで銃の腕前もよくなったという容疑者。取材をすると銃に執着していった背景の一旦が見えてきた。容疑者が着ていたTシャツはあるユーチューバーが販売していたものと同じものだった。ユーチューバーの男性は様々な銃の使い方を紹介する動画を作成し、登録者数は1100万人以上。動画の中で紹介していたのがAR-15、容疑者が事件で使用したライフル銃。軽量で扱い安いこの銃は、過去にアメリカで起きた銃撃事件で何度も使われ、国内の流通量は2000万丁をこえている。ユーチューバーの男性はきょうコメントを発表し、動画では政治や暴力をテーマにしたことはないと話した。容疑者は地元の射撃場に通い、銃の腕を磨いてきたという。はっきりとした動機や背景はわかっておらず、FBIは解明を急いでいる。

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AR-15トーマス・マシュー・クルックスドナルド・ジョン・トランプベセルパーク(アメリカ)ペンシルベニア州(アメリカ)共和党連邦捜査局
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 銃による凶行の影響は?

銃に執着を持つ若者が大統領候補を狙うという事件。使われたライフルはトランプ氏が大統領だったときに規制に強く反対したものだった。渡辺靖さんはアメリカには人口よりも多い4億丁もの銃が出回っていて、悪いのは人間であって銃ではないと考える人もいる、今回の事件をもっても銃規制にはつながりにくいという。

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ドナルド・ジョン・トランプ共和党
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 最新報告 共和党大会は

銃撃をうけたトランプ氏はきょう共和党の党大会に姿を現した。会場の雰囲気について、トランプ氏が登場すると歓声が続いたという。トランプ氏は静かに歓声を受けとめている様子だったという。事件をうけてトランプ・バイデン両氏とも、卑劣な暴力は許さないというメッセージを発信している。大統領候補が狙われた衝撃は大きいが、銃規制という議論にはなりそうもない。

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ウィスコンシン州(アメリカ)ジョー・バイデンドナルド・ジョン・トランプ共和党
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 共和党大会で見えたのは?

渡辺靖さんは党大会でのトランプ氏について、事件前とは違い神妙な面持ちで大統領候補らしい威厳を保とうとしているように見えたという。トランプ氏の表情は事件を経て何か変わったのかもしれない、それは選挙戦略にすぎないのかもしれないと話した。

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ジェームズ・デイヴィッド・ヴァンスドナルド・ジョン・トランプ共和党
トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 アメリカ「分裂」の行方

事件の翌日、ニューヨークのトランプ・タワー前にはトランプ氏の支持者たちが集まっていた。暴力に屈しない姿勢をみせたトランプ氏を称え強い指示を口にした。中には民主党への不信感を募らせる支持者もいて、興奮のあまり通行人に暴言を吐く場面もあった。きょう行われた共和党大会で副大統領候補に指名されたバンス氏は、トランプ氏は権威主義的なファシストで阻止すべきだというバイデン陣営の主張が暗殺未遂につながったとSNSで批判していた。共和党大会の会場の外には反トランプを訴える人や民主党の支持者が集まっていた。SNSには事件はトランプ氏のでっち上げだという言葉が相次いで投稿された。事件を機に互いへの不信感を募らせ、分断をいっそう深めるアメリカ社会。政治と暴力を研究するリリアナ・メイソン氏は分断が暴力の引き金となる恐れを指摘している。トランプ氏が大統領に就任した2017年頃から党派対立や社会の分断がより深まってきたアメリカ、政治的対立が暴力につながる事件が相次いできた。白人至上主義者が活動を活発化させ、それに対抗するアンティフアとの衝突が激化した。3年前には議事堂乱入事件が起きた。専門家は相反する政治的思想を持つ人を受け入れない考えが広がり、暴力を生んできたと指摘する。今回の事件でバイデン大統領はこれまで続けてきたトランプ氏への攻撃を一時的に控えざるを得ない状況になっている。トランプ氏はきょう、支持者の前に姿を現し自らの健在をアピールした。専門家は今回の選挙ではアメリカの民主主義がかつてなく問われると指摘。

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トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 大統領選挙への影響は?/トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 暴力増加の懸念は?/トランプ氏“暗殺未遂”の衝撃 民主主義守るには何が?

アメリカ大統領選は11月5日に投開票日を迎える。渡辺靖さんは今のアメリカは分極化が進んでいて、どちらかの党の候補になればほぼ自動的に45%ほどの票がとれる状況にあるので地すべりは起きにくい、事件があっても地すべり的な勝利になることは想像しがたいという。残された無党派層の票をどうとるかが今後のポイントになってくる。今回の事件もあってより共和党、トランプ氏に勢いが出てきたということで民主党の中には大統領選は厳しいのではないかという声もある。近年のアメリカでは連邦議会議員への脅迫事件が増えていて、昨年で8008件、5年前に比べて倍増している。今年6月の調査で、トランプ氏再選のためなら暴力の行使は正当化されると答えた割合が6.9%、トランプ氏再選阻止のためなら暴力の行使は正当化されると答えた割合が10%だった。渡辺靖さんは言葉では相手を説得できないという考えが広がっている、民主主義にとっては危機である、根底にはアメリカの中間層がなくなり経済格差が大きくなってきている、選挙のたびに相手の人格否定をするような抽象攻撃がエスカレーションしていることを指摘。「不同意への同意」という言葉がある、相手の立場を尊重しようという考えで、民主主義の根幹をなす一番大事なメッセージだと話した。

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