- 出演者
- 池上彰 大浜平太郎 中原みなみ 勝村政信 坂下千里子 興梠一郎 三牧聖子
抗菌薬が足らず、緊急搬送されてきた急性心筋梗塞の疑いのある患者を受け入れ拒否するドラマ映像を紹介。過去には抗菌薬が足らず手術が延期になった事例もある。原薬を1つの国に依存するのは極めて危険な時代。万が一、原薬の供給が途絶えたとしても自給できる体制は必要不可欠。
肥料の輸入がストップし、農家が肥料を使わず自分の家で食べる分だけの野菜を作るようにすると決断する様子を描いた映像が流れた。
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米中の対立が深まった場合の最悪のシナリオをみてきた。最悪にしないためにはどうすべきか。国内では製造していなかった薬の原料を新たに作り始めた企業など未来へ向けた動きを取材。抗菌薬の国産化に立ち上がった企業がMeiji Seika ファルマやSHIONOGIグループ。かつてMeiji Seika ファルマは抗菌薬を製造していたが、撤退した過去がある。その理由は薬価だった。政府は増え続ける医療費を減らすため、一部の薬の値段を下げた。その結果、低コストで生産できる中国に依存するようになったという。2022年経済安全保障推進法に基づき、抗菌薬を特定重要物資に指定。国からの支援を受け、2023年に抗菌薬の国産化を目指し、ペニシリン製造の実験が始まった。設備が残っていたことと技術者もいたことでギリギリのタイミングだったという。去年、31年ぶりにペニシリン系抗菌薬の原料の製造に成功。2030年度中に国産抗菌薬の安定供給を目指す。また、輸入制限がかかっている化学肥料を使わない農業に取り組む地域もある。住みたい田舎ベストランキング1位の千葉県いすみ市。ここで市をあげて育てているのが、有機米。学校給食にも使われている。取り組みから10年。循環型農業を実践した自治体として実を結んでいる。
未来予測ドラマでは主に肥料と医薬品の未来を見た。他に中国への依存度が高いものとしてレアアースなどがある。レアアースの依存度は58%、産業用ドローンは91%、ゲーム機やノートパソコンなどは95%以上が中国からの輸入。興梠氏はコロナの頃からサプライチェーンを国内に置いておかないと危ないということになり、基本的なものは国内で作れる体制を整えないとまずいという流れになってきているなどと指摘。
イラン情勢について。池上氏は「今回イラン側が海峡を事実上封鎖し、それに対抗してアメリカが逆封鎖したわけだが、イラン側で今後のホルムズ海峡の鍵を握るのが革命防衛隊」など指摘。
池上氏はどうしても直接話を聞きたかった人物。かつてイラン革命防衛隊の中枢を担っていた元司令官ホセイン・カナニモガダム氏。革命防衛隊幹部との意思疎通は今もできているのか質問するとカナニモガダム氏は「今は革命防衛隊には所属していないが隊員の多くは古くからの友人・同志だ。求められればいつでも彼らの力になる」などコメント。今も革命防衛隊に影響力を持つというキーパーソン。インタビューの数時間前に行われた米中首脳会談の内容に不快感を露わにした。米中首脳会談が開かれてホルムズ海峡の開放で一致したとの報道についてカナニモガダム氏は「ホルムズ海峡はイランの管理下にある。アメリカや中国がホルムズ海峡に関与する権利はない。台湾を中国に渡す代わりにホルムズ海峡をアメリカの管理下に置くというような取り引きをしているかもしれないが、そんなことは許さない。ただ、中国がホルムズ海峡について仲介することは歓迎する。戦争を終わらせるための仲介の役割を担う国はどの国でも歓迎する」などコメント。長期化が懸念されホルムズ海峡の事実上の封鎖。カナニモガダム氏は「われわれは30年前から準備してきた。海軍を強化しホルムズ海峡を通過せずに石油を輸出する方法を考えてきた。私も潜水艦や機雷を設計し、この分野で経験を積んできた。軍事力で上回るアメリカに対抗するために備えてきた。イランは何種類もの機雷を保有している。1つ目は船舶を通航させないよう水面に設置する機雷。2つ目は海中に設置して潜水艦が接触した際に爆発するタイプ。3つ目は改訂に埋めてAIで操作する機雷。ホルムズ海峡の島々は基地となっていて船を破壊するミサイルランチャーも設置している」などコメント。また、アメリカが戦争をやめる可能性については「トランプは戦争をやめたりしない。次の中間選挙に勝つために勝利を手にしなければならないからだ。もし負けたままペルシャ湾から手を引けば大統領の立場を失うだろう。彼はノーベル平和賞をほしがっているがふさわしいのは戦争賞だ。われわれは8年間戦争を続けられる準備をしている。以前はドローンも核の開発能力もなかった、今は兵力も格段に増している」などコメント。
第3巻「ホルムズ海峡」。今回池上氏が注目したのはホルムズ海峡に点在する小さな島々。ララク島ではイランの革命防衛隊が監視をしていて、船舶から「通航料」を徴収しているという。また、アブムサ島には要塞化されていて、ドローン・ミサイル・小型潜水艦基地などがある。興梠氏は「中国の立場は難しい。サウジアラビアやUAEとも経済的な関係が深い。あとはホルムズ海峡を封鎖していることは中国が嫌がっている。中国はイランの原油の8~9割を買っている。それが自分たちの製油所に流れてこない。全体の11%ぐらいイランの原油に頼っているので、そういうことでなんとかホルムズ海峡の封鎖をやめろというのが本音。でもはっきりいうと反発をくらう。そういう厳しい立場」などコメント。同志社大学教授の三牧氏は「トランプ大統領としても開けたいが開ける方法がないという状況。11月に中間選挙があり、このガソリン価格では共和党がトランプ大統領のせいで戦えないと言われている。他方で、ここまで大規模な戦争をやったわけで、撤退することはできない。勝ったという何かを得て撤退しなければならない」など指摘。
自民党は先月24日イラン情勢に関連し、停戦後ホルムズ海峡への海上自衛隊機雷掃海部隊の派遣検討を提言。機雷掃海部隊とはどのようなものなのか。大浜キャスターが横須賀基地を取材。掃海艦あわじは2017年に就役。機雷排除が主な任務。機雷とは船などにダメージを与える海の爆弾兵器。船体への接触や船の磁気・音響に反応、遠隔操作などで爆発し「海中の悪魔」と恐れられている。湾岸戦争後の1991年には自衛隊の掃海部隊がペルシャ湾に派遣されており、水中処分隊も参加して34個の機雷を処分している。掃海艦あわじはガラス繊維プラスチックで造られており、金属類もすべて非磁性で機雷に反応しない。かつては木造船が主流だったという。食堂も見学。隊員が一度に食事することはないので席は定員分ない。電子レンジがあるが、これは電力を使って船体の磁気を打ち消す処理を行っているという。ランドリーや真水で入れるという浴槽も完備。最新の機雷処分の方法を解説。磁気や音響に反応するタイプの機雷には磁気掃海電線や発音体を用い、船に模擬して機雷を爆発させる。船体に接触して爆発するタイプの機雷は海底のアンカーを切断し浮上したところを射撃する。この他自走式機雷処分用弾薬で直接攻撃して処分する方法も。弾薬にはカメラが搭載されており遠隔操作で命中させる。探索調査にも最新鋭の機器を投入しており、ソナーを搭載した水中ロボットで人間が入れないところや汚染された海域でも捜索が可能となっている。機械だけでは対応できない場合には水中処分隊が出動する。少しでも犠牲を減らすという判断から潜る時は1人だという。機雷は一度仕掛けると腐食せず残り続けることから「死なない兵器」と呼ばれており、日本近海では今でも当時の機雷が見つかり海上自衛隊が処分にあたっているという。
INPEXは世界20カ国以上でプロジェクトを進める日本最大級のエネルギー開発企業。日本の電源構成では天然ガスが約32%と最多で、原油リスクが高まる今では天然ガスの重要度が増している。新潟・上越市にある「直江津LNG基地」は最大で315mもの天然ガスのタンカーが横付けされるという。INPEXの上田隆之社長はホルムズ海峡封鎖について「リスクが顕在化した。誰も実際に起こるとは思っていなかった」などと話した。INPEXは自主開発原油を持っており、原則自由に処理できるという。このようにしてINPEXはエネルギー調達の多角化を進めてきた。
INPEXの直江津LNG基地にあるタンク1基には18万キロリットルのLNGが収納されており、基地がある上越市の約7万7000世帯の生活が約4年間もつ量だという。INPEXでは長期契約を結んでLNGの価格を保持しているが、短期契約となると先の見通しが立たない状況だという。LNGは海水で温めて天然ガスに戻すといい、戻した天然ガスは1都8県に約1500kmのパイプラインを使って供給している。
今後の日本のエネルギー開発についてINPEXの上田隆之社長は「今回のイラン・ホルムズ海峡の危機によって今後エネルギーのサプライチェーンそのものに大きな影響が出てくると考えられる。クリーンエネルギーがセキュリティーという観点からも注目されるかもしれない」などと話した。INPEXは新潟・長岡市のガス田で採掘した天然ガスからブルー水素を作り、それをもとに発電を行う実証実験を開始。今年の本格稼働を目指している。
ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続いていて世界中が解除を待っているが状況を見る上で池上さんが注目しているのが「カスピ海」。イラン北側でホルムズ海峡の反対に位置、イラン情勢に関わっているという。5年前カスピ海の対岸にあるロシアがウクライナに軍事侵攻して以降カスピ海を使いイランはロシアに攻撃用ドローンを提供してきた。これによって戦況をかなり変えたとされている。現在イランが攻撃されているのでロシアがイラン製の攻撃用ドローンを改良しカスピ海経由でイランに輸出して支援してるとも言われているという。アゼルバイジャン製の石油がロシアやホルムズ海峡を通らず日本に運べるカスピ海ルートを開拓して調達の多様性を図るなど日本についても重要度を増している。このあとは世界混乱の中陰の勝者とも言える国を池上さんが紐解く。
世界中を混乱させているイラン情勢、混乱の影で立場を有利にしている人たちがいる。ロシアプーチン大統領はホルムズ海峡封鎖の影響でロシア産の原油の価格が値上がりしロシアの利益が増えている。イラン情勢をめぐりトランプ大統領と欧州国々の間の溝が深まっていて、アメリカはドイツ駐留の米軍を5千人削減するとしていて漁夫の利を占めているのがロシアかもしれない。2人目の勝者は北朝鮮ではないか、アメリカが日本や韓国の基地から中東に軍を派遣するとする中で北朝鮮はイラン攻撃以降弾道ミサイルなど発射事件を連発、核弾頭も搭載可能とされアメリカを牽制している。殺害されたハメネイ師や拘束されたベネズエラマドゥロ大統領とは違い“自分には核兵器がある、自分の保身は正しかった”と自信を深めているようにみえる。またトランプ大統領と習近平国家主席は世界混乱の中超大国を率いる2人の会談で友好関係を演出した。11月中国・深圳でAPEC、12月にはマイアミでG20が開催されここでも首脳会談が行われる見通し。9月には習主席をワシントンに招待する国賓での訪米が発表、11月には中間選挙を控える。三牧氏は「2つの決定的な違いは1つは民主主義の国、中国は気にしない。トランプ氏は11月の中間選挙で米中首脳会談で実利を有権者に見せられるアメリカ国民へのお土産を持ち帰りたかった。今までの看板政策の関税はアメリカの人達のダメージになり、イラン戦争ではトランプ氏は困っていないというがホルムズ海峡が開かないのは共和党の支持基盤の農家などが困り怒っているため首脳会談でお土産を持ち帰りたい」とした。中国は来年人民解放軍健軍100年、共産党大会もある。興梠教授は「彼は軍や共産党の中に敵はいないが最大の敵は経済。権力を集中すればするほど経済はうまく回らなくなるサイクルに入っている。対米関係も集中するほど西側との関係が悪くなるというのがあり経済安全保障の言葉が飛び交うが切り離されてしまう危機感が持っているため米中首脳会談でも安定した関係を築くというジレンマがある。日本は中国への依存度が高いとされるが中国も同様、強みもあるのでお互い様」などとした。米中首脳会談後の株価は期待以上のものがなかったことも織り込み済みでダウは500ドルぐらいを下げた。このあとは日本の安全保障はどうなるのか、池上さんが小泉大臣に切り込んだインタビュー後編を紹介する。
池上彰が小泉防衛大臣を緊急取材。米中首脳会談をめぐり、日本としてどう見ればいいかについて小泉大臣は「米中が安定的な関係を構築して平和的な環境が整うこと自体は日本は歓迎すべきこと。一方どのようなやり取りがあったのかについては情報収集・分析をしなければならない」などとコメント。一方で小泉大臣は「周辺国の軍備増強はすさまじい」などと強い危機感もにじませた。
この番組は「テレ東BIZ」「TVer」「U-NEXT」で配信。
池上彰が小泉防衛大臣を緊急取材。台湾有事について小泉大臣は「様々な懸念や不安を現実のものとしないため、安全保障政策もしっかりと強化する。自衛隊はあらゆる事態に備えて日頃から24時間365日厳しい訓練にも励んでいる」などとコメント。
米中関係が好転…どうする日本?。三牧さんは「トランプ大統領は歴代大統領とは色々と違うところがあり、1つは中国の人権侵害などにほとんどまず関心がない。そしてアメリカの実利・ディールを重視する人。また台湾に関してどんどん曖昧になるアメリカと、明確にした日本は少し今距離もあるため、対米関係のすり合わせや新しい発想も必要」などとコメント。池上さんは1975年の堺屋太一の小説「油断!」をもとに、「日本が海外に頼っているのは石油だけでなく、レアアースなど多岐にわたっている。油断してはいけないということは今の日本にも言えることだと思う」などと話した。
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2025年11月23日(18:30)
