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- 池上彰 峰竜太 ウエンツ瑛士 水上京香
2024年、池上注目のニュースを独自の切り口で徹底解説。台湾総統選、アメリカ大統領選挙、進化!コンビニ業界。今年日本は正解はどうなるのか?
池上さんが注目するニュースを紹介。上半期、スタジオでは気になるニュースとしてあがったのは「北陸新幹線」。3月16日に福井・敦賀までつながる、これによって東京から福井駅まで3時間を切って行くことができる。また2月にはANAの新ブランド「エアージャパン」が就航する。成田ーバンコク間の運賃は片道1万5000円~で全日空とLCCのいいとこどりをしている。峰竜太さんが気になったのは6月「ABAB上野店閉店」。建物の老朽化が理由で、日本のファッションビルの草分け的な存在で90年代は渋谷109のライバル店だった。赤札は列車の3等車の切符の色から。
池上さんは「今年は注目の選挙が目白押し、世界中で70以上の国と地域で選挙が行われる」などと話した。1月台湾総統選挙、3月ロシア大統領選、11月アメリカ大統領選など。台湾総統選挙について「東アジアの未来も左右するかもしれない」とし、注目ポイントは「対中強硬派か親中派か」という対立になるとのこと。現在争っているのは3人の候補で、対中強硬派の民進党・頼清徳副総統。蔡英文総統の後継でアメリカとの関係を重視している。国民党・侯友宜新北市長は親中派。民衆党・柯文哲党主席は中国に柔軟な姿勢で若者から支持を集めている。現在は頼候補がわずかにリードしている。中国共産党は頼氏が勝利すれば戦争の危険が高まると宣伝するなど世論工作を強めている。池上さんは支持率の動きが注目とし、「ぎりぎりまで余談を許さない」「私たちにとっても身近な選挙」などと話した。
3月ロシア大統領選挙について。池上さんの注目ポイントは「再戦すれば2030年まで」さらにその後続投すると2036年までになりプーチン大統領は最長在位の指導者になるかもしれないなどと説明した。対抗馬については野党もあるので出ようとしているが許可が下りないそうだが、池上さんは「選挙で当選したという形をとりたいのでプーチン大統領は必ず対立候補を出す」などと話した。ロシア国民からするとプーチン氏は今までの歴史の中ではまだましで、ロシアの人にとっては民主主義は混乱だと思っている人も多く強いリーダーのほうがまだましだとなっているようで、戦争をすると支持率が上がるというデータもある。
現在プーチン大統領の支持率は83%。「支持しない」と言ったらどうなるんだろうと思うと「支持します」という人が多いのでは。プーチンはモスクワの大統領官邸にいるとされているが、あの辺りにいくとGPSが乱れる。ミサイルはGPSに基づいて誘導されるので乱れさせて暗殺を防いでいるといわれている。プーチンは元々スパイで暗殺などをする仕事をしていた。プーチンは「“元スパイ”という言葉はない」、一度スパイになったら死ぬまでスパイだと言っている、などと伝えた。
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3月の注目ニュースはNTT 生成AIサービス開始。生成AIというと去年「チャットGPT」が話題になった。NTT独自の生成AIが3月にサービスを開始する。従来のAIは人が与えたものを学習させてその通りにやる。生成AIは自分で学び新たなことを作り出す、まるで人間のようなことができる、などと伝えた。
今年大きな進化を遂げそうなのがAIを搭載したロボット。最新のAIを使えばロボットに複雑な動きを学習させたり会話させたりすることが可能になる。1年前、池上が思わず夢中になって操縦したロボットは4足歩行ロボット「Spot」。すでに建設現場などで導入されていて、人がいない時間の警備や危険な場所の見回りなどに活用されている。実は1年で驚きの進化が。チャットGPTを搭載し会話ができるようになっていた。今は研究所の案内役を任されている。開発したのはアメリカ発のベンチャー企業「ボストン・ダイナミクス社」。韓国のヒョンデ自動車とソフトバンクグループが株主だ。
5月、セブン-イレブンの日本1号店が開業から50年。当時は朝の7時~夜11時まで営業していることがびっくりされていた。CMのキャッチコピーは「開いててよかった」だった、などと伝えた。
50年前に東京・江東区豊洲にオープンしたセブン-イレブン1号店。実はいまも同じ場所にある。山本憲司さんは1号店の店長で今も現役。現在はこの店を含め8店舗のオーナー。元々は家業を継ぎ酒屋を営んでいた山本さん。24歳のときアメリカ発のコンビニビジネスに興味を持ち酒屋を改装。1974年5月、日本初のコンビニをオープンさせた。当時の写真で山本さんの後ろにはセブン-イレブンを日本で立ち上げた鈴木敏文さんの顔も。当時の話を聞くと最初に売れた商品はサングラス。当時の写真を見るとカウンターにはサングラスが。アメリカのセブン-イレブンの売れ筋商品だった。他にはハタキ、そろばんなども売っていたそう。誕生から50年。セブン-イレブンは様々なものを生み出してきた。家庭で作るのが当たり前だったおにぎりを初めて販売。今では年間20億個以上売り上げている。この時期に欠かせないあたたかいおでんもセブンが発祥。さらにコンビニの中のATMもセブンが初めて導入した。
セブンを追う2社も負けてはいない。1年ほどまえ都内にオープンした未来がテーマの新しいローソン。中に入るとアバターオペレーターがいる。これはアバターが接客してくれる新システム。ジェスチャーもできる。遠隔でスタッフが対応していた。ローソンのスタッフの声や動きを店のアバターに投影できるシステム。普段は自宅からアバターを操作しているという。関東で暮らすこの女性は大阪や福岡の店舗も担当している。アバター店員は全国8店舗に導入。25人のスタッフが交代で接客している。ローソンは人手不足の解消を目指し来年までにアバター店員を1000人ほどに増やす方針。
2023年11月、代々木体育館にてファミリーマートの記者発表会が開催された。ファミリーマートは、3年前に「コンビニエンスウェア」というアパレルブランドを立ち上げ、その新作を披露するイベントだったイベントには、CMキャラクターを務める八木莉可子さんや吉田鋼太郎さんも登場した。麻布台ヒルズにあるファミマも新店舗では、ショーで発表された新作が限定販売されていた。
豊島さんは「ファミリーマートは国内に約1万6400店舗あり、ユニクロなどより多い世界最大のアパレルと言えます」、池上さんは「東京オリンピックのとき、海外の取材陣や選手が日本のコンビニは世界一とアピールして有名になりました。特に人気の商品は、『たまごサンド』でした」などと話した。
働き方改革により、今年4月から物流・建設・医療業界なども、時間外労働の上限を年960時間となる。これにより、物流業界では時間通りに物を運べるかなどが懸念され、「2024年問題」と言われている。何も対策しなかった場合の2024年度の輸送能力は14%、2030年度は34%減るとされている。そんな中、全長25mのダブル連結トラックが登場。現在15社・270台が運行しているという。また、新幹線を使った輸送も活用され、青森から首都圏への移送はトラックと比べ約5時間短縮されたという。JR東日本は、今年中の新幹線移送の事業化を目指すとしている。また、ヤマト運輸は旅客機を改造して貨物専用機を作り、10トントラック約5~6台分が移送できるという。
物流の2024年問題を解決するかもしれないある取り組みを紹介。神奈川・川崎市の虹ヶ丘団地では世界初のロープウエー型の空中配送ロボットの実証実験を行っている。団地の真ん中にある公園のロッカーの中に届いた商品はQRコードを使って取り出すことができる。荷物は最短30分で届く。実証実験は去年11月から今年3月まで、パナソニックHD、東急、UR都市機構が実施している。アプリで近隣のスーパーの商品を選ぶと、スーパーの店員がピックアップした商品を積み込み場所まで運び、積み込みボックスに入れた荷物はワイヤーで電柱を使って運ばれる。担当者は「虹ヶ丘団地は高低差のある団地で高齢化が進んでいるので買い物の利便が向上すれば」と話した。開発担当者はドローンではなくロープウエー方式を採用したことについて「物理的に絶対落ちない安全性が確保されていて街中でも使うことができることがメリット」と話した。音も静かなので都市部での可能性も広がる。ウエンツさんは「QRコードを人に遅れたら楽だなぁ」などと言った。最大の時間のロスである不在への対策として、政府は置き配・コンビニ受け取りでポイントを付与するという方針を発表した。
続いて下半期のニュースを深掘りしていく。7~9月に行われるパリ五輪・パラリンピック。開会式はセーヌ川で行われる。注目は新競技のブレイキン(ブレイクダンス)。選手村には環境に配慮してエアコンがなく、地下水を使った床冷房システムを採用したという。JOCは日本選手団の寝室に携帯式エアコンを設置する方針を示している。7月以降にサービス開始予定の「宇宙遊覧フライト」は岩谷技研が開発したガス気球で宇宙遊覧を目指す。去年10月の実験では成層圏(高度約1万~5万メートル)に到達した。実際のサービスでは高度2万5000メートルに約1時間滞在できる。料金は2400万円。2024年は5回のフライトが予定されていて、すでに予約で完売している。2025年からはJTBがツアーを企画予定だという。
2024年下半期、池上さんが注目するニュースは「7月3日・新紙幣発行」。一万円札は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎。津田梅子氏は日本初の女子留学生の一人で明示を代表する教育家。池上さんは「津田梅子さんは右向きの肖像しかなかった。でも金額が書いてある左向きにしないといけないので、向きを変えたそうです。国立印刷局の人が向きを変えた肖像画を新たに作ったんです」と話した。新紙幣の注目は「3Dホログラム」。新紙幣の変わることである業界では特需が発生している。
仙台市のある企業を訪ねると、新紙幣に対応した自動販売機が。特別に中を見せてもらうと、「新札対応2024」と書かれている。詳しく見せることはできないが、その部分で3Dホログラムを読み取り本物かどうかを識別。その後、お金の種類を判別する。現在、全国にある自動販売機は約397万台。新紙幣が発行されればそれらの自販機をすべて替える必要がある。しかし新紙幣はまだ発行前なのにどのようにして自販機を作ったのか。国立印刷局で新しいデザインが公開された去年6月28日。実はこの日、自動販売機メーカーが密かに集められて新紙幣をチェック。透かしの位置や3Dホログラムの大きさなど、自動販売機を作る上で必要なデータを取っていた。すでに新紙幣対応の自販機を使っている店もある。「立ちそば処 杜」では去年11月にいち早く導入した。その理由を聞くと、前回2004年に紙幣が切り替わった際に全国の飲食店が一斉に自販機を注文したことで半年待ちの店も出たため。すでに本格的な印刷が始まっている新紙幣。
池上さんは「電子マネーが普及してきているので、『新紙幣は必要なのか』という議論もある。一方で、古い紙幣でタンス預金をしている人などは『使ったほうがいいのかな?』となって景気対策になるのでやっているという説もあるんです」と話した。日銀の統計によてるとタンス預金は約109兆円あると言われている。また、新紙幣を20~30年ごとに作ることで、若い人たちに紙幣を作る技術の伝承をしている。また、それと同時に日本の印刷技術を世界にアピールする狙いもある。