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今回は美術家の森村泰昌を特集。その快作の誕生に密着6ヶ月。深川麻衣が迫った。
オープニング映像。
大阪中之島美術館にやってきた深川麻衣。現在、森村泰昌が企画した展覧会が開催している。通天閣の前で、ハーレーダビッドソンにまたがるのは往年の大女優のブリジッド・バルドー。そのブリジッド・バルドーになりきった写真。森村さんは生まれ故郷の大阪を舞台に、歴史上の人物になりきった様々な作品を生み出してきた。それらをセリフリメイクし、手書き風の看板に。深川は以前森村さんの制作現場を訪れたことがあった。その時にフェルメールの名画になりきって撮影までした。今回森村さんはかつてないチャレンジで制作した新作を展示するという。
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去年11月に住之江区にある森村さんのアトリエに向かった。カメラマン・舞台美術やメイクなど、撮影に欠かせないスタッフが集結。今回の元絵が決まると、1ヶ月後に訪ねたのは大阪中之島美術館のバックヤード。木谷千種の代表作の浄瑠璃船は縦1.7m、横3.6mの屏風絵。江戸末期大阪の大河に夕涼みの遊覧船が行き交う風景。その賑わいを失われ行く上方の文化として描いた。森村さんはこの作品を選んだ理由には、人形浄瑠璃の物語を語る太夫と、その客、描かれたその8人を演じ切ろうという。
2月に浄瑠璃船の中にある浄瑠璃船の制作が行われていた。絵を元に帆先の角度などを細かく設定したが、森村さんはなりきる作品を徹底的に調べ上げる。いよいよ撮影がスタート。描かれた人物を順番に撮影し、最後に組み合わせて作品に。まずは絵の上半分。物語に聞き惚れる、真ん中の女性から行う。着物の柄は手書きで、絵の色や葉のグラデーションも正確に再現した。手首の角度、指先のわずかな曲がりまで寸分違わぬように行う。そして次々に人物を撮影し、納得がいくまで続ける。この日、5人の女性になりきった森村さんは、それぞれの特徴を繊細に演じ分けた。撮影は深夜にまで続いた。深川が見学に訪れたこの日、絵の下に描かれた人物たちを撮影する。演じているのは、物語の語り手の太夫。船の上で演じられる人形浄瑠璃は、人形の舞台を設けずに、物語だけを聞かせることも。背腰にわずかに残る人形浄瑠璃の床本。森村さんはそれを再現した。演目は「傾城恋飛脚 新口村の段」。近松門左衛門の作品で、男女の逃避行の物語。森村さんは、実際のセリフを声に出して撮影に臨んだ。ここで問題発生。絵の中の太夫が大きく声を張るように口を開けているが、その口の形を再現するために急遽ウレタンでアゴを作り足した。撮影は4日間に及んだ。
木谷千種の浄瑠璃船の再現では、絵に描かれた水面の再現に挑む。船の周りの水を温泉水で大革の質感を表現する。最後の仕上げは撮影した写真をハサミで切り抜き組み合わせるコラージュを行う。原画に細かく色の指示を書き足し、印刷所に送られて元の屏風絵同じ作品に。
2月、アトリエに浄瑠璃人形が持ち込まれ、もう一つの作品が作られていた。それを思いついたきっかけは絵の女性しか乗っていない船の縁の部分に何故か男物の羽織が描かれていた。森村さんはなにか想起させると答えたが、傾城恋飛脚 新口村の段は罪を犯した男と遊女の逃避行の物語。道中、父との別れを交わす家族の物語。森村さんは舟の上で実際に人形を使って物語を演じてみようと考えた。人間国宝の人形使いの桐竹勘十郎さんに演技の指導をうけて、人形使いになりきった。舟の縁に掛かった男物の羽織は、男の父親の羽織と見立てた。
木谷千種の浄瑠璃船を基にした森村さんの作品。その裏には夕暮れの幻想的な光に包まれた浄瑠璃船。物語を語る太夫らは、表と同じ。上半分の聞き惚れる女性たちは浄瑠璃人形になった作品が。裏は失われてしまった家族の絆を人形が演じる舞台に。この作品の名前は「境界線上の舟遊び(「浄瑠璃船」のために)」。森村さんはこの舟は一体どこにいくのかという次の時代を感じながら作品を観てほしいと答えた。
新美の巨人たちの次回予告。
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