- 出演者
- 池上彰 宇賀なつみ 松嶋尚美 伊集院光 カズレーザー 白岩瑠姫(JO1) 秋元真夏
今は夏休み、きょうは日本を変えた色んな問題を家族で一緒に考えてみよう。
多くの問題があったことで食品表示のルールが改正された。違反をした場合最大3億円の罰金が課せられる。これにより昔よりは減ったものの完全になくすのは難しいという現実がある。新米とパッケージに表示できるのはその年の12月31日までに精米・袋詰されたものまでをいい「食品表示基準」に定められている。1991年には農林水産省に食品表示対策室が設置された。また食品用牛レバーを原因とする食中毒が平成10~22年の13年間で116件発生、今は安全に食べられる方法がないとして一律で禁止となっている。
クローン技術は今、絶滅動物の復活に使われている。アメリカのバイオ企業が今年、1万3000年ほど前に絶滅したダイアウルフを復活させたと発表した。何万年も前の化石からDNAを取り出して分析。いまいる狼に絶滅動物の特徴を組み入れ改変、3頭が誕生した。外見的な特徴は似ているが、遺伝的に完全に同じではないという。この企業は2028年末までにゾウからマンモスの子を誕生させる計画。中国やアメリカでは亡くなったペットなどの細胞からクローンをつくるビジネスがあり利用者が増えている。また移植用臓器の不足は世界的な課題、そこで人間に移植しても激しい拒絶反応が起きないよう遺伝子を改変したブタがクローン技術で誕生している。
1995年に大阪で初めて発見された「セアカゴケグモ」。強い毒があるが命に関わるほどではないとわかり、最近は殆どニュースでみなくなったがいまでは青森県以外の46都道府県で生息している。2014年には「デング熱」のウイルスを検出。2017年には南米に生息していた「ヒアリ」が日本で初確認された。最近では猛毒の「ヒョウモンダコ」が関東沿岸でも目撃され、温暖化が影響しているとみられる。
最近でも危険な生物が増えている。海水温の上昇で有毒なプランクトンの生息域が北上、シガテラの食中毒は千葉・神奈川・大阪などでも発生している。近い将来釣った魚が気軽に食べられなくなるかもしれない。
今から50年ほど前日本で初めての5つ子ちゃんが誕生。生まれる確率は6000万回ほどの出産で1例ともいわれ、珍しい5つ子ちゃんが度々ニュースに。あれから50年ほど経ち、5つ子ちゃんってその後も生まれているのだろうか。そもそも排卵誘発剤や体外受精などの不妊治療が増えたことで3つ子以上の出産というのはどんどん増えている。
今は3つ子あるいは4つ子ともなると→赤ちゃんにもあるいは母体にも非常にリスクが大きいため、日本産科婦人科学会の見解で不妊治療においては3つ子以上は避けようというガイドラインができている。不妊治療の多くは技術の進歩などもあり、リスクが大きい出産を避けることができるようになってきたので最近は5つ子ちゃんを見なくなった。最近は妊娠の方法もいろいろあり、例えば体の外で受精させる体外受精などの不妊治療を受ける人も増え、高度に人の手がかかった医療で生まれた赤ちゃんはいまや10人に1人となっている。
日本の体外受精は他の先進国に比べて成功率は低いといわれている。一番大きな原因は外受精を行う年齢が高いからで、日本で治療を受けた女性の年齢で一番多かったのは42歳。この年は体外受精が保険適用になったので駆け込みで治療を始めた人も多かった。しかし、この5年ほどを見ても40前後で治療を受ける人が最多で、海外と比較しても日本は高い年齢で治療をする人が多い。女性の社会進出で結婚が遅くなったりあるいはキャリアアップのために若いうちは子どもを産みたくないという女性も増えたといわれている。ただし高齢になるほど不妊治療の成功率は下がってしまうという現実がある。そのため最近、妊娠できる可能性が高い若いうちに卵子を凍結保存する女性も増えている。また無痛分べんの数も他の先進国に比べてかなり少ない。無痛分べんをコントロールする麻酔科医が少ないだけでなく、無痛分べんができる病院自体も少ないという。
2016年ごろ「保育園落ちた日本死ね」といった言葉がSNSに投稿され話題となった。同じ怒りを持つ母親たちが抗議デモを起こし、国会でも取り上げられるほど大きな問題になった。待機児童の数はこの投稿があった2016年の10分の1ほどまでに減らすことができた。しかし最近また新たな問題が発生している。それが「学童保育」の問題。共働きが増えたなどの理由もあり今では小学生の4人に1人は利用している。でも最近は入れない子どもがたくさんいる。特に今いわれているのが「小4の壁」という問題。自治体によっては小学校4年生になると「ここからは学童じゃなくても」といって対象年齢から外されてしまうという。学童保育は保育所などと制度が違い、学校と家庭の間のおまけのような存在と見なされやすいという現実があり積極的に整備してこなかった自治体もあった。そのせいもあり人材不足が深刻で、学童保育の指導員の年収を見ると実は6割ほどが年収200万円未満の収入しかないという現実がある。それを増やすのか。あるいは自治体や国が補助するのか議論されている。
かつて、個人向けの住宅ローンを専門に取り扱っていた住専と呼ばれる会社が巨額の不良債権を抱えどうにもならない状況になるという、日本で初めての出来事が起こった。国は公的資金、つまり税金を投入して→住専を助けることに。国民は他の民間企業は見捨てるのに→住専だけなぜ税金で助けるのかと大激怒した。一体なぜ住専問題は起こったのか、そしてこの問題で日本はどう変わったのか。。
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- 村山富市
住専が作られた1970年代、銀行は大企業にお金を貸す所であって住宅ローンを組むところではなかった。そこで当時の大蔵省が主導し、住宅ローンを専門にする会社の設立を提案。これに銀行と農協などが協力しそれぞれがお金を出し合って8社の住専が作られた。この個人向け住宅ローンに人気が集まったということなのだが、今まで相手にしてなかった銀行が住宅ローン事業へ参入してきたことにより住専の立場が危うくなっていくことになった。銀行は資本力があるから「住宅金融の専門会社より低い金利で貸してあげますよ」とか勧誘してきた。
銀行に客を奪われ始めた住専は当時景気の良かった不動産業への融資を積極的に行うようになった。しかしその後に起きたバブル崩壊により経営破綻。その損失額は6兆4000億円にのぼった。この損失は結局税金で返済をしましょうということになった。6.4兆円のうちの大半は銀行と農協で負担したが、それでも足りないおよそ6800億円を税金で補填することが決定。でも一般の会社が倒産しても税金で助けてくれないということで、住専への特別待遇が大問題になった。
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- 住専問題
税金を使うという大問題になった判断が今の日本の金融業界を救うきっかけになっていた。住専から借りたけど返していない組織がいっぱいあった。それをちゃんと取り立てようじゃないかという組織ができた。債権回収の専門の組織ができたが、結果的に国に戻ったのは18億円程度だった。そのあとの金融危機で銀行が潰れそうになった場合、公的資金でとりあえずは助けながらお金をちゃんと返してというシステムを作り、結局全部のお金を取り戻したのは今年に入ってからだった。
7月、参議院選挙で自民党が大敗。政権与党なのに過半数割れ。もっと衝撃的なことが過去には起きていた。「政権交代」。1993年、8党派による連立政権。2009年、民主党が単独過半数。1988年におきたリクルート事件。未公開株を有力議員などに賄賂として渡した贈収賄事件。自民党が分裂、「新党さきがけ」「新生党」が誕生。なぜ8党派が誕生できたのか。自民党を終わらせるという共通の目標があった。だが、この連立政権は10ヶ月で終了した。
1993年の政権交代から再び自民党へ。2009年に再び政権交代。リーマンショックで日本経済が大低迷。政治とカネの温床を防ぐため、1993年に小選挙区比例代表並立制ができた。小選挙区制度で世論の流れが政権交代につながりやすい。
現在の政治の今後は?衆参両院で与党が過半数に満たないのは初。1993年の8党派連立政権から16年後、2009年の民主党政権。2009年から16年後の2025年。また政権交代が起きるのか。
