2023年7月28日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

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幸せになれる映画を 〜監督・山田洋次 91歳の覚悟〜

出演者
合原明子 
(オープニング)
オープニング

映画監督の山田洋次さん(91)は「幸せとは何か」という問いに向き合い続けてきた。山田さんは90作目となる作品に挑んだ。50日近くに渡る撮影は、老いと向き合う日々だった。

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幸せになれる映画を 〜山田洋次監督 91歳の覚悟〜
山田洋次監督 91歳 最新作の舞台裏

去年9月、撮影初日を迎えた。新作「こんにちは、母さん」は東京の下町を舞台に人生を生き直そうとする人々を描く物語。山田監督は母が恋をしている現実を受け止められない息子が布団でもがく場面で、かけてあったコートが落ちるタイミングにこだわった。山田監督は人間を描くこと、観客が共感し、身につまされることを大事にしている。妥協は一切しない。初日に撮影した場面は撮り直すことに決めた。いい映画を観客に届けたいという情熱のほか、“山田組”と呼ばれるスタッフたちも山田監督を支えている。スタッフは全員フリー。山田監督は自身が若い頃は全員社員だったことを話し、日本映画界の現状を憂いた。山田監督が是枝裕和監督に「日本映画はだんだん暗くなっている」などと話すと、是枝監督は「(自身の作品は)暗い題材が多いから反省します。見終わって生きてるの嫌になっちゃうなっていうのは作らないように決めている」などと答えた。

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山田洋次監督 幸せになれる映画を

撮影終盤、山田監督が大切にしている場面を撮る日がやってきた。つらい仕事をしている息子が一枚のせんべいを食べた時に言う「こういったものは人間を慰めるためにあるんだな。腹の足しっていうのは心の足し。(中略)俺もこういう仕事に就けばよかった。こういう仕事は裏切らないからな」というセリフのシーン。山田監督はその時の息子の気持ちを掘り下げ、演技に細かい指示を出した。その後、撮影はクランクアップを迎えた。本来は喜びを分かち合う場だが、山田監督は今回の仕事を最後に退職するスタッフを呼び、「この2人を映画界につなぎ止められなかった日本の映画の状況を悔しく腹立たしく思う」などと話した上で、2人に感謝の気持ちを伝えた。

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今月、宮崎県で「こんにちは、母さん」の先行上映が行われた。映画館のない町で、地元の住民が中心となって30年続けてきた山田映画の上映会。大分で音楽を教えている生野聡さんは、山田監督の新作を特別な思いで待っていた。生野さんはもともと、東京の小学校で音楽の教員をしていたが、6年前に体調を崩して退職した。去年故郷に戻り、再び音楽の仕事を始めた。支えになったのは、生きる喜びも悲しみも優しく描く山田監督の映画だったという。今回の上映会には山田監督の姿もあり、客席に混じって観客たちと映画を観た。「あそこはこういうふうに撮るべきだった」などと後悔する場面は多々あるが、観客が笑って泣いて、拍手してくれるのが監督としては幸せな瞬間だという。

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