東京・中央区にある築地場外市場。日本の台所と呼ばれた築地市場の伝統を引き継ぐこの場所にも今、多くの外国人観光客が訪れている。大正時代から続く水産卸売会社・北田水産の北田喜嗣さんは今、町が変質してしまうことを懸念している。コロナ禍でできた空き店舗に外国人観光客をターゲットにした店が次々と出店。通りに食事をするスペースを設けたり派手な看板を設置したりする店が出てきているという。それぞれの店が築地ブランドを意識し切磋琢磨してきた伝統をどう守っていくか。北田さんを中心とした事業者たちは今年4月、店を構える際のガイドラインを作った。安心して買い物ができる環境を維持するため客引きや通りに備品を出すことなどを禁止。さらに街の調和を守るために連続性を意識したデザインを採用することなどを求めた。今、築地の町並みは少しずつ変わり始めている。外国人にも人気の魚屋は客の呼び込みにひと役買っていたショーケースを混雑を生む要因の一つになっているとして撤去。ホテルは黒いシックな外観を築地のイメージに合っていないとリニューアル。木材を利用したデザインに変更した。