2023年12月17日放送 9:00 - 10:20 NHK総合

日曜討論
▽林官房長官に問う▽私たちの「食」をどう守る?

出演者
曽我英弘 星麻琴 
(オープニング)
オープニング

臨時国会は先週閉会。自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題をうけて、大きく揺れた。閣僚は交代することになった。第一部は、林官房長官に問う。第二部は坂本農林水産大臣と専門家が徹底討論。私達の「食」をどう守る?

キーワード
岸田文雄自由民主党
(日曜討論)
コーナーオープニング

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を林内閣官房長官に聞く。

キーワード
岸田文雄自由民主党
拉致問題は/沖縄 基地負担の軽減は/北朝鮮への対応は/日中関係は/内閣支持率/解散・総選挙

拉致問題については「政府一体となって取り組んで一日も早いご帰国を実現させていきたい」等と話した。沖縄の基地負担の軽減については「いかに負担軽減を図っていくかというのは歴代の内閣が苦労して積み上げてきたところもある。何よりも沖縄の皆さんとの意思疎通を図りながら負担軽減に努めていく」等と話した。北朝鮮への対応については「北朝鮮はミサイルやその他の活動を活発化させている。しっかりと外交的に対応するとともに備えは万全にしておかなければならないと思っている。その意味でも危機管理は大事。ご指摘を招くことがないように万全の体制で臨んでいきたい」等と話した。日中関係については「パンデミックや地球温暖化問題など一緒にやっていかなければならないことについては協力していくという建設的で安定的な日中関係を双方の努力で築き上げていくことが大事」等と話した。衆院解散・総選挙について岸田総理は「今はそうした先のことを考えている余裕はない」と発言しているが、タイミングや自民党総裁選の先行きについてはどう思うか?との質問には「総理がこういうふうに仰っているということを踏まえて長官として総理を支えたい」等と話した。

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北朝鮮岸田文雄沖縄県衆議院議員総選挙
私たちの「食」をどう守る?

第二部はNHKスペシャルと連動して日本の食について考える。食材をどう安定的に確保するかが課題となっている。背景にあるのは不透明さを増す国際情勢。食料自給率38%の日本は自らの食を守れるのか。NHKスペシャルでは米・酪農・畜産の生産現場が大きく揺らいでいる実態を浮き彫りにした。担い手をどう確保するのか、収益を上げるため何が必要か、消費者にできることは何か徹底討論。

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NHKスペシャル
スタジオトーク

日本の食や農業について考える。議論の前に新たに就任された坂本農林水産大臣に今の内閣を取り巻く状況をどう捉えてどう受け止めているのか、そうした中で所管の農政をどう取り組んでいくのか質問。「国民が政治に対して非常に厳しいご意見を持っていらっしゃることは十分受け止めている。政策を遂行することによって信頼感を取り戻していかなければならないと思っている。農業に対しては今が一番重要な時期である。この時の舵取りを誤れば大変なことになるという思いで有識者の意見も踏まえながら未来に対して誤りなき農政を展開して参りたい」等と話した。

日本の「食」「農業」 現状と課題は

日本の食の現状を見ていく。日本は海外に大きく食糧を依存している。食料自給率はカロリー基準で、38パーセントになっている。1960年には79パーセントだった。NHKスペシャルでは日本の農業の課題を伝えた。米の生産現場には高齢化、収益性の低さから、存続が厳しくなっている現状がある。肉や卵、牛乳の生産現場では、飼料価格の高騰がみられる。大量生産システムが岐路に立たされている。東京大学の鈴木教授は、日本の農業は赤 字に苦しんでいるという。農家の平均年齢は68.4歳。農業は存続できないだろう。崩壊の危機でありスピードは加速している。農業問題は農家問題ではなく、国民全体の命の問題だ。東京大学の中嶋さんは、生産力は低下してきているという。担い手不足も問題だ。今後20年の間に担い手は4分の1になる。食糧を60パーセント以上、海外に依存しているという。気候変動などの不安定化もあり、食糧の確保は重要な課題だ。秋元さんは、農家は小規模な経営が多いという。コロナ禍で消費者の意識は変化した。消費者は買う相手を選ぶようになっているという。

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NHKスペシャルトマトビビッドガーデン国税庁東京大学農林水産省食べチョク

食生活ジャーナリストの井出さんは、食料価格の高騰があり、消費者はその背景を理解していないだろうという。日本で流通しているパンは、たった3パーセントしか国産小麦が使われていない。コンビニでは1店舗あたり中央値で年間468万円分の食糧が処分されている。月に100万円以上捨てている店舗もある。捨てない努力をしているお店もある。日本総研の三輪さんは、日本の農地を有効活用することが課題だという。食糧自給率は落ちていて、海外のリスクが高まっている中で、自分たちで農作物を作らなくてはいけない状況になっているという。耕作放棄農地などがある。使いにくかった農地を使うことができれば、食料安全保障のリスクをカバーできるとのこと。坂本大臣は、今後、どうやって農業を立て直すかは課題だ。食料・農業・農村基本法の改正にあたりたい。課題をひとつひとつ改革していきたとのこと。今年から来年は、改革元年だという。

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国税庁日本総合研究所農林水産省
担い手の確保は/規模拡大は

NHKスペシャルで担い手不足要因の1つとして取り上げたのがコメの価格の下落である。1995年から去年までに3割以上下落し13000円台で収益があがらず存続が難しい農家も多い。さらに農家の高齢化も深刻で農林水産省が2020年に行った調査では平均年齢が70歳でこの年齢を超えると農業をやめる人が増えることから今後急速に減るとみられている。2020年度には米の需要が生産量を上回っている。2040年には人口減少で需要が減ると予測されている。

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2020年農林業センサスNHKスペシャルコメ農林水産省

農業の担い手を確保するために中嶋さんは大規模化をしてプロの農家をいかにはたらいていただくかの仕組みづくりが必要だとしている。土地の集約化の施策も必要で担い手をうまくマッチングすることが求められているとした。秋元さんは小規模の農家は農業従事者数の95%を占めていて所有している面積は残りの5%の大規模農家が半分ぐらいの農地をもっている。減っているのは諸規模な農家で大規模化しようとしても農地の確保ができなかったり伝統的な棚田で効率よく生産するのが難しい方が多く高く売らないと採算がないとし大規模と小規模の支援で分けて考えるべきだとした。井出さんは今やっている作業で無駄なことはないかを見直すことも大事で、もりやま園では全労働時間の75%を捨てる作業に使っており、無駄な作業を辞めたという。坂本さんは米は大規模化が重要で条件に見合った適正規模が必要とした。地域農業を展開し農業法人を参入させ多様な担い手として隔離することが大事とした。中嶋さんは整地化が大事だとした。鈴木さんは農家に見合った政策を選べるようにメニューをお願いしたいとした。三輪さんは規模拡大は大暫定で昔と違い託すかたちになったためやりやすくなった。いままではベテランの方が育ててきたものを機械の力で若い方が2倍作ることで食料安全保障も守れ儲かる農業の実現できるとした。

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もりやま園ビビッドガーデン弘前市(青森)

秋元さんは食料を安定供給するには大規模がいいが小規模は付加価値をつけて高値で売り、大規模は効率化してコストを低く作るかが重要になってくるとした。鈴木さんは大規模は重要であるが多様な農業形態があり支援することが大事だとした。坂本さんはそれぞれの地域に適合した農業形態を選択することが大事で多様な農業形態をつくることが大事だとした。三輪さんは今では自動運転トラクターやドローンなどのICTが使えるようになり人手不足やノウハウを補うことができるようになっているが80代の農家がそれを覚えるのは難しいため地域みんなでスマート化していくことが大事とした。農林水産省のサービスで農業支援サービスがあり専門の地元の法人に任せることができる。地域の中核がまとめてやってくれる形になれば恩恵をあずかれるとした。井出さんは東京大学を卒業し都内で農家を始めた女性は経営力と栽培技術力を育てる人材育成システムが必要だとしたという。鈴木さんは学校給食などを地域の自治体が公共農産物にして地元の農産物や提携産地の農産物を買い取ってくれるシステムができているという。坂本さんは米の場合は難しいが西日本では二毛作ができるため輪作体制をもちながら農政をもたせることができるとした。

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東京大学農林水産省
飼料価格高騰 畜産・酪農は

国際情勢や円安の影響を受けて、畜産・酪農は深刻な事態になっている。飼料価格の高騰が経営を圧迫している。配合飼料の価格はこの2年で1.5倍となった。年間のエサ代はコストの7割だ。赤字に陥っているという。食生活ジャーナリストの井出さんは、離農する人も出てきているという。飼料用のトウモロコシを作る農家の提携はとてもいいことだという。稲わらを発酵させたサイレージもいい効果をもたらせているという。エサ代が高くなっている中で、国産のエサを補助することが必要なのではないか。中嶋さんは、エサは海外に頼らざるを得ないだろうという。国産ではコスト高になってしまう。全面的に転換するのは難しい。配合飼料、濃厚飼料は輸入に頼らざるを得ない。粗飼料は国産が可能だろうと坂本大臣がいう。飼料の国産化の比率をあげていくことは可能だ。鈴木教授は、酪農家はいま赤字になっている。倒産はどんどん増えている。牛乳を飲めない事態が進んでいる。エサは米を利用することを考えてほしい。秋元さんは、海外産は安価だから利用している。国産への切り替えは必要だが、農家へ入ってくる収入を高めていかないといけない。持続性に問題がある。三輪さんは、地域で作ったエサだから生み出せる価値があるという。地域の農業を守りたい人は、高額でも、国産のエサで育ったものを選ぶ可能性は高い。坂本大臣は、耕畜連携をすすめなければいけないという。地域農業の中において、コスト低減ができるという。短期に支援していかなければならないことも多い。補正予算では酪農家に対して、予算措置をしている。今後も続けたいという。

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生産者を支える仕組みは

鈴木さんはスイスなどの農家の最低収入を保証する海外の取り組みについて「日本では農業所得に占める割合が3割と低いがスイスなどはほぼ100%で公的インフラと同様に日本も重視していくべき」、「消費者が食の安全保障の重要性を理解し、適切な価格転嫁を受け入れていくべき」など話し、井出さんは「自然災害などのリスクを消費者も負担する仕組みを考えるべき」、「収穫してすぐの農作物など需要が高いものについては特別に値段を上げることが経産省の実証実験で証明されている」など話した。三輪さんは「国民の理解を得ていく一方で、農家側が作りたいモノをレベルアップして作ることで儲けられるような仕組みを入れるべき」、「農業を物価の優等生だとして負担を押し付けないで、賃上げの並みに農業も乗る事を国民が理解するべき」など話し、秋元さんは「過度に国が保護してしまうと長期的にみて農業の衰退を招く部分もあるので、効率化や収益化が難しい農地に限って国が守り、大規模に効率化して農業ができる部分は自由競争を促進するべき」、「農家側が価格転嫁をすることが難しい現状もあるので消費者は生産者の収益を上げていくという気持ちを受け入れるべき」など話した。中嶋さんは「所得を保証することは重要だが、生産量を上げた分だけ補助金も増していくような仕組みを入れるべきで、特に設備投資などに重点を置いて支援するべき」など話し、坂本さんは「全体的な補償は不公平感が生まれるので、自民党としては品目・状況に応じて手厚い支援を行っていて総合的に見れば海外と同じ水準で支援をしている」、「有識者会議でどうした部分で適切な価格転嫁が行われるべきかを議論している」など話した。

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日本の「食」どう守る

日本の農業を守るために生産者・消費者それぞれの立場でできることは何か質問。有識者たちは「生産者と消費者の間が空いていることが課題で農業の実情をいかに消費者に近い距離から発信できるかが重要になってくると思う。消費者が生産者の価値を認めて適正な対価を払うという買い支えるというような認識を持つことが大事だと思う。全員が農業を当事者として考えることによって社会構造が変わっていくのは大事だと思うし、足りない部分は政策的に先に支えるというようなメリハリが必要だと思う」等と指摘。坂本農水大臣は「生産者は食を提供するという強い使命感を持って農業に当たっている。その一方で所得を上げて経営もしなければいけないという両面がある。消費者にも地域農業の中に入り込んでいただく。そういう作業を政府としてどこまでできるのか。ネット社会であるので生産者の立場の考え方をどうネットで情報発信していくか、消費者の立場に立てば消費者としてはこういう農産物が欲しいというようなことを互いに述べ合うこと、こういう政策をしっかりと濃密にやっていきたいと思う。食の安全保障という文言は今まで一行しか出てこなかったがメインに持っていきたい。そのためには国家として何をすればいいのか考えていきたい」等と話した。

(エンディング)
エンディング

今朝の日曜討論は二部構成で放送した等と伝えた。

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