ハインリックス一家は、家族性アルツハイマー病と向き合っている。その割合はアルツハイマー病のうちわずか1%。アミロイドβを多くつくる遺伝子によって確実にアルツハイマー病を発症。遺伝子を受け継ぐと親とほぼ同じ年齢で発症する事がわかっている。ビンス・ハインリックスは40代で発症し50歳で亡くなった。2012年子どもたちは父親が発症した年齢に近づいていた。2019年、デイビットがアルツハイマー病を発症し49歳で亡くなった。2023年、ティムとジョーは研究に参加した。ワシントン大学では、家族性アルツハイマー病の人たちの協力のもと、克服を目指す研究「ダイアン研究」が進められてきた。長年、発症までにどのように変化していくかは謎とされてきた。家族性アルツハイマー病の人たちは発症年齢が予測できるため発症のはるか前から調べ続けることで脳で何が起こっているのかが見えてきた。脳の中でアミロイドβが広がっていく過程を紹介した。発症した時、アミロイドβは脳全体に広がっていた。アミロイドβがたまり始めるタイミングは発症の20年以上も前だった。タウは急速な広がりを見せることが分かった。脳にわずかなタウが確認されると1年後には脳全体に広がってしまうという。発症のプロセスが分かってきたことで、予防や治療にも光が見えてきた。発症前の段階でアミロイドβを取り除き、アルツハイマー病の予防を目指す臨床試験も進められている。
