2023年12月24日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
“人口減少時代” 私たちの未来は

出演者
伊藤雅之 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

日本が直面する危機の人口減少。2070年には約7割に減少すると推計されている。高度経済成長期には多くの現役世代が高齢者を支えていた。こうした人口構成は少子高齢化が進む中大きく変化そして2070年には人口の約4割が高齢者になり、社会機能が維持できなくなることが懸念されている。こうした中政府は、少子化対策の強化に向けて「こども未来戦略」を決定。

(日曜討論)
コーナーオープニング

今年最後の放送のテーマは「日本の人口減少」。

加速する人口減少 社会はどうなる

日本の人口推移は、戦後増加傾向が続き、2008年にピークの1億2808万人余になった。しかし2011年以降は減少に転じ、今年7月1日時点の総人口は約1億2451万人となり12年連続で減少。そして今後人口は更に減少すると見込まれている。国の推計では、2056年には人口が1億人を割り込み、2070年には8700万人になるという。急激な減少で人口構成も大きく変化している。1970年は安定したピラミッド型、2020年は壺型、2070年には現役世代約1人に対し高齢者1人という人口構成になることが見込まれている。

キーワード
国立社会保障・人口問題研究所

山崎氏は、日本の人口と現状の見通しは非常に厳しい状況だとした。日本は50年前から少子化だったという。人口減少には高齢化が伴ってくる問題だという。2100年に6300万人と半分になるが、ちょうど100年前の日本の人口だという。だが100年前の日本は高齢化率が5%と若い日本だったという。宮本氏は、人口減少と人口構造の変化、さらに地域間のアンバランスが重なって非常に厳しい状況だという。若者が東京にくるが、東京は合計特殊出生率が一番低いためブラックホールみたくなっていると指摘。白波瀬氏は、人口推計というのは今あるところからどう見ていくかという話なので、今をどう変えるかというところに議論が集中すべきなどと述べた。小安氏は、地方においては労働力不足で産業が維持できない状況の町もあり、地域コミュニティを維持できない状況になっていると指摘。限られた人口の中で、どうやって地域・産業を維持するかでジェンダーギャップの解消することが突破口などとした。古屋氏は、85歳以上の方の観点では、人手を介する生活サービスの依存度が高いとし、一方で働き手が減る結果として、人口減少の最初の局面で最も課題になるのは年齢構造の変化に起因する働き手不足はまだ序の口だと懸念している。宮本氏は、人口の規模の縮小も極めて問題で、合わせて構造の変化が進むため、現役世代が支えて高齢者が支えられる二分法は持たないとし、老若男女問わず元気人口を増やさないといけないと指摘。そのためにも今人口を減らすような家族のあり方や働き方を変えないといけないなどとした。

キーワード
Will Labリクルートワークス研究所中央大学山手線東京大学
少子化の現状は 政府の対応は

人口減少の要因の1つである少子化の対策を強化するため政府はこども未来戦略を決定。内容は児童手当の拡充や子供3人以上の多子世帯の大学授業料の実質無償化、育児休業給付率の引き上げなどが盛り込まれている。政府は今後3年かけて新たに年間3兆6000億円ほどの予算を増やすという。小安美和は「これまでの子ども支援は女性向けのお母さん支援の要素が強かったが、両親に対する育休の支援など良い傾向。ただ給付や支援だけで無く社会の規範の見直しをした方が良い」などと話している。白波瀬佐和子は「15歳から49歳の女性の割合が出生率の低下があり子供が生まれる数自体は減少している」などと話している。宮本太郎は「少子化対策が政府の中心に取り上げられているのは活気的だが、お金の問題で結婚が出来ない若者が増えている、政府の政策は結婚できない若者への支援がリスキリングしかなく、本当の少子化支援にするためには結婚できる条件を整えるべき。」などと話している。古屋星斗は「子供のいる30代から40代は平日の家事の労働時間が倍以上になっている。時間的に余裕が無いと子供を持つ発想にならない」などと話している。山崎史郎は「対策に目新しいものはないが、全体の遅れを取り戻すという観点では意味がある。2028年までに3.6兆円予算を伸ばすとしているが、これまで10年間で2000億円しか伸びてなかった。更に2030年までに倍増するとしている。」などと話した。

キーワード
こども未来戦略方針岸田文雄
少子化の背景 若者の意識は

少子化の背景について。1970年の50歳時点の未婚率は男女とも5%未満だったが2020年には男性が25%女性が16%と増加し男性は4人に1人が離婚している。内閣府の調査で独身者に結婚の意思を聞いた所、20代では女性の6割以上男性の5割以上となり30代では男女共に5割近くが結婚の意思があると回答。理想の数の子供を持たない理由で調査に多かったのは子育てや教育にお金がかかりすぎると言った経済的な理由だった。古屋氏は「ライフキャリアに関する調査を行っているが、結婚や出世と言った言葉は思った以上に経済面を含めた良い影響も多い。育児家庭を一番体験して欲しいのは経営者や政治家の人で今のカップルの生活や育児の状態を知らないと思う」などと話している。若者の意識が変わっている面について古屋氏は「仕事とプライベートを組み合わせて自分の人生を作る事が性別関係なく当たり前になっている」などと話している。宮本氏は「結婚や子供を持つ事に対して消極的になっていないが学生達と若い世代の人はセンシティブになっている。子供が病気や障害がある事や今急死する事で根本的なダメージがある」などと話している。山崎氏は「社会経済は今の状況が一番厳しく夫婦だけで子供を育てるのは大変だ」などと話している。

キーワード
国立社会保障・人口問題研究所第15回出生動向基本調査
少子化の背景 経済・雇用環境は/少子化の背景 社会の意識は

小安さんは「少子化を背景にした雇用環境の改善のためには所得を上げていくことが基本だが、職場において子育てしやすいような環境を整備していくことも大切」、「制度を変えるだけでなく、全世代での対話を粘り強く続けて意識も変えていくべき」など話し、宮本さんは「子どもを育てるのに必要な費用の多さと女性が仕事を諦めた場合にパートで再就職した場合の生涯賃金の格差が広すぎる現状を是正しないといけない」、「スウェーデンのように子ども教育環境の充実化など子どもに関連するプロセスの質を上げていくことも重要」など話した。白波瀬さんは「日本社会の中ではリスクを共有することが忌避される傾向にあり、失敗しても許容できる余裕のある社会を構築する必要もある」、「伝統的な家族間や男女の役割など日本社会に根づいた価値観を変えていくことは大変で、子どもたちの未来のための変革を超党派で考えていかないといけない」など話し、山崎さんは「働き方の問題が少子化の原因の中でかなりウェイトを持っていて、所得・雇用の安定性や男女格差を是正することなどをやっていかなければならない」、「人口減少を食い止めるために企業側にもある程度理解をしてもらわないといけない」など話した。古屋さんは「実質賃金が下がり続けていることが問題で、設備投資と生産性向上で改善していくしかない」、「なにか障壁のある人たちのための職場環境作りが障壁のない人も恩恵を受けられるということを企業側に浸透させていかないといけない」など話した。

キーワード
スウェーデン南砺市(富山)豊岡市(兵庫)
東京一極集中 都市と地方は

東京への転入超過が続いている。8割近い道府県で転出が多くなる中、東京都では去年転入超過となっていて転入が転出を3万8000人以上上回った。都道府県別の出生率で見ると全国で最も低くなっている。最も高い沖縄県が1.70、2番めの宮崎県が1.63であるのに対し東京は1.04に留まっている。

キーワード
人口動態統計厚生労働省

山崎さんは東京一極集中が日本に与える影響について人は移動しながら減っていくのがこれまでの姿であるが問題となっているとした。若者が動いていて特に女性が集まっている。古屋さんは放っておけばさらに集中し、東京に働き手がいて生活に関係するサービスも維持されるとした。宮本さんは東京は高齢世代の高齢化も進み、2040年に東京の人口は今よりも増え、日本全体が過密世代の過疎社会の悪いところ取りになるという。地方への逆流をどう作るかがポイントとした。山崎さんは政令市の女性が東京に集まっていて、東京をよく見ると下町は出生率が高いという。小安さんは東京に行きたいという若者の声は聞いたことがない。賃金の低い仕事しかないなどが大きなアジェンダとなっているとした。白波瀬さんは移動の話になると女の子が動いていけないようにメッセージを捉えれている。先行投資が必要でお金がかかるなどと話した。

キーワード
名古屋市(愛知)大阪府札幌市(北海道)福岡県
加速する人口減少 社会・経済は

地域を行政だけで支えきれるのかなどを聞かれ古屋星斗は、課題感に基づく様々試行錯誤はもっと社会全体で肯定的に捉えるべきだと思っていて、課題のある地域に広げていきたいと考えを述べた。小安美和は、行政だけで解決できる問題ではないと強く思うと話した。人口減少について、古屋星斗はなんらかの報酬や楽しさがあるからやるという当たり前の気持ちを尊重する社会を再構築することが人口減少・少子化に対する根本的な打ち手になると考えていると話した。小安美和は、あらゆる視点から議論をしていく場を作るのが大事だと感じていると話した。白波瀬佐和子は、人にどれだけ投資できる社会をいかに早急に作ることがカギになると話した。これからさきの議論の進め方について宮本太郎は、地域の支えを作り営みに自信を持って広げることと合わせ、少子化をストップする政策を全面的に打っていくことではないかと話した。宮本太郎は、どんどんと情報を出してみなさんで議論していただくようになることが大事だと話した。

キーワード
リクルートワークス研究所国立社会保障・人口問題研究所
(エンディング)
エンディング

エンディングとして挨拶した。

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