著名人に成り済まして、投資を呼びかける偽の広告。フェイスブックやインスタグラムなどに出ているこうした偽広告を入り口に、投資名目でお金を振り込ませるなどの手口の詐欺被害が後を絶たない。警察庁によると、去年1月からことし5月の間に、およそ5300件、金額にして700億円を超えている。こうしたデジタル空間の情報流通の問題について対策を話し合う総務省の検討会は提言の案を取りまとめた。具体的には、メタや旧ツイッターのX、LINEヤフー、グーグルといった、SNSなどを運営するプラットフォーム事業者の対応に関するもの。成り済ましやヘイトスピーチなど、人の権利を侵害する情報や、無登録業者の投資の呼びかけ、誇大広告など、行政機関から法令違反だと指摘された情報について、投稿の削除などの対応を迅速に行うよう国に具体的な制度設計を求めている。そして、もう一つの柱が災害時などの偽情報や誤った情報への対応。能登半島地震のあとは、Xで偽の情報などが広がった。東日本大震災の津波の動画が今回の地震の様子として投稿されていた。実際の救助要請かのような偽の情報も拡散。中には、偽情報により閲覧数を稼ぎ、収益につなげる目的のものもあったとされている。これについては、社会的影響が大きい偽情報や誤情報の場合は、表現の自由への配慮から削除ではなく、収益化の停止などの方法を取るべきだとしている。さらに、専門家やプラットフォーム事業者などが連携する協議会のような枠組みを国が設計するよう提言している。具体的には、偽情報や誤情報の拡大を防ぐ行動計画の策定、プラットフォーム事業者などの取り組みの評価検証などを行うとしている。この案は9月にも正式にまとまり、その後、国の政策に反映される見通し。