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オープニング映像。
ENEOSの製油所で必要不可欠なのが油を移送させるポンプ。ポンプの回転する軸とボディの隙間から油が漏れるのを防ぐ重要な部品がメカニカルシール。今回のガリバーは液体制御機器メーカー・PILLAR。半導体の製造にもPILLARの製品が欠かせない。500以上もある半導体製造工程のうち3~4割が洗浄と言われるほど洗浄は重要な作業。洗浄に使われる薬剤には硫酸や塩酸などがあって、200℃という高温の場合も。薬液の漏れは事故につながる。PILLARは半導体洗浄装置向け継手で世界シェアトップを誇る。
PILLARの年商は586億円、従業員数は1132人。販売・生産拠点は国内に39か所、海外は11の国と地域に16か所。流体を制御する機器を素材から製品まで一貫生産している。1つの半導体洗浄装置に4500~5000個の継手が使われている。漏れの多くはチューブが抜けることで起きるが、PILLARの継手はスリーブの山にチューブが密着することで抜けにくくなる。サルスリーブが継手に刺さる構造を開発した。
PILLARの継手は半導体洗浄装置に使われる。半導体を洗浄する薬剤は硫酸や塩酸で200℃の高温で流れることもある。継手の素材はふっ素樹脂で、熱や薬品に強く汚れにくいが加工が難しい。ふっ素樹脂は溶けにくく、収縮率が高い。PILLARでは収縮率を計算して金型を設計して加工を行っている。2021年に開発されたのは流路をカーブさせた継手。PILLARではシミュレーションによってふっ素樹脂の加工技術を高めている。継手の生産現場で最も重要なのが清浄度。ナノ単位の金属イオンやちりがついただけでも半導体ウエハは不良品になってしまう。PILLARでは継手も10億分の1gレベルのゴミを落とすために何度も洗浄している。
PILLARの創業は1924年。創業者の岩波嘉重が日本郵船の機関士時代にエンジンの漏れを防ぐパッキン技術の重要性に着目した。
PILLARは約100年前に船のエンジンから上記や油の漏れを防ぐパッキンを開発。その後、グランドパッキンへと進化させる。扱う液体によってガラス繊維や炭素繊維など様々な素材を使い分ける。編み方も様々。繊維の隙間を埋めるため、特殊な液体に浸ける。グランドパッキンは回転する軸と接する面が摩擦によって摩耗するため定期的な交換が必要となる。そこで74年前、PILLARが日本で初めて開発したのがメカニカルシールだ。メカニカルシールは2つの筒状の部品によって漏れを防ぐ。摩耗を減らすことで劣化を抑えるという。PILLARは阪神・淡路大震災をきっかけにふっ素樹脂の滑り性に目をつけた免震装置も開発した。
「液体をコントロールするのが難しい水素をコントロールしていくために技術開発を行い新事業につなげていきたい」と岩波社長は語った。
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知られざるガリバーの次回予告。