バイデン氏は民主党内からの相次ぐ撤退要求に対して拒否する姿勢を示していて、来週から選挙活動に復帰すると選挙戦を続ける考えを改めて強調している。背景として、明海大学・小谷教授は「今バイデン氏を支えようとしているのは、家族、昔からの側近、クリントン夫妻のみ。それ以外はもうバイデン氏駄目だという流れになっている。ただ撤退するにしても、誰かがその代わりは務めないといけない、それを誰にするかも非常に大きな問題。トランプ氏に勝てる候補者がいないがために、いまの民主党の状況では相当なサプライズがないかぎりは共和党の勢いを止められないだろう」と話していた。4年前にトランプ氏が落選して選挙結果を受け入れない支持者たちが議会に乱入したとき、多くの人たちがこれは民主主義の最大の危機だと受け止めて、トランプ氏の再選はありえないと考えていたが、現実は全く違った。トランプ氏は今やきわもの的な存在ではないし、共和党を事実上支配している。米国だけではなくて世界中でトランプ型の政治家が登場。なぜトランプの主張が受け入れられるのかメディアはきちんと分析して報道する必要がある。一方「Make America Great Again」に代表される自国第一主義、本来主流派、多数派である人々が被害者のように振る舞って、問題の原因を少数派や外国人に背負わせ排除する。自国第一主義に伴うこうした危うさを私たちは再認識する必要がある。戦争を取材していて感じる矛盾というのが、戦争の行方は兵器供与という手段によって事実上大国が握っているということ。これまでもシリアやアフガニスタンの内戦を思い起こせば、大国の思惑に振り回されて人生を破壊された人々がたくさんいる。ウクライナの人々がそのような思いをしないように願うばかり。今回の取材をしていて印象に残っているのは、元共和党員で反トランプ活動をしているリンカーンプロジェクトの女性の言葉。10年前に戻れるとしたら何をやり直したいか聞いたところ「もっと人々の、つまり普通の人々の声に耳を傾けるべきだった」としみじみと話していた。この言葉は日本にも示唆を与えてくれている言葉だと思った。