財門集落に1人で暮らす97歳の加久雄さんのもとを訪ねた。現役の茅葺き職人で、集落には縄文時代の家を再現して加久雄さんが作った茅葺きの縄文小屋があった。息子たちが訪れて防犯対策をしている。8人きょうだいの長男として生まれた加久雄さんは、家計を支えるため建設業の出稼ぎで休むことなく働き続けた。太平洋戦争で召集されると航空機製作所で零戦を作った。終戦後茅葺き職人の道へ。29歳の時に結婚し2人の子宝に恵まれた。85歳の時に妻・みち子さんが脳出血で倒れ入院。以来山奥で1人暮らしとなり、1時間半かかる病院まで4年間毎日会いに行った。11年間の闘病生活の末、みち子さんは92歳で亡くなった。みち子さんが好きだった花々はどんどん大きくなり、集落内外から人が集まるようになった。妻が好きだった花を絶やしてはいけないと97歳になった今も加久雄さんは花の世話をしている。