2024年2月11日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
政労使に問う 春闘 賃上げは広がるか

出演者
山下毅 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

今年の春闘では、労働組合側から例年以上の要求が相次いでいる。連合は定期昇給分を含め去年を上回る5%以上の賃上げを要求。焦点となっているのは中小企業などへ賃上げが広がるかで、政労使のトップに問う。

キーワード
十倉雅和日本労働組合総連合会日本経済団体連合会芳野友子
(日曜討論)
コーナーオープニング

スタジオメンバーが挨拶し、今日のメンバーを紹介した。

物価上昇 上回る賃上げは/持続的な賃上げ 実現は

連合の芳野会長は「5%以上の賃上げを今年の春闘の目標に掲げることで実質賃金をプラスに転じる事を目的としていて、中小企業・非正規労働者も含めて必ず実現させなければならない」、「デフレからの脱却は必要であるが、良いもの・良いサービスには値がつくというマインドが消費者に浸透しないといけない」など話し、経団連の十倉会長は「去年を上回る賃上げは出来ると考えていて、今年は特に構造的賃上げに向けて重要な年になる」、「コストプッシュインフレから始まったデフレからの脱却のチャンスを活かしてインフレ方向に向かせるべきで、企業としては物価をにらみながらベアで応えていくべき」など話した。新藤経済再生担当大臣は「今年の春闘は30年ぶりに経済を好転させるチャンスで、少子高齢化問題を抱えた中で成長できるよう国民の暮らしを向上させるために賃上げを実現させなければならない」、「中小企業など世の中全体で賃上げの波を作っていくべきで、物価上昇に合わせて賃金が上がることを社会通念にしなければいけないので、消費者・発注元も含めてマインドを変えていかなければならない」など話し、中小企業家同友会全国協議会の広浜会長は「人手不足が深刻化している中で中小企業も続かなければいけない状況で、一定の賃上げをしなければならないという空気感があるものの原資を確保できるのかは別問題となる」など話した。埼玉大学の金井教授は「今年の春闘はデフレマインドの払拭がまだまだ必要で、企業・組合の慎重姿勢を取り払っていくべきだと考える」など話した。

キーワード
中国中小企業家同友会全国協議会内田眞一円安厚生労働省埼玉大学実質賃金指数日本労働組合総連合会日本経済団体連合会日本銀行日経平均株価毎月勤労統計調査消費者物価指数総務省
中小企業の賃上げ どう実現?

中小企業の賃上げについて議論。広浜さんは自身でもアンケートを取ったところ、中小企業庁が取った価格転嫁の状況のアンケート結果とほぼ同じになったという。一方大企業側は価格転嫁についてどう考えているのか。十倉さんは「1つはサプライチェーン全体で値上げをどう実用するか。大企業側は発注が多い。良い物には値がつく、というのをソーシャルの当たり前にしていかなければならない」と話す。一方新藤さんは「公正取引委員会が価格転嫁をするにはどうしたらいいか、というガイドラインを作った。ガイドラインの最後には価格転嫁交渉シートもついている。まだ知らない人にはぜひ御覧いただきたい」と話した。

キーワード
中小企業庁公正取引委員会日本経済団体連合会

中小企業の賃上げの課題について、芳野さんは「現場の声としてはなかなか労務費を含めた価格転嫁が出来ない、という声が挙がってきている。その意味ではガイドラインが出来たため、これから始まる交渉の中で自社がどういう取り組みになっているのかチェックしていく必要がある。またガイドラインの到達部門の担当者まで落とし込んでいくことが重要」とコメント。金井さんは「そもそも中小企業に組合がないという問題がある。組合がないと経営の自主的判断による賃上げになるため、中小企業の中に労働組合を作っていくことが必要」と主張した。また芳野さんは「連合としても組織化に向けて力を入れている」としている。

個人事業主への待遇について、新藤さんは「今年の秋からフリーランスの取引適正化法ができる。特にフリーランスは守るものがないため、きちんと担保できるような法律も作って応援したい」とコメント。一方賃上げ税制の効果について、広浜さんは「賃上げ税制は黒字の会社にしかメリットがないため、全体にメリットが行き渡るというのは難しい」と話した。それに対し進藤さんは「賃金を上げろ上げろというのではなく、全体をいかにバランスを取った中でみんなで上げていくのが必要」とコメント。そして今回の春闘で賃上げは広がるかについて、十倉さんは「やらなきゃいけない。これを粘り強く進めていくこと大事」と主張した。そして最後に進藤さんは「これだけ賃上げムードのトレンドが出来ている。しかしこの期に及んで下請代金を絞ろうとしている実態がある。やはりみんなで上がっていかないといけない」と改めて強調した。

キーワード
日本経済団体連合会
地方の賃上げは

賃金のアップを地方にどう広げていけばいいのか。都道府県別の平均賃金を示した。東京は37万5500円。青森県、宮崎県は24万円代、沖縄は25万円代で、東京と比べると10万円以上の差がある。日本経済団体連合会の会長は、東京一極集中になっているという。地方の産業を振興させなければいけない。この数字については問題を表している。最低賃金を上げる努力をしているという。地域の創生、活性化と合わせて行わなければいけない。地域の産業を作らなければいけないという。中小企業家同友会全国協議会の会長は、若者が都市へ流出し、地方が疲弊する悪循環を作っているという。働く場所がなく出ていく現象となっている。地域の中でお金が循環するようにしなければいけない。地域をあげて、官民一体で、地域を活性化させていこうとしている。中小企業憲章からくる振興基本条例を展開している。日本労働組合総連合会の会長は、景気回復に向かうには、地方がどれくらい活性化されるかにかかっているという。地方には人手不足の課題もある。地方版の政労使会議の中で、地域の状況を政労使が共有し、課題解決をしている。新藤経済再生担当大臣は、それぞれの地域で可処分所得が平均化され、それぞれに満足できる暮らしができることが重要だという。地方に仕事がなければ意味はない。その地域なりの自立した産業をどう創るのか。これがデジタル田園都市構想だという。

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デジタル田園都市国家構想中小企業家同友会全国協議会厚生労働省日本労働組合総連合会日本経済団体連合会
非正規労働者の賃上げ どう実現?

労働者全体の約4割が非正規雇用で女性では5割以上にのぼる。正社員以外の賃金水準は全年代で正社員と比べ低い傾向にあり、去年から非正規雇用社の賃上げのため個人で加入できる非正規春闘で今年は20の労働組合が集まり一律10パーセントの賃上げを要求する方針である。芳野友子は今年の非正規春闘では働きの価値に見合った賃金水準を満たしていくことが重要である等と話した。金井郁は昨年の賃上げ率で言えば非正規労働者の方が高かったが、中身は正社員のようにベースアップをしたのではなく最低賃金の上昇分が賃上げ率に含まれている等と話した。十倉雅和は同一労働同一賃金を掲げて正規雇用を望む人を正規社員化することを進める等と話した。

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日本経済団体連合会非正規春闘
非正規労働者の働き方は/女性の働き方は 待遇改善は/高齢者の働き方は 待遇改善は

非正規春闘の取り組みを日本労働組合総連合会としては、正規も非正規も同じように聯合の方針に基づいて賃上げを獲得してくとしている。全ての格差の是正に力を入れているので、少しでも縮まるよう取り組みを強化していくなどとした。男女間の賃金格差について経団連は、働き方改革をしないといけないとした。女性が家事労働にかける時間は、男性を1にすると日本では女性は5倍になるという。本当のイコールパートナーとなるように、権利と義務は男女間で等分にしないといけないため、男性も育児介護をやらないと行けないなどとした。そのため育児休暇を取るように言っているという。高齢者の待遇について、定年を過ぎて働く人の報酬が極端に低く各企業がしている。同じような仕事を定年後も続けるのであれば、それに見合った対価を払わないといけないとした。働き方は多様化していて、多様化に見合った制度を取らないといけないが、正規雇用の多様化も図らないといけないとした。芳野さんは、日本の成長の鍵になるのは多様性の尊重と考えている。1人1人を尊重できる社会を作っていくことが重要で、イノベーションを生み出しながら職場の改革をし、働きの価値に見合う処遇に持っていくのが重要だとした。新藤さんは、日本の高齢者の健康寿命が世界一で日本の65歳は世界で一番元気な人達なので、その人達が生涯現役の働ける社会を作ろうと定年制を廃止している企業もある。安倍内閣以降で、11年間で513万人生産人口は減ったが就業者は500万人増えている。そのうちの418万人は女性なので、新しい経済ステージは今とは違う仕組みでまだまだ余地があるなどとした。

キーワード
日本労働組合総連合会日本経済団体連合会
日本の「稼ぐ力」は 「人への投資」は

岸田総理大臣は施政方針演説で持続的な賃上げのため人への投資を掲げ三位一体の労働市場改革を進めるとしている。賃上げを生み出す企業の稼ぐ力を強化するとし、設備投資の促進は省力化投資の支援を行うという。新藤さんは大事なことは潜在成長率を上げることでそのために投資をやらざるを得ない状況になっているという。企業も投資をしない限り競争力を維持できない。後押しをするための助成金や制度でカタログ型や大規模な生産成績を国内で出す場合は支援するという。稼ぐ力を使って潜在能力をのばす絶好のタイミングだとした。十倉さんは大前提として政府や日銀が目指しているモデレートナー物価上昇に見合う世界を早期に実現してもらい、企業は上回る賃上げをするとした。実現するのは個々の企業の成長と循環の好循環にある。成長は消費と投資である。社会課題を官民で行わないといけない。分配で大事なのは賃上げをしても若い人ら貯蓄に向かうため、将来不安を取り除かないといけないとした。

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Group of Seven岸田文雄日本銀行

広浜さんは生産性を収入と効率を考えそれぞれに努力をする余地はたくさんあるという。一方で構造的に下請けにいることや政府に決められていることなどから受動努力を働きかけるよう促してほしいとした。芳野さんは賃上げをするひとへの投資が必要だとした。企業の人で不足があり確実に賃金をあげることが重要だとした。金井さんは日本企業は人への投資に積極的だったが近年は少なくなってきたことは問題として考えられ、中でも非正規に対しての投資が行われていないことが課題である。企業外の訓練が進んで入るが企業が訓練を評価できていないとした。新藤さんは人不足は解消されない、人がいなくても発展する経済は賃金を高めるとした。

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