2024年3月21日放送 1:35 - 2:25 NHK総合

NHKスペシャル
戦国〜激動の世界と日本〜(2)ジャパン・シルバーを獲得せよ

出演者
 - 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

戦国ー激動の世界と日本ー
新発見で迫る 戦国日本の真実

今から400年前。ヨーロッパで作られた大砲が日本に持ち込まれ、戦国日本史上最大の合戦を左右した。これまで国内の出来事として描かれてきた戦国時代だが、世界各地では日本とヨーロッパの覇権争いが深く結びついていたことを示す資料が発見されている。新興の商業国家であるオランダは徳川家康に最新式の大砲を献上し、世界最大の帝国であったスペインの宣教師たちは豊臣秀頼を支援している。戦国日本で暗躍したこの両国が狙っていたのは、当時世界の3分の1を算出していた日本の銀「ジャパン・シルバー」。今回は、世界規模で巻き起こった戦国日本の大変革を取り上げる。

キーワード
徳川家康豊臣秀頼
新発見で迫る 戦国日本 大国激突 ウォー・ゲーム

長く続いた戦乱の末、世界屈指の軍事大国となっていた日本。スペイン王を後ろ盾とする宣教師たちはこの軍事力を武器にアジアの征服を計画し、その結果世界戦争の危機が巻き起こっていた。この勢力図に新たなプレイヤーとして加わったのが、ヨーロッパの新興国であるオランダ。商人たちによって興された小国でありながら瞬く間に世界の覇権を握ったオランダの成長の裏には、日本で繰り広げられていた豊臣家と徳川家の争いがあった。

新発見で迫る戦国日本 オランダ商人の記録

オランダの国立公文書館には、日本に滞在したオランダ商人が書き残した日誌や手紙など500件以上が保管されている。この文書にはオランダ商人が戦国日本にビジネスチャンスを見出していたことが記されていた。オランダと日本の出会いは1600年4月、オランダの貿易船が難破して日本に辿り着いたことから始まる。貿易船には最新式の鉄砲や弾薬が大量に積み込まれており、これに目を着けたのが徳川家康。家康は自ら生き残りの船員を尋問し、豊臣家に対抗する軍事力を揃えるために船員を家臣として召し抱える。こうして、船に積まれていた大量の武器弾薬は家康の手に収まることとなった。

キーワード
ウィリアム・アダムスヤン・ヨーステン・ファン・ローデンスタイン国立公文書館国際日本文化研究センター徳川家康

オランダが日本へ来た背景には、当時支配下にあったスペインとの独立戦争が関わっている。当時のスペインは世界中に植民地を擁し、無敵艦隊に代表される世界有数の軍事力を誇っていた。劣勢に立たされたオランダは富国強兵を画策し、その手段が貿易による富の獲得であったのだ。オランダ船の漂着から半年後、1660年10月21日には徳川家康と石田三成ら豊臣家の武将が激突した関ヶ原合戦が巻き起こる。この決戦で徳川家はオランダ製の武器による火力で豊臣勢を圧倒し、天下へ大きく近づいた。しかしながら、多数の武将を抱える豊臣秀頼は未だ最大の障壁として残っていた。同じ頃、ヨーロッパでは世界初の株式会社であるオランダ東インド会社が誕生。オランダ東インド会社には外国の領主と条約を結べる権利や貨幣の鋳造権など、防疫官するあらゆる権限が与えられており、迅速な海外進出によりスペインの権益を奪取することを狙っていた。

キーワード
ヤックス・スペックス大坂城徳川家康旧オランダ東インド会社石田三成豊臣秀頼関ヶ原の戦い
世界初の株式会社×戦国日本

戦国日本と共に世界の歴史を大きく変えていくこととなるオランダ東インド会社。商人によって設立されたオランダは純粋な利益のみを追求し世界各国へ貿易船を送り出していた。このオランダが注目していた戦国日本には、世界の覇権を握るためのカギが眠っていたのだ。

キーワード
旧オランダ東インド会社
世界の覇権をめぐる攻防 スペインVS.オランダ

大航海時代、世界最大の帝国を築いたスペイン。その力の原動力は新大陸で開拓した巨大な銀山から算出される銀。当時のスペインは世界の銀生産の8割を占めており、この経済力を背景に強大な軍事力を行使していた。オランダはこの銀の独占を切り崩すべく暗躍し、そのチャンスを日本に見出す。戦国日本は銀の算出国として知られ、これを手に入れる為にオランダ東インド会社はジャック・スペックスを送り込む。

キーワード
ジブラルタル海峡ボリビアポトシ銀山ヤックス・スペックス旧オランダ東インド会社

戦国時代、佐渡島には日本最大級の銀山が存在していた。この銀山を開拓したのが徳川家康で、豊臣家に対抗するための資金源としていち早く佐渡を抑えていた。家康は佐渡に5万人の労働者を送り込み、昼夜交代で採掘を進めて世界トップクラスの鉱山を開拓。家康はこの他にも各地の鉱山を開拓し、その結果日本の銀生産量は世界の3分の1を占めるまでに急拡大。スペックスは秘密裏に調査を進めて日本の銀がスペインのものよりも高純度であることを突き止めていたが、当時銀の国外への持ち出しは禁じられていた。これを撤廃するため、スペックスはガラスや毛織物を手土産に家康と交渉。しかし、家康がより強く求めたのは兵器だった。オランダ東インド会社はネットワークを駆使して兵器をかき集め、この要求に答えようと奔走する。

キーワード
ヤックス・スペックス佐渡島徳川家康新潟県旧オランダ東インド会社

一方、オランダの動きに焦ったスペインも家康の元に使者を派遣。鉱山技師の派遣というカードを武器に、オランダ人の国外追放やキリスト教の布教を許可することなどを要求した。スペインがキリスト教の布教を求めた背景には、キリスト教を布教することで日本を植民地にするという狙いがあった。オランダ人は家康にこうしたスペインの目的を警告し、スペインへの不信感を募らせた家康はスペインとの交渉を打ち切り、1612年には禁教令を発してキリスト教の禁止に踏み切る。こうして布教の道を経たれたスペインは、家康と敵対する豊臣秀頼に接近。オランダと徳川家、スペインと豊臣家、それぞれの思惑が絡み合う中で戦国最後の合戦が始まろうとしていた。

キーワード
ロドリゴ・デ・ビベロ・イ・アベルサ豊臣秀頼
グローバル経済誕生 世界を一変させた銀

日本の銀を巡って鎬を削ったオランダとスペインだが、ここまで銀を求めた背景にはグローバル経済の誕生が関係している。アメリカ大陸の銀山の銀から作られた銀貨は世界初の国際通貨として機能し、欧州の商人は銀貨で中国の陶磁器やアジアの香辛料を購入していた。欧州、アジア、アメリカ大陸を結びつけ、国際貿易を誕生させるほどの力を銀は握っていたのである。

世界の覇権をめぐる攻防 決戦 大坂の陣

戦国最大にして最後の合戦、大坂の陣では徳川家康と豊臣秀頼が激突する。日本の頂点を決めたこの戦いはオランダとスペインの覇権争いにも大きく関わっている。秀頼はスペインに自由な布教を許し、これを受けて各地のキリシタン大名が豊臣勢に合流。これによって豊臣勢は総勢10万の大軍にまで膨れ上がり、武器の調達にもキリシタン商人が大量の鉛を調達するなど活躍した。

キーワード
上智大学大坂の陣大阪城公園大阪府徳川家康日本キリシタン教会史豊臣秀頼

迎えた決戦では、豊臣勢が大坂城からの一斉射撃により徳川勢を圧倒。追い詰められた徳川勢は大砲による大坂城への直接砲撃を画策する。しかし、徳川勢の陣地から大坂城までは最短でも500mの距離があり、これは当時の大砲の有効射程を超えていた。このため、家康はオランダから最新式の大砲を購入。当時のオランダは海外の戦場で販売するため積極的に武器の開発を進めており、その威力は厚さ10cmの堅牢な木材をも容易く撃ち抜くまでに向上し、有効射程も500m以上。当時でも群を抜く性能を誇ったオランダ製の大砲から放たれた砲弾は大阪城の天守を射抜き、多数の死傷者を出す。これによって秀頼は戦意を喪失し、豊臣家は滅亡。戦国の世はここに終わった。同時に、家康の信頼を勝ち取ったオランダは最盛期には年間94トンにのぼる銀を手に入れる。こうしたオランダはスペインに対抗しうる力を手にしたのである。

キーワード
コーテック兵器試験場パウエル・コットン博物館大坂城徳川家康豊臣秀頼
世界の覇権をめぐる攻防 スペインVS.オランダ

天下取りの総仕上げとなった大坂の陣はオランダにとっても飛躍の契機となった。スペインに対抗しうる力を手に入れたオランダは、植民地争奪戦へとその戦いの性質を変えていく。舞台となったのは東南アジア。オランダはマラッカやモルッカ諸島など、スペインの経済的に重要な植民地を奪い取るべく暗躍を始めるのだった。

キーワード
マラッカ(マレーシア)モルッカ諸島大坂の陣
戦国日本が輸出した驚くべき商品

日本はオランダに向け、戦乱の中で性能を高めた火縄銃や日本刀などの武器を大量に輸出する。これに加えて日本が輸出したのが傭兵。戦乱が終わり、平和な時代の到来により職を失った歴戦の武士たちは戦場を求めて傭兵として海外に渡ったのである。スペックスは家康と交渉し、スペインとの植民地争奪戦に多数の日本人傭兵を投入。スペインのモルッカ諸島に彼らを投入した。

キーワード
モルッカ諸島ヤックス・スペックス国立公文書館徳川家康

モルッカ諸島は莫大な利益を生み出す香辛料が産出する土地で、スペインの最重要拠点。当時のスペインはこの地に堅固な要塞を築いており、オランダはこの地の攻略に何度も失敗していた。この戦争でオランダは夜闇に紛れて砲撃を加え、敵を釘付けにしている間に歩兵を上陸させるという作戦を展開。歩兵の先陣として日本人傭兵は敵陣を切り崩し、要塞の陥落を成功させる。勇猛な侍の武力を背景にオランダはスペインの植民地を次々に奪取し、後には世界の欧州船の4分の3を占めるほどオランダは急成長。戦国日本との結びつきで、オランダは世界の覇権を手にしたのである。

キーワード
インドネシアモルッカ諸島
世界史を塗りかえた戦国日本

戦国は日本と世界が初めて結びついた激動の時代であり、戦国武将の背景にオランダとスペインの覇権争いが存在していたのと同様に戦国日本の銀や侍は世界を大きく動かしたのである。

アムステルダム国立美術館

オランダのアムステルダム国立美術館には、オランダ東インド会社によって製造された大砲が収蔵されている。これは極めて不純物の少ない銅で作られているが、その原料ととなったのは日本の銅。この大砲はヨーロッパの三十年戦争に投入され、オランダの勝利に寄与。オランダの勝利とスペインの没落、宗教の時代から経済の時代へと至る世界史の大転換を巻き起こした。戦国日本はまさしく、当時の歴史の最前線にあったのだ。

キーワード
アムステルダム国立美術館オランダ三十年戦争旧オランダ東インド会社
(告知)
ひとりぼっちの”スパイ・イルカ”

NHKスペシャルの番組宣伝。

完全なる問題作

「完全なる問題作」の番組宣伝。

© 2009-2024 WireAction, Inc. All Rights Reserved.