2023年10月8日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
物価高・賃上げ 必要な経済対策は

出演者
山下毅 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

物価高・賃上げ、必要な経済対策はなにか、徹底討論する。

(日曜討論)
物価高・賃上げ 必要な経済対策は

食料品など物価高が続く中、賃金の伸びが追いついていない。今どのような経済対策が求められるのか、経済の専門家や経営者と考える。今月、日銀は短観を発表した。大企業の製造業の景気判断を示す指数はプラス9ポイントと前回を4ポイント上回り、2期連続で改善した。大企業の非製造業は、プラス27ポイントと6期連続の改善となり、1991年以来約32年ぶりの高水準。新型コロナの影響の緩和や外国人観光客の増加により、宿泊・飲食サービスや小売などが改善している。中小企業は、非製造業の指数はプラス12ポイント、製造業はマイナス5ポイントと、前回から変わらず横ばい。円相場は、円安傾向が続き、先週は一時1ドル=150円台まで値下がりした。150円台をつけるのは去年10月以来約1年ぶり。

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全国企業短期経済観測調査日本銀行
日本経済 現状は

日本経済の現状は。中空は「これでいいというわけにはいかないが、回復過程には入ってきている。他の国に比べ、相対的に安定してみえてきた」と述べた。河村は「緩やかに拡大する基調に入ってきた。心配なのは物価の動向。物価高をカバーできる賃上げができるかわからない。インフレを止める方向に政策を持っていかないと家計は困る」と述べた。浜野は「周囲でも厳しいという経営者は現状多い」と述べた。中村は「物価は上昇の兆しが見えてきているが、実質賃金は危機的な事態がどんどん深刻になっている。今後賃上げがどれだけ続けられるか。いま分水嶺に立っている」と述べた。滝澤は「4~6月期のGDP速報値では、実質成長率が前期比プラスだった。輸出が伸びていて外需が牽引している一方、消費・投資などの内需は特に強い動きは見られなかった。日銀短観の中小企業から、やや先行き不透明感が残る。労働市場の失業率・有効求人倍率は悪くない。人手不足感の高まりが懸念材料。GDPギャップはややプラス。需要より供給の天井が懸念材料」と述べた。

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BNPパリバ証券全国企業短期経済観測調査学習院大学日本総合研究所日本銀行浜野製作所連合総合生活開発研究所
政府の経済対策 評価は

政府は新たな経済対策の取りまとめを進めている。政府は、物価高対策・持続的な賃上げの実現・国内投資の促進など、5つを柱として今月末を目処に策定する方針。岸田総理は、成長の成果である税収増などを国民に適切に還元するべく経済対策を実施すると述べている。

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岸田文雄

政府の経済対策の評価は。河村は「今回打ち出された5分野はどれも対応を講じる局面だろうが、もう危機ではない。大規模な対策が本当に必要なのか。厳しい財政事情がある中、大規模な経済対策が組めるのか。必要なものに絞り込んでやっていくべき」と述べた。中空は「5つのうち、物価高対策は短期策、人口減少対策は長期策、国民の安心・安全確保は恒常策。経済対策として浮かび上がるのは、持続的な賃上げと、国内投資の促進。この2つをどううまく結実させるかが重要」と述べた。中村は「決して財政に余裕があるわけではない。苦しんでいる人を支えていく制度が求められる。法人税は単なる産業振興策ではなく、国民に還元される制度が望ましい。一つは、賃上げ促進税制の拡充。産業振興策と人材投資策が両立するような減税政策であるべき」と述べた。

どうみる「減税」

浜野さんは減税は嬉しいが中小企業などの対策に影響がでてこないのか心配だとした。滝澤さんは他国の例を見ると法人を対象として減税策一般には懸念されている供給制約を改善する効果もあるのかも知れないとした。河村さんは総理が成長の成果を国民に還元すると言ったが借金を抱えていて、財政の現状を無視したような拡張運営を広げると財政運営が行き詰まることを懸念している。中空さんはサスティナビリティの問題はあるがどのような日本でありたいかで増税・減税をすべきだとした。

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岸田文雄
家計の負担軽減策は

今月値上げされる食品の数は4600品目余で酒類・飲料が多く、加工食品や菓子の値上げも目立っている。累計は3万1887品目を上回っていて去年を上回っている。円安傾向が続けば来年以降も値上げの可能性がある。政府の経済対策の中で物価高対策で給付措置も検討している。レギュラーガソリンの小売価格が1Lあたりの175円程度に抑えられるよう石油元売各社への補助拡充することを年内は継続するという。電気料金や都市ガス料金も経済対策実施までの間続ける方針である。

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帝国データバンク

中村さんが国民の立場から見ると実質賃金が低いとやらないほうがよかった。低所得者の支援が必要になってくるとした。中間所得者には減税となるため単なる減税ではなく、低所得者に向けたものが求められるとした。河村さんは円安の影響で物価高がきている。低所得者を中心に対策をする必要があるとした。滝澤さんは物価高は早期には解消しない。需要対策を促進すると物価高の傾向は継続してもおかしくないとした。中空さんはお金の全体総量に制限がある中で物価高対策をしようとする資金の振り方が大事で全国民にあまねく出そうとすると一人あたりの物価高対策の金額が減る。ターゲットを絞ることが大事で期間を絞る必要がある。マイナンバーを利用することも大事だという。供給を喚起する必要があるとした。河村さんはターゲットを絞る必要があるとした。中村さんは困っている人に重点的に支援する必要があるとした。浜野さんは以前に比べて価格転嫁を認める企業は多いが、材料の相場があがっていて定価としての売値が難しい状況だとした。

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日本銀行植田和男
企業への支援は

中空さんは、物価高支援は難しいという。予想外のときには対策は必用だが、経営者がすすめるしかないだろうという。ガソリンなどの負担軽減策が行われている。物価高を止めるのは金融政策が大切だと河村さんがいう。金融政策は賃上げには直接影響しないだろう。日銀がやるべきはインフレのコントロールだ。金融政策の高架は時間がかかる。それが物価高対策には重要だ。

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BNPパリバ証券全国企業短期経済観測調査学習院大学日本総合研究所日本銀行浜野製作所
続く物価高 必要な対応は

滝澤さんは、国全体の供給能力を高めることが必用だという。支援はやりすぎにならないように気をつけなければいけないとのこと。努力している企業への支援が必用となり、物価高対策にも役立つ。中空さんは、供給力、金融対策の両方が大事だという。金利上昇には慣れていない。物価を抑制するために金利を上げることは、定石ではある。長期的には供給対策を練っていくことが大切だという。河村さんは、この国で1番借金をしているのは政府だという。財政再建の道筋を立てなければいけない。

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学習院大学日本銀行
賃上げ 現状は 課題は

今年の春闘での賃上げ率は平均3.58%で、約30年ぶりの高水準となった。また最低賃金も全国平均で時給1004円となった。一方で実質賃金は去年比で-2.5%となり、17ヶ月連続でマイナスとなった。賃上げの現状について中村さんは「実質賃金を考慮するとまだまだ足りず、特に非正規雇用の方たちの生活が苦しくなっているのでこうした人達に重点的に寄り添って欲しい」、「次の春闘で非正規雇用についてより一層の賃上げが為替や物価の変動なども考慮して実現できるかが重要」など話し、浜野さんは「中小企業は特に売上を上げるなどしないと賃上げをするのが難しいという会社が多いと思う」、「減税措置だけでなく企業が収益を上げて力を付ける事が重要」など話した。滝澤さんは「中小企業は日本経済の占める割合が多いので中小企業の賃上げ実現が大きなポイントになり、付加価値を増やして持続的な賃上げを行うべき」、「同一賃金・同一労働のルールを守りつつ、企業は価格転嫁などで企業価値を高めるべき」など話し、河村さんは「中小企業の持続可能な賃上げを出来る環境を作る事が重要で、政府には価格転嫁をきちんと出来るような環境整備に注力して欲しい」など話した。中空さんは「大企業だけでなく一律全企業での賃上げを実現するためには供給量を上げて日本の競争力を上げていくことが問題の根本的な解決方法になる」、「個人のスキル向上や働き方の税制の調整を行うべき」など話した。

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公正取引委員会経済産業省連合総合生活開発研究所
労働市場改革は

持続的な賃上げの為に求められるのは労働市場の改革だ。政府が掲げている三位一体の労働市場改革では、リスキリングによる能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給導入、成長分野への労働移動円滑化を進めるとしている。

リスキリングについて滝澤さんは「アンケート調査によるとコロナ時に労働時間が減って労働者が勉強時間が増えたかと言えばそうではない。個人でも何が重要か理解を深める必要があるが、企業も新しいテクノロジーに対応した従業員を育てる事が重要だ」となど話した。中空さんは「リスキリングのためには雇用の流動化が重要で、個人が会社を移りやすい、または企業が金銭解雇しやすいといった両者から見て柔軟な労働市場によってリスキリングがいきてくる」などとした。中村さんは「職種によってリスキリングというものの認知度が大きく違うので、工夫していく必要がある。またリスキリングによって思ったほど給料が上がらないといったことがないように精度や角度を上げていくことも重要だ」などと話した。浜野さんは「リスキリングというより多能工化をはかる。安定して継続した量産の仕事が無くなった時に短期受注などに対応した人材育成をしていくといった対策をしている会社が多い」などと述べた。河村さんは日本と欧米との雇用慣行の土壌との比較をしながら「欧米はジョブ型が徹底しているが、日本は終身雇用制がウェイトを占めているためリスキリングが上手くいかない。企業は新陳代謝を活発化させていくことが効果を高める」とした。

リスキリングを賃上げに結びつける上での課題について滝澤さんは「労働市場の流動化のためにも日本は雇用のシステムをジョブ型に変えていって適切な評価をするべき。」だと語った。河村さんは「メンバーシップ型でもできることはあるので、国全体として考えていく必要がある」とした。中村さんは雇用の流動化について「企業事情でなく、個人の臨む転職を広げる事が重要だが、そこでの一番のネックは賃上げを伴う労働移動が難しいこと。前職以上の待遇で移動できるよう経済界含めて踏み込んでいく必要がある」と話した。濱野さんは労働市場のありかたについて「もっと流動化を進めるのが有用な対策」だとした。市場改革のポイントとして中空さんは「流動化を計るためにジョブ型のシステムをとり、個人企業の両サイドで配慮していくこと」だと語った。

成長戦略は

今後、経済成長を実現するためには何が必用なのか。中空さんは、GXに賭けていったらどうかという。貿易黒字はシュリンクしている。日本の強みを考える必用がある。勝ち筋まで落とせていない。EV自動車の多くの部品は中国で作られている。日本の国際競争力を明確にする必用があり、投資する必用があり。浜野さんは成長市場に投資していくのが大切だという。社会の変化に政策のスピードがついていけていない。中村さんは人への投資が要になるという。待遇改善を成長改善に位置づけたほうがいい。教員は過労死ラインで働く人たちが多い。日本の社会構造の中で、価値観が作られる。教師たちが健全に働くことが、成長戦略につながる。教員たちの働き方が次の成長の地盤になるという。河村さんはフェアなものに変える必用があるという。年収レベルでの最低賃金を決めている国もある。専業主婦が大多数の時代ではない。フェアな対価が必用だ。不公平な仕組みを放置してはいけない。滝澤さんは、人への投資が課題だという。中空さんは、貯蓄から投資へすすめるために、戦略が必用となるという。

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グリーントランスフォーメーション
(エンディング)
エンディング

NHKプラスで、番組を最初から見ることができるという。出演者たちが挨拶をした。

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