インド政府には民間企業の参入を促すことで宇宙ビジネスを産業として発展させ、インドの経済成長につなげたいねらいがあるとみられる。現在、インドで民間の宇宙産業の市場規模は84億ドル。日本円にしておよそ1兆3000億円で世界全体の2%にとどまるが、政府は10年後には5倍に拡大させることができると強調している。そのために、外国からの投資の誘致も積極的に呼びかけている他、今月日本円にして185億円規模のベンチャーキャピタルを立ち上げ、民間の事業拡大をさらに後押しする姿勢を示している。さらに技術面でも民間企業を支援しようと、米国のNASAや日本のJAXAにあたるインドの政府機関ISROと民間企業をつなぐプラットフォームを立ち上げた。若いITエンジニアを多く抱えるスタートアップ企業にISROがこれまで培ってきた技術を転用することで、国際的に高い競争力を持った企業の育成を図りたい考え。宇宙開発を重視する背景にはインドを取り巻く安全保障環境もある。とりわけ、長年国境を巡って対立する中国の存在。インド政府は去年最新の宇宙開発計画の目標を発表し2035年までに、独自の宇宙ステーションを建設して2040年までに有人月面探査を実現するとしていることなどをニューデリーから記者が報告をした。