中堅証券のフィリップ証券などが投資家が一口10万円から大作映画などの興行権を買える新たな仕組みを始めることが分かった。映画プロデューサー・佐倉寛二郎代表は三谷幸喜監督の作品などを手がけたヒットメーカー。打ち合わせの相手はフィリップ証券・永堀真社長。話しているのは来年公開の映画「宝島」で導入する新たな資金集めの方法。「宝島」は直木賞受賞作品が原作。妻夫木聡さん、広瀬すずさんなどが出演するいわゆる大作映画。この映画で「セキュリティトークン」というデジタル化した有価証券の仕組みを使う。従来、出版社やメディア企業などが大口で持っていた映画の興行権をデジタル有価証券にして小口化する。デジタル化することで従来の契約より改ざんしづらく、管理も簡単になるためコストを抑えて小口化することが可能になった。今回は興行権を一口10万円で投資家に販売する。投資家は関連グッズの取得や完成披露試写会への参加、エンドロールへのクレジット表示などができるようになる他、映画の劇場配給・DVD販売などの収益に応じた配当も受け取れる。クラウドファンディングと違い投資額や事業者側の調達額に上限はない。今回は製作費の一部・3億6800万円を24日からこの仕組みで集める。この商品を販売するフィリップ証券はブロックチェーン技術を持つ「セキュリタイズ」と連携し、今回の仕組みを実現した。セキュリタイズとは世界最大の資産運用会社「ブラックロック」とデジタル有価証券に特化したファンドを作ったり、日本のカゴメなどが社債を集めるときにもデジタル有価証券の仕組みを提供したりしている。