能登半島地震から4か月が経つが、被災地では「仕事がないから地域に戻れない」といった声が聞かれる。そうした中、地域の衰退を防ごうと、いち早く動きだした事業者を取材した。多くの店が営業再開をできずにいる、石川県能登町の商店街。明治から続く鍛冶店は地震で被害を受けたが、10日後には事業を再開し、職を失った地元の人、2人を雇い始めた。鍛冶店の4代目社長・干場健太朗さんの店は、地震で機械が壊れ、農具や漁具を修理する地元住民からの注文も止まってしまった。それでも雇用に踏み切れたのは、人口が減る中で、少しでも県外から注文を受けようと続けてきた“郵送の包丁修理サービス”があったからだった。会社のサイトやホームセンターなどで専用の箱を販売。修理する包丁を入れれば、そのまま郵送できる仕組み。箱に入れて包丁を送れば研いでもらえる。地震のあと注文が増えたこともあり、店の売り上げは5割にまで回復している。さらに干場さんは、この郵送の修理サービスをほかの事業者にも広げようとしている。声をかけたのは、木工工房と漆器店の店主。2人とも地震で被害を受け、店舗営業ができずにいる。全国から寄せられる支援の声に商品を通じて応えていきたいと考えている。