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AI×専門家による6つの未来。それぞれの分岐点に至るまでの私たちの行動と選択が、たどり着く未来を決めるという。いつまでに何をすればどんな未来にたどり着くのかもAIが指し示した。
AIの解析結果を元に読み解いた6つの未来。過去20年間の出生率や賃金、労働時間など膨大なデータを入力。AIは2054年に起こりうる、およそ2万通りの未来を示した。大きく分けると6種類に分類できる。斎藤幸平は幸福度・イノベーションが高い「地方分散・マイペース社会」を選択。しかし賃金が低くなることが特徴、一方で若い世代の人口が22%増加し出生率も6%上昇する。また博士号取得者が39%増加するとも予測している。「多様性・イノベーション社会」は出生率、賃金が上昇し女性の活躍が進む。一方でストレスを感じる労働者が21%増え、自殺者も44%増加し幸福度は低い。未来に向かう道筋には5つの分岐点があり、行動や選択に寄って道が決まるという。最初の分岐点、2028年では賃金が上がるかどうかの分かれ道だとAIは解析している。2028年までにテレワーク導入企業の増加、育休取得率UP、運動習慣、労働時間を短くすることなどが条件。
AIの解析結果から賃金を上げるために必要とされた労働時間の短縮。創業73年の機械メーカーでは運搬用の機械をオーダーメイドで製造している。最も労働時間が長いのが設計部門。業務を効率化しようと書類のデータ化やSNSの導入も進めてきたが、根本的な解決にはならなかった。徳畑部長の労働時間を減らすには現状では、受注の数を制限するしかない。この会社では定期的に業務を見直す会議が開かれている。「スキルのある人に任せるほど業務が回る」。特定の個人に仕事が集中してしまい、それが会社を支えていた。
管理職の労働時間を減らし全体の賃金をアップさせる。それをユニークな形で叶えようとしているドイツ。1つの管理職を2人でシェアするタンデム方式を採用しており、労働時間は3割以上減らすことができる。この会社では管理職の得意分野が異なることで相乗効果も生んでいるという。
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- ダルムシュタット(ドイツ)人工知能
福原真弓は「企業としては1人で出来ることを2人でやることで、コストアップになるというのは臆病になりがちなところがある。1+1が3になるのであれば単なるコストアップにはならない」などとコメントした。女性の雇用形態を示すグラフでは正社員の割合は20代後半ではおよそ60%に達しているが、50代後半にはおよそ30%に減少。出産や子育てのために労働時間が短く賃金が安い非正規雇用に移らざるを得ない実態がある。福原真弓は「育児や介護中の転勤免除など、企業は勇気をもって踏み込むべき」と指摘する。ドイツの成功例について田中洋子は「短時間・転勤不可でも非正規にならないよう、これまでの前提を改革することが必要」などと説明した。
2029年の分岐点は子育て支援に関するものと、婚姻率上昇の要素が含まれるもの。政府は2030年を少子化対策の分水れいとして、少子化傾向の反転を目指している。新藤義孝は「社会保障の一環として少子化対策という考え方、国の経済を維持するためにも重要」などと分析。AIは少子化対策に、非正規雇用を減らす・相対的貧困率を下げることが必要と分析している。新藤義孝は「社会保障の世代間の支え合いを大切に、新技術を活用し少子化問題を乗り切るべき」などと語る。
2040年の分岐点はイノベーション。大学・企業の共同研究や、科学技術研究費が増える要素などを挙げている。山口栄一は「1990年代後半、日本企業は中央研究所を縮小し短期的な利益を追う経営に変わった。損なわれたイノベーション生態系の再生には、公的支援の強力な仕組みが必要」などと指摘する。AIは起業家を支えるための公的なスタートアップ支援を増やすことが重要だと導き出している。
アメリカ・バージニア州のSBIRの支援を受けたスタートアップ企業は、光ファイバーと全国の道路網を活かし、高速ネットワークをアメリカの隅々まで広げたいと考えている。1982年に始まったSBIR制度は、現在は年間の予算が46億ドルを超え、支援を受けた会社から民間ロケットや掃除ロボットなど様々な製品が生み出された。アメリカ政府が年間に支援する会社はおよそ6000社。リノベーションを生み出し続けるには不可欠な仕組みだという。
アメリカのSBIRの取り組みについて斎藤幸平は「数々のイノベーションの陰には大きなリスクを国家が取る仕組みが存在する」などとコメント。福原真弓は「国の旗振り、さらにはどういう国にしたいのか従来型ではない大きなビジョンが重要」と分析する。AIが導き出したイノベーションが進む社会は「地方分散・マイペース社会」と「多様性・イノベーション社会」。櫻井彩乃は「多様な人が心地よく参画できる社会こそがイノベーションと幸福を両立させる」などとコメント。山口栄一は「グローバルイノベーションとローカルイノベーション、2つを共鳴させる未来を日本は目指すべき」などと語った。
農業系スタートアップ企業を立ち上げた野秋収平さん。農作物の遺伝子情報をデータ化し独自のノウハウで交配。品種改良のスピードをこれまでの5倍に高めている。野秋さんはこの技術で、世界の農業を変えようという夢も描いている。
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