- 出演者
- 辻浩平 藤重博貴 酒井美帆
オープニング映像とともにキャスターらが挨拶。
「パレスチナ 国家承認相次ぐ」「日本とドイツ 防衛交流深まる」「ウォール街の顔 米経済の行方は」「北方領土 元島民の焦り」という今日のニュースラインナップを紹介した。
パリのエッフェル塔に映し出されたのはパレスチナの旗とイスラエルの国旗、旗の間には平和を象徴するハトの姿も映し出された。そのパレスチナとイスラエルの2国家共存による和平を推進する会議が22日、国連本部で開かれ、会議の共同議長を務めるフランスのマクロン大統領はパレスチナを国家として承認すると宣言した。G7主要7か国としてはイギリスとカナダに続いて3か国目の承認となったフランス。会議では、ルクセンブルクやマルタ、アンドラも承認を発表し、すでに承認している国を含めると、国連加盟国のおよそ8割、150カ国以上がパレスチナを国家として承認したことになる。
23日に始まった国連総会の一般討論演説では、中東の国々の首脳がイスラエルを非難し、停戦の実現を求めた。トルコのエルドアン大統領はガザ地区で食料を求める住民や痩せ細った幼い子どもの写真を掲げて演説。またヨルダンのアブドラ国王も「ガザ地区では6万人以上が犠牲になり学校や病院などが破壊され飢餓が広がっている」と述べてイスラエルを非難した。一方、アメリカのトランプ大統領は演説で「ハマスへの大きな報酬になる」と非難し、こうした動きに反対する姿勢を示した。またドイツは第二次世界大戦中にナチスがユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストを行った歴史があり、その責任からイスラエルへの支援を外交政策の基本としていて、パレスチナを国家として承認することに慎重な立場を示している。
パレスチナの国家承認について、視聴者の皆さんからの声を紹介。「乱暴な言い方だが、何でもかんでもアメリカに追従しなくていい。他国の顔色を伺わず、日本独自の信念で判断していただきたい」「国家承認するとしても、誰が政権を担うのか。パレスチナ自治政府は政権担当能力がないとされ、ハマスに人質を解放させることもできていない。今回の日本政府の判断は正しい」という声も寄せられた。
23日、アメリカのトランプ大統領も2期目の就任後、初めて国連総会で演説した。1時間近くにわたった一般討論演説まず述べたのが自らへの称賛だった。アメリカ国務省は23日、SNSの中で「終わらせた7つの戦争の事例」としてカンボジアとタイ、パキスタンとインドなどを挙げた。ただ、こうした主張についてアメリカのメディアは懐疑的な見方も伝えている。ことし5月に実現したインドとパキスタンとの間の停戦合意を巡ってはインドのモディ首相が「アメリカの関与は停戦になんの関係もない」といら立ちを示したとも報じている。そしてトランプ大統領が自身の成果を誇る一方で批判したのが国連だった。さらに移民政策についても批判を展開した。
トランプ大統領の演説では国連批判も目立ったが、事前に想定されていたほど強いものではなかったという。というのも事前の報道などでは一部の国際機関への関与の終了やICC(国際刑事裁判所)への制裁もありうるとみられていた。メディア側にも緊張感があったが、結果的にそこまで強い内容は含まれなかった。ただ、楽観はできないという。話を聞いた専門家は「いつまた国際機関からの離脱や関与の縮小を表明してもおかしくない」と指摘している。その対象として国連難民高等弁務官事務所や国際移住機関などを挙げる人もいた。各国がトランプ政権の今後に身構える状況は続きそうだ。
トランプ大統領の演説で印象的だったのは気候変動を強く批判したことだ。トランプ大統領は「気候変動対策は世界最大の詐欺」と指摘し国連などの予測は全て間違っていたとまで断じた。きょうこの後、気候変動に関する首脳級の会合が開かれる。また11月にはブラジルで気候変動対策の国連の会議COP30が開かれる予定で、きょうはこれに向けた各国の計画などが話し合われる予定だ。トランプ大統領が気候変動を真っ向から否定し逆行した動きを見せる中、今後、日本やEUなどのリーダーシップが強く問われることになりそうだ。
ニューヨークで行われたウクライナのゼレンスキー大統領との会談の後、トランプ大統領がSNSに投稿し示したのは「ロシアに占領された領土を奪還できる」との見方だった。これまでトランプ大統領はロシアが占領しているウクライナの領土の割譲に言及するなどロシア寄りとも取れる姿勢を示していた。しかしこのところ、ウクライナとの交渉に応じる姿勢を見せないプーチン大統領に対し、強い不満を示していて、アメリカメディアは「トランプ大統領がウクライナ侵攻についての見方や評価を転換させた可能性がある」などと伝えている。投稿を受け、ゼレンスキー大統領は「大きな転機だ」と評価。フランスのマクロン大統領も「非常に正しいものだ」とコメントした。
辻浩平さんによる解説。ロシアの化石燃料輸出による歳入は戦争が始まってから減っている。ロシアの化石燃料を輸入した国は上位から順に中国、インド、トルコ、EU、韓国。トランプ大統領はきのうの国連演説で不満を隠さなかった。ウクライナは先月以降ロシアの製油所への無人機攻撃強化した。攻撃を受けたロシアの精製施設の紹介。ウクライナとの国境から1400キロ離れたロシアの製油所まで攻撃を受けている。生産能力を抑え込めば、輸出もできなくなる。ウクライナ・ゼレンスキー大統領は「最も有効でかつ素早く効果を上げる制裁はロシアの製油所や石油ターミナル貯蔵施設への攻撃だ」と述べた。ロシア国内38の製油所のウチ16箇所が先月以降攻撃を受けている。ウクライナによる無人機攻撃は国内の供給を混乱させ、ロシアのディーゼル輸出量を2020年以降最低水準に押し下げている(FINANCIAL TIMES)。一連の攻撃でロシアの原油精製能力は1日あたり100万バレル以上の精製機能停止し、ロシア全体の17%ともいわれている。外交や経済制裁で止められていないロシア。軍事的手段で遮断しようとするウクライナ。国際的な原油価格を押し上げ世界のエネルギー安全保障を不安定化させることも考えられる。
JPモルガン・チェース・ジェイミー・ダイモン会長兼CEO69歳のインタビュー。総資産は約4兆6000億ドル。ダイモン氏はウォール街の顔としても知られている。ニューヨーク株式市場では株価が上昇を続け最高値を更新している。ダイモン氏は「もっと上る可能性もある。私は少し慎重だ。地政学やインフレ、貿易問題などさまざまな要因が市場を混乱させる可能性があり、株式市場が正しい時もあれば大きく外れているときもある」と話した。株価上昇のキッカケは17日FEBが利下げに踏み切ったこと。雇用情勢の減速が鮮明になっていることを上げ、景気を下支えすることへの期待が高まっている。ダイモン氏は「アメリカ経済はたしかに弱まっている。労働市場や支出、景況感、消費者と企業の損失増加といった形でその兆候が見られる。しかしこれは景気後退を意味するものではない。単なる景気の減速に過ぎないかもしれない」という。
世界の基軸通貨「ドル」の今後について。今年トランプ大統領が相互関税を発表した際、株式・ドル・アメリカ国債が揃って売られる「トリプル安」の局面となる場面もあった。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン会長兼CEOは「我々は軍事的にも経済的にも優位性を維持する限りドルは卓越した通貨準備通貨であり続けるだろう」とした。 また「もし西側諸国の同盟が何らかの理由で崩壊すれば、ドルは準備通貨ではなくなるだろう」と述べた。
ただドルの信認を揺るがしかねない事態も起きている。トランプ大統領はFRB・パウエル議長に繰り返し強く利下げを要求、理事の解任を通告するなど影響力を強めようとしている。こうした状況についてJPモルガン・チェースのジェイミーダイモンで氏は「中央銀行は独立しているべきだ」と主張。FRBを過度に攻撃するのは得策ではないとした。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンが一般にも広く公開している「年次書簡」は世界中の投資家やメディアが注目している。今年目を引いたのは中国などを念頭に新たな世界“経済”戦争に勝利するために、“アメリカは先頭に立つべきだが単独主義に陥るべきではない”という指摘。「アメリカは良き同盟国の日本とともに西側世界の軍事同盟を強化すべきだ」とした。
中東ヨルダンでは雨季が短かったことでこの65年で2番目に深刻だという干ばつに見舞われた。南部にあるこのダムは1千万立方メートル(東京ドーム約8杯分)の水を蓄えていたが、今や底が見える状態。
フランス北部リールで開催されたのはヨーロッパ最大級の「のみの市」。6000ほどの出店者の間を人々は掘り出し物を見つけようと、一歩一歩縫うように進む。この「のみの市」は2日間で200万人あまりが集まったと見られている。
ヨーロッパに初めて派遣されている航空自衛隊のF15戦闘機(千歳基地所属)がドイツ・ラーゲ空軍基地に到着した。今月14日から来月1日までアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツに派遣する。ドイツ空軍の主力戦闘機ユーロファイターの訓練も公開された。ロシア軍無人機によるポーランド領空侵犯をうけて、ドイツ空軍は常駐する戦闘機を倍増、警戒を強めている 。航空自衛隊トップ・森田航空幕僚長は「ヨーロッパ、大西洋、インド、太平洋の安全保障は不可分で相互に連関しているとの認識のもとドイツとの防衛協力や交流を深化させていきたい」、ドイツ空軍・ホルガー・ノイマン空軍総監は「われわれはアジア、ヨーロッパ、北米という地域を越えてルールに基づく社会と民主主義を守っていくためにともに力を合わせることで一致している」と話した。去年はドイツに加え、スペイン、フランス空軍とともに共同訓練を行った航空自衛隊。ヨーロッパ外交問題評議会・ポールカンプ客員研究員は「両国にとって現在の安全保障は地域を限定して考えるものではない。ヨーロッパとインド太平洋地域は密接に関連していると両国は理解している。ドイツはアメリカの予測不可能な要素を強く認識し、新たなパートナーを積極的に模索している」と解説した。
北方領土(択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島)の紹介。1992年からビザなし交流が行われてきた。5年前新型コロナの感染拡大により中止、その後もロシアによるウクライナ侵攻影響で再会の見通しは立っていない。友好の家を訪れると、スポーツバーに改装されていた。地元公営企業・ガリーナ・ブイシュロワさんは「テーマはサッカー。地区長がサッカーファンだから」 と話した。友好の家は日本の訪問団の臨時宿泊施設などに使用すると四島側と同意していた。現在の主な利用者はロシア人観光客。ウクライナへの軍事侵攻をめぐりロシアは制裁をかした日本に反発。平和条約交渉は一方的に中断、ビザなし交流も停止させた。日本との交流を停止する一方、ロシアが官民あげてすすめているのは観光開発。地元政府が多額の資金援助をしている。おととしオープンした高級リゾート施設は利用客が去年比35%増加した。軍事侵攻後、ビザの発給が制限され、ヨーロッパなど行きづらくなっているロシア人観光客を取り込む狙いだ。リゾート施設管理者は「さらに拡大させたい。成長の余地がある」と話す。ビザなし交流が始まって約30年自身も参加したことがある地元紙の編集長・セルゲイ・キセリョフさんは「交流の再開について話すことはいまはとてもできない。」という。北海道根室市に暮らす色丹島出身の得能宏さん91歳。祖父の代から色丹島に住んでいたが1945年9月旧ソビエト軍に占領された。得能さんは小学5年生で学校の教室にロシア兵が踏み込んできたことを憶えている。得能さんのように自力で退去できなかった島民たちは1947年からサハリン経由で函館に強制退去させられた。十分な食事もなく、衛生状態も悪く命を落とす人もいた。千島歯舞諸島居住者連名関東支部が引き揚げ船乗船者名簿のうち元島民約8800人を公表した。得能さんは涙を流しながら名簿を見た。幼くしてなくなった姉の子供貞子さんは船内死亡の印が押されていた。「80年前の歴史が現れてくる。名簿の説得力」と得能さんは話した。
北方墓参はウクライナ侵攻の影響で中断。得能さんは2019年を最後に色丹島を訪れることができていない。得能さんは「日本とロシア、アメリカとロシアの関係をみると、いつ行けるのかなと思う。もう1回色丹島に行きたい」と話す。長年領土返還運動を続けてきた元島民の高齢化は急速に進んでいる。返還運動の継承が課題になっている。祖父が国後島出身の久保こころさん17歳高校2年生は領土問題の啓発活動を行う部活動に所属。こころさんは地元のFM番組に出演、各地の学校に出張授業を行ったりして領土問題を伝えている。こころさんは「将来返還、共存の道につながれば一番いい」と話した。
北方領土についてスタジオトークした。日本は北方墓参に重点を置き、交流事業再開を求めている。ロシアは、日本を「非友好国」に指定し軍国主義が復活しつつあるなどと批判を強めている。対話の糸口を見出すのも厳しい状況だ。洋上慰霊を現在は行っていて、伊藤沖縄北方担当大臣にも墓参の早期再開を訴えた。元島民は終戦時1万7000人余だったが6月末時点で約4900人平均年齢89歳。