- 出演者
- 有馬嘉男 森花子 小川秀世 袴田ひで子 山崎俊樹
静岡県旧清水市、味噌会社で何者かが4人を殺害し放火した。逮捕されたのは従業員の袴田巌さん。過酷な取り調べで自白させられ死刑が確定。48年もの間、獄中に閉じ込められた。弟を救う、姉ひで子さんは孤立無援の中戦い続けた。
オープニング映像。
戦時中、浜名湖の辺に暮らしていた袴田ひで子さん。おとなしい末っ子の巌さんが可愛くて仕方なかった。戦争が終わり税務署で働き始めたひで子さんはおしゃれが好きだった。巌さんはボクシングでプロデビューを果たしたが体を壊し引退、地元の味噌会社で住み込みで働き始めた。
1966年6月30日、巌さんが働く味噌会社で専務の一家4人を何者かが殺害。現場に火を放ち逃走した。警察は腕力があり借金や離婚歴がある巌さんをボクサーくずれと呼んで犯人視。巌さんの部屋から見つかったパジャマを犯行時の着衣だとした。1966年8月8月18日に巌さんは逮捕された。取り調べは過酷を極め1日平均12時間を超えた。ついに自白したが、裁判では無罪を主張。獄中から家族に手紙を送った。家族は金を出し合って弁護士を雇い署名活動を行った。
事件から1年2か月、味噌タンクから麻袋に入った5点の衣類が突如発見された。検察はこれまで主張していた犯行時の着衣をパジャマから一転、これらを犯行着衣だとした。巌さんは死刑を宣告された。母親は判決に衝撃を受け病に倒れ、2か月後に亡くなった。ひで子さんは10年以上に渡り無罪を訴え続けたが1980年に死刑が確定。巌さんの精神が崩壊し、拘禁反応と呼ばれる幻覚や妄想が現れ始めた。ひで子さんは孤独な戦いに疲れ果て、徐々にアルコールに依存するようになっていた。
1981年、裁判のやり直しの再審を求める戦いを起こした。しかし日本の司法制度において再審は開かずの扉だった。警察・検察の証拠開示の義務はなく、弁護団は無罪の新証拠を出す必要があった。巌さんは死刑執行の恐怖に追い詰められ面会を拒絶するようになった。支援者の山崎さんはひで子さんを連れて面会を続けた。小川弁護士は突然発見された5点の衣類に注目した。多くの矛盾点があり、犯行時に履いていたとされたズボンは巌さんには小さくて履くことができなかった。返り血とされる血液はズボンより下に履いているはずのステテコに多くついていた。5点の衣類のねつ造を自分たちの手で証明し新たな証拠にする。ズボンにはマッチと絆創膏が入ったいたが、長く味噌に漬かっていたならもっと変色しているはず。実験を開始し実際に同じ期間味噌に漬けてみたが、絆創膏もマッチも変色していなかった。新証拠にはならならず、巌さんの拘禁症状はより激しさを増した。
弁護士の小川秀世さんと支援者の山崎俊樹さんが登場。弁護団の議論は進まず、最初は話を聞いてくれなかったと小川さんは話した。新しい証拠を作ることが一番難しかったという。
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2004年8月、再審請求は東京高裁で棄却された。しかしこの時、高裁の決定文には「衣類が味噌タンクに1年余りも漬かっていた」と明記されていた。マッチと絆創膏を味噌に漬けた実験の際に白いシャツも一緒に漬けていた。1年2か月後、シャツは変色した。検察が出したシャツは白いまま。山崎さんらは再び味噌漬け実験に挑み始めた。シャツにつける血は鶏の血を使った。知り合いの医師や協力者に呼びかけ、人の血液でも実験した。血は黒く変色したが証拠として出すには不十分だった。
27年間に及ぶ第一次再審請求は最高裁で棄却された。シャツの布地や味噌の種類、血液型や漬ける時間などあらゆる組み合わせで実験を重ねた。証拠開示がようやく認められ、検察が証拠として出していた全く違う味噌に染まっていない緑色のブリーフの写真もあった。証人尋問では山崎さんは実験の内容を述べた。再審が開始され、裁判長は5点の衣類は捜査機関のねつ造の疑いがあるという決定文を書いた。マスコミも誰も予想しなかった前代未聞の即日釈放だった。
小川弁護士、山崎さんは今でも連絡を取り合っている。ひで子さんは「弁護士・支援者皆さん一生懸命やってくれた、その人達のためにも嬉しいと思った」などと話した。
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前代未聞の即日釈放から3か月後、巌さんが帰ってきたら一緒に住もうとひで子さんが建てた家に巌さんが足を踏み入れた。巌さんは長い交流生活の間、独房中を歩き続けていたという。その習慣は抜けなかった。ひで子さんはどんな巌さんでもただただ嬉しかった。
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