2026年5月10日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
どうなる日本のエネルギー 経済・暮らしへの影響は

出演者
太田真嗣 上原光紀 
(日曜討論)
なぜ?株価高騰/日本経済・家計への影響は/ホルムズ“閉鎖”事態をどうみる/「石油危機」と比べると

なぜ?株価高騰。木内氏は「イラン問題が起こってから一旦下がったが、かなり急速に戻ってきている背景には、アメリカ株に連動している部分がある」と話した。日本経済・家計への影響は。イラン情勢の影響は世界経済にどこまで広がるのか。IMFが先月発表した見通しによると、今年の世界経済の成長率は3.1%。さらに原油価格の高騰が長引いた場合には2%程度に落ち込むと予測している。小山氏は「原油高が長引く場合を懸念する方が良いんじゃないかと個人的に思う。今回の危機はグローバルな危機ではあるが、アジアにおける深刻な危機だと捉えるべき。アジアは中東依存度が高い上に途上国の場合は備蓄も持ってない国が多く極めて脆弱性が高い。成長ドライバーだったアジアが急に減速することによって世界経済にも悪影響が及ぶという可能性を心配しなければならない」と話した。「石油危機」と比べると。今村氏は「石油危機の時には影響を受ける国は先進国だった。その後、世界はアジア経済が中心になってきており、新興アジア地域で見れば1980年~2025年までにどれだけ規模が大きくなったかと言うと36倍。その間に世界経済は10倍になっている。そのアジア地域が今回直撃を受けていて、前回の石油危機の教訓もその後に成長した国々なので日本よりできていない。IMFの世界経済見通しでもアジア地域の成長率が大きく低下することによって世界不況のような数字が見えてくるということだと思う」と話した。ホルムズ“閉鎖”事態をどうみる。木内氏は「供給の制圧が続くとだんだんと石油の備蓄も無くなってくる。色んな製品の在庫も無くなってくると非常に深刻な供給不足になる。我々の消費などは強制的に減らさないといけないということが出てくるので、経済が急激に萎む、物価はかなり上がるという、深刻なスタグフレーションになる可能性がある」等と話した。

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家計・暮らしへの影響は/石油関連製品の供給は/価格上昇の影響は/物価高で何が起きる?

原油価格の高止まりが続けば生活にどのような影響が出てくるのか。原油から製品が作られる流れを示して紹介。暮らしへの影響についてニッセイ基礎研究所・久我氏は「原油高はいろんな商品に幅広く及ぶので、消費者心理としてみても3月に早速悪化しているというのが今の状況。」などと話し、消費者態度指数をグラフで解説した。政府は石油関連製品の流通に問題があるとして目詰まりの解消に全力で取り組むとしている、現状と効果について野村総合研究所・木内氏は「なかなか収束してないというのが現状、例えば化学工業では生産の調整を3月からやっている。川下までいくと石油関連製品の供給が不足するというのがこれから起こってくる、今は在庫があるのでそこまでではない」などと話した。流通の現状と課題について丸紅経済研究所・今村氏はエチレン生産施設の稼働率をグラフを使って示した。価格上昇の影響について木内氏は「大手企業は値上げしやすいが、中小零細企業ができないとなると収益というのは非常に厳しくなる」などと述べた。

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農業への影響は/家計・暮らしへの影響は/日本経済・家計への影響は/求められる対策は

米や野菜を作る際に用いられる化学肥料には天然ガスなどから作られる尿素が使われているが、その国際価格が上昇している。小山氏は「日本の場合、石油製品の消費量の半分くらいが運輸用で、3分の1くらいが産業用。その産業用の中でそれなりの割合を農業・林業・水産業が使っている。日本の食料の生産・供給に関連している産業であり、燃料としての価格が上昇するということは活動の低下、価格の上昇のどちらかに必ず効いてきてしまう。輸入する食料だけでなく、国内での食料生産という面においても決して見逃せない影響があると思う」、久我氏は「私たちの食卓はエネルギーや輸入に依存している。生産が国内であっても肥料等を海外に依存しているので影響を受けやすいという状況。今は食費をかなり節約している家庭が多いが、そこが打撃を受けてくると個人消費の改善というのが難しくなってきている」と話した。求められる対策は。木内氏は「従来通りの生活を送っていくこと自体に無理があるんじゃないか。そういう意味で無駄な部分を節約する。もう少し長い目で見ると脱炭素も踏まえて従来よりも燃料に石油を使わないなど節電をしとく必要がある。政府はこの時点で緩やかな形で節電・節約を呼びかけることが必要で、そうしないとより厳しい事態が将来待っている」、今村氏は「情報を的確にタイムリーに出していくことだと思う。日本の備蓄は世界から見ても備蓄しすぎなくらいあった。ただ、これがあったおかげで時間を稼げている。せっかく稼げた時間を有効に活用し、その間に需要を抑制していくようなことをすべき」等と話した。

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アメリカトウモロコシナフサブラジル尿素
エネルギーの“中東依存”は/“脱中東”で世界は/エネルギーめぐる国際情勢は/日本のエネルギー対策は

これまでエネルギーの確保について、2024年に取引された石油の輸出元を示したもので、このうち35%が中東から輸出されていた。日本のエネルギー確保の現状を見ると、去年1年間の日本の原油輸入先は約94%を中東を占めている。小山氏は、今回の事態が起こるまでホルムズ海峡の封鎖は本当に起こることはまずないという常識が世界中に蔓延していたという。それを前提にして中東依存度が高くてもなんとかなると最適化していたという。だがこの常識が覆ってしまうとこの先同じ前提で考えていいかという問題が起きてくる。仮にホルムズ海峡封鎖が解消した後も、イランからしてみればホルムズ海峡の支配権を持つことは自分の国にとって大事な条件であることが明らかになったため、これから先新しい国際情勢の前提として考えないといけない。その下でエネルギーの安全保障を考えていくことが必要になったという。

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ホルムズ海峡財務省

今後の供給体制について今村さんは、これまでホルムズ海峡に100隻を超える船が通っていたが、よく逆にイランがこれまで抑えなかったということ。これからイランの代理勢力が圧力をかけようと構えているところもあるので幅広くしていくことは大事だが、石油危機以降で見ると一旦中東依存を下げる動きが出ていたが戻ってきているという。価格一辺倒で行くと中東依存になり、地政学リスクにさらされるという。またホルムズ海峡以外にも世界でチョークポイントがあり、イランがこうしたのであればという価値を見出すような国が出てこないとは限らないという。アメリカとイランの交渉は非常に大事だが、何らかのイランの影響力が残りそうだという。それを前提に他の地域からのエネルギーの調達を広げたうえで将来の気候変動対策などに向けて改めて技術を進めていく。そして脆弱だったアジアを確保していく必要があるという。小山さんは、最もコストを安く物を作る・供給する考えを突き詰めていくと、一番競争力のある供給源に依存していくのは自然の流れだとし、でも様々なリスクの影響を考えると市場外の外部性に対応していろんなものの組み立てをしないといけないという。これは政府の役割になるという。

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ホルムズ海峡

世界のエネルギー消費量が増えているがどう賄っていくかについて。今村氏は、AI関連のものが増えていて、そこには脱炭素といった動きも高まっていて、石油やガスへの依存を下げていく必要があるという。日本としてみれば、アジアの地域との連携で考えアジア全体で物を考えていくことが大事だという。久我氏は、エネルギー安全保障というといかに供給側が安定して届けるかという議論になるが、一般家庭の需要側の選択の多様化という観点もある。家庭が一方的に受け入れるだけでなく、選択できる・作ることができるので、家庭側から選択を強化するのも身近なエネルギー安全保障につながるという。小山氏は、アジアの問題を考えたときに供給を増やすだけでなく省エネルギーをどうやって改めて推進するかも大事だという。

日本は今後のエネルギー政策をどう考えていけばいいのか。今村氏は、当面はしっかり量を確保することが大事。その先、アメリカとイランの交渉の先行きをよく見たうえで、改めて省エネ、脱炭素といった動きにより前掛かりになっていく必要があるという。加えてアジアとの協力も必要。アジアの中で現在は中国が比較的対応力を持っており、化学製品なんかをアジアを含め積極的に輸出等をしている。中長期的には、逆にアジアを含めた世界の産業の構図自体も、今回の混乱が長引く場合には加速する可能性があり今が正念場になってきているという。木内氏は、今回の教訓はエネルギー効率は高まったが石油依存度が高い経済が日本の弱点として浮かび上がっているので、脱炭素・脱石油を進めていくべきだという。久我氏は、これから政策に求めたいことは家計が恒久的にエネルギーコストを下げられるような構造的な投資をしてもらいたいという。小山氏は、現在進行中の危機対応と同時並行で、中長期的のエネルギー政策をどう見直していくべきかを始めていくことが大事だという。非常に大事になるのは、カギになるようなクリーンエネルギーの分野ではサプライチェーンに中国が非常に大きなシェアを持ってることが現実の問題になっているという。それを支えるレアアースも中国の競争力が高い。この問題も総合的に考えながらエネルギー安全保障を日本としてどう強化するのかを考えないといけないという。やっていく上では、アメリカやアジアとの協力、多角的な協力を進めていかないと日本は大変だろうと思われるという。

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オイルショックホルムズ海峡持続可能な開発目標
(エンディング)
エンディング

エンディングの挨拶。

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