岸田総理大臣は訪問先の韓国で中国の李強首相と会談し、日本産水産物の輸入禁止措置を即時撤廃するよう改めて求めた。岸田総理は「戦略的互恵関係の包括的な推進と、建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性に沿って、様々な課題や懸案について進展を図っていく、こういったことを確認いたしました」と述べた。大きな焦点だった福島第一原発の処理水放出について、岸田総理は「IAEAなどが行っているモニタリングが中国の理解を促進することを期待する」と述べた。これに対して、李強首相は「海洋放出は全人類の健康に関わることであり、日本側が責任と義務を効果的に果たすことを望む」として、議論は平行線のままだった。その上で、岸田総理は、中国側がとっている日本産水産物の輸入停止措置について、改めて即時撤廃を求めた。そして、中国が台湾周辺で軍事演習を行っていることなどに関連して、岸田総理は「台湾海峡の平和と安定が国際社会にとって極めて重要である」と懸念を示した。これに対し、李強首相は「台湾問題は核心利益の核心である」という表現を使って、中国として譲れない問題であるとの考えを示した。一方で両首脳は、正当なビジネス活動が保障される環境を確保することの重要性を改めて確認し、日中ハイレベル経済対話を活用し、具体的な協力を拡大することで一致した。そして、岸田総理は、日本人の短期滞在ビザ免除措置の早期再開を要請し、中国当局に拘束された日本企業社員の即時解放も求めた。日中関係が冷え込む中、行われた会談だったが、ある外務省幹部は「とげとげしい雰囲気ではなく、かなり真剣なやりとりができた」と話していた。今回の会談を関係改善の糸口とできるかが問われる。きょう午前には、およそ4年半ぶりとなる日中韓首脳会談が行われ、経済などの分野で協力を深める共同宣言を採択する見通し。