2023年11月5日放送 10:05 - 10:50 NHK総合

明日をまもるナビ
(100)津波を知って 津波に備える!

出演者
塚原愛 
(オープニング)
オープニング

12年前の東日本大震災で多くの被害を出した津波。北海道沖から岩手県沖にかけて発生が危惧されている地震では東日本大震災以上の津波が想定されており、南海トラフ巨大地震でも30mを超える巨大な津波が押し寄せ大阪・名古屋などの大都市にも甚大な被害が及ぶと想定されている。こうした津波に備え、沿岸地域では住民自らが主体的に考え避難する様々な取り組みが進められているが、自分たちが命を守るためにどう備えるか?津波避難のあり方について考えていく。

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南海トラフ巨大地震名古屋(愛知)大阪府東日本大震災津波
(明日をまもるナビ)
津波を知って!津波に備える!

11月5日は津波防災の日。安政南海地震による津波が和歌山県を襲った時に村人同士が協力をして命が守られたことが由来で、全国各地で地震津波の防災訓練が行われている。今回は津波について、どう意識してどう備えていくかを考えていく。今回伝える内容は番組HPでも公開しており、QRコードからアクセスできる。まずは津波発生のメカニズムと想定される地域についてまとめた。

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和歌山県安政南海地震明日をまもるナビ ホームページ東京大学津波防災の日
沿岸部は要注意 津波の脅威とは

世界全体のM6以上の地震の2割は日本で起きていて、原因は日本周辺にある4つのプレートで、海側のプレートが陸側のプレートの方に1年に数センチの速さで動いている。プレートの境界付近では海側のプレートが陸側のプレートの下に潜り込み千島海溝などの溝を海底に形作っているが、先端部分が引きずり込まれひずみが蓄積し、限界を超えると戻ろうとして地震が発生する。その時に海底が跳ね上がり津波が起きる。プレートの境界付近では東日本大震災などの数多くの地震が発生し津波を起こしてきた。現在、千島海溝と日本海溝での巨大地震が想定されており、地震が起きたときには東日本大震災を上回る、高さ30m近くの津波が発生する可能性が指摘されている。

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内閣府東日本大震災

さらに、東海から九州沖合までの南海トラフに沿って発生する南海トラフ巨大地震は最も大きな被害を与えると言われており、この地域ではこれまで100~150年周期でM8クラスの巨大地震が発生していた。それに伴い、大きな津波も発生するとみられていて、高知や横浜など日本各地を津波が襲うという。想定される津波の高さは高知県黒潮町で34.4mなど、震源域が陸に近いため津波の到達時間が短いことも特徴で、地域によっては2分で津波が押し寄せるという。津波による死者は東日本大震災の10倍以上のおよそ23万人と推定されている。また、日本経済への影響も深刻で、経済被害は東日本大震災の10倍以上で国家予算の約2倍の約220兆円になるという。今、津波防災は日本全体で考えなくてはならない課題だ。

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下田市(静岡)内閣府南海トラフ巨大地震地震調査研究推進本部大阪府東日本大震災横浜市(神奈川)鎌倉市(神奈川)黒潮町(高知)

映像では太平洋側からの津波の映像が多かったが、日本海側は平気なのか?という疑問に対して解説。津波を伴う地震の発生が危惧されるところは沖縄を含めて太平洋側はほぼ全域となっており、日本海側でも日本海中部地震などが起きたこともあり、日本海側であっても津波の可能性はある。また、地震が発生した場所と津波の発生場所は全く同じではなく、日本の沿岸部はどこにいても津波が来ると考えるべきだと伝えた。

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北海道南西沖地震日本海中部地震沖縄県津波

「ふつうの波」と「津波」の違いについて解説。「ふつうの波」は風などの影響で波の山が繰り返し、海面の表面が動いている状態だが、「津波」は海底から海面までの海水全体の動きなので破壊力は非常に大きい。また、津波の大きさにはスピードも関係しており、深いところではジェット機並みの速さでやってくる。水深が浅くなればなるほど遅くなり、陸地の近くでは時速36kmほどになるが、後ろから来る水が追いついてきて沿岸部までくると高くなって流れ込んでくるので、津波が来る前に逃げることが大事になると伝えた。東日本大震災のときは震源域が沿岸部から離れていたため20~25分くらいで津波が到達したが、南海トラフ巨大地震では特に静岡県の辺りは震源域が近いため場所によっては約1mの津波だが2分ぐらいで到達するという。小さい津波だが、人間は膝ぐらいまで来ると立ってはいられなくなり、60cmにもなると車が浮き、2mになると木造家屋が倒壊してしまう。大きな被害が想定される津波だが、日本各地で防災対策が進んでおり、今回は静岡県に注目していく。

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南海トラフ巨大地震東日本大震災津波静岡県
静岡県の津波対策 防ぐ・備える・逃げる

巨大地震発生により沿岸部の津波被害が想定されている静岡県。2013年に被害想定を見直したところ、最悪の場合津波の犠牲者は9万6000人に及ぶことが判明。県では、犠牲者を10年間で8割減少することを目標に、ハード面などの対策が進められてきた。浜松市には、全長17.5kmの防潮堤を整備。現在建設中の川の水門と合わせ、深さ2mの浸水想定区域を9割以上減らす計画だ。各地に津波から避難する施設も整備。津波避難タワーが117棟、津波避難ビル・津波避難協力ビルは1317棟が指定されている。この他、道路を有効活用した、歩道橋型の避難施設もある。こうした整備により、津波避難施設の空白域はほぼ解消されたという。

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吉田町(静岡)浜松市(静岡)

ソフト面の対策として、各地で避難訓練が実施されている。人口13万余の駿河湾に面した焼津市、マグロやカツオの水揚げで有名だ。海の恵みを受けているこの街も、津波被害が想定されている。市内で行われる防災訓練を取材した。9月28日午前10時、焼津市役所。即座に姿勢を低くし、机の下に身を隠す。1分後、訓練は終了。見たところ普通の防災訓練のようだが、実は訓練は市役所だけでなく市内全域で同時刻に実施されていた。海岸線から約3kmにある幼稚園。同時刻の午前10時、園児は体を丸めて頭を守るポーズをとった。同時刻の焼津駅、屋外にいた参加者は、サイレンが鳴ると屋根や柱など倒壊の危険性がある場所を避け、持っていたカバンで頭を守る。市内の至る所で行われたこの訓練は「シェイクアウト訓練」という。シェイクアウト訓練とは、2008年にアメリカで始まった地震の一斉訓練。まず低く・頭を守り・動かないという、3つの安全確保行動を基本に行うが、決められているのは時刻だけ。訓練を行う場は限定せず、参加者はその時にいる場所で行う、実践的な訓練。現在、多くの地域や団体で実施されており、焼津市では2018年から毎年行っている。身を守る行動の後はすぐ避難。続けて津波からの避難に移る。静浜幼稚園は海抜10m以上の地域にあるが、想定以上の津波に備え、より高い場所への避難を考えている。ハードとソフトの両面から津波対策を進める静岡県、さらなる住民の防災意識の向上を図っている。

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静岡県の津波対策 防ぐ・備える・逃げる/実は難しい!?津波からの避難/避難を妨げる 正常性バイアス

静岡県の主な津波対策、津波を防ぐ・津波に備える・津波から逃げる。まずは行政の対策を知っておくことが大事。津波は、その時一番早く高く行ける場所はどこか考えておくことが必要。他人まかせの防災では命は守れない。2003年の宮城県沖地震の際の気仙沼市民の避難の調査結果では、避難した人は1.7%だった。気仙沼市は明治三陸地震津波・昭和三陸地震津波・チリ地震津波でも犠牲者が出ている、津波の常習地域で住民の防災意識も高かった。津波は来ると思ったかという調査では、来る・来る可能性は高いという人が6割。津波が来ると思ったかと、命の危険を感じたかとは別。人間には、自分に都合の悪いことを過小評価する正常性バイアスという特性がある。人間は、自分の命にかかわる最初の情報は無視する傾向が非常に強い。気仙沼で逃げなかった人は、どうなっているという不安の中で情報を探しに行っている。結果として、避難行動は行われていない。逃げない自分を知ることが、備えの第一歩になる。

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防災の知恵

いざという時に役に立つ防災の知恵。洪水などに備えるハザードマップのチェックポイントについて。ハザードマップで、自宅が何色の場所にあるかで浸水の深さが異なるため、避難の方法が変わる。特に注意が必要なのは、濃いピンク色の2階でも水没レベルと、赤い丸じるしで表示され、家ごと流される危険のある家屋倒壊等氾濫想定区域だ。この2つの区域は家に留まっていては助からない可能性が高いため、状況が悪化する前の早めの避難が何よりも大切となってくる。浸水が始まると、家の中の移動も困難になる。必ず浸水する前に避難をするよう呼びかけた。

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災害列島 命を守る情報サイト
先人の知恵を生かす避難施設

さまざまな津波への備えが続く静岡県だが、その中には先人の知恵を生かしたものもある。遠州灘に面して海岸線が続く静岡県西部の袋井市。静岡県が想定する南海トラフ巨大地震での津波の高さは最大10mになるとされている。海が近く土地が低いこの地域は古くから津波や高潮の被害に悩まされて着た歴史がある。袋井市郷土資料館に当時の記録が残されている。1860年の江戸時代最大級の台風で高潮が発生。地域一帯が水に浸かり、犠牲者は300人とされる。この悲劇を繰り返すまいと、当時の人々によって高さ5mの人口の高台「命山」が作られた。完成以来辺りに水が押し寄せた時に100人単位で人々が避難する場所となった。市内には江戸時代に築かれた命山が今も残っていて、文化財として地域の歴史を物語る景観のひとつとなっている。この先人たちの知恵が現代に蘇り、新たに海岸から1.2km、地上高7.5m(海抜10m)、中新田地区の命山「きぼうの丘」が築かれた。命山復活のきっかけは2011年の東日本大震災。津波の恐ろしさを知った住人が南海トラフ巨大地震の避難場所として市に建設を要望したという。最大収容人数は400人、避難スペースの中に置かれたベンチには食料品や簡易トイレ、ブルーシートなどが備蓄されているて、夜間の避難に備えて太陽光発電のLED証明が設置されている。同様に設置された命山は沿岸を走る国道に沿って4機作られた。計2300人が避難することが出来る。命山のメリットは普段は公園として利用可能なこと、維持費が安いこと、長期間活用できることなどが挙げられる。地域住民は定期的に命山への避難訓練をしている。

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先人の知恵を生かす避難施設/津波を知って!津波に備える!

田中さんは命山について「公園として普段使っている子どもたちも目安にできて良い」と話した。避難する場所が遠い場合の車での避難について片田さんは「大渋滞になって動けなくしまうので原則禁止。全く動けない状態で津波に襲われ被害が拡大してしまう恐れがある。しかし車を使わないと避難できない人は利用していただく。また、リアカーを使ってご高齢の方々と一緒に避難する」とした。

自宅での避難 ある住民の選択

静岡・静岡市 増田ミサヲさん宅は南海トラフ巨大地震が起こった際、わずか10分で津波が到達することが予想されていることから津波シェルターを設けている。東京理科大学と津波シェルターの開発を進めるメーカーは耐衝撃性に優れた樹脂をコーティングした発泡スチロールに使用、転覆防止用に底が広がった形状になっている。設置費用含め1台250万円。これまでに30基納入したという。

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東京理科大学静岡市(静岡)
自宅での避難 ある住民の選択/津波を知って!津波に備える!

田中道子は過度に恐れずに準備をすることで避難の幅は広がったなどと話した。片田敏孝は津波警報が出ても本当にその通りに津波が来ることは多くないが最後の1回を勝ち取るのがやっぱり逃げていてよかったねということになるなどと話した。

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津波警報
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(エンディング)
沖縄・与那原町 長田純一さん

サーフィン専門カメラマン・長田純一さんは津波からの避難を呼びかける津波フラッグと同じ柄のバスタオルを作り普及活動を始めている。

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与那原町(沖縄)津波防災の日長田純一
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