馬渕さんは「企業物価指数がプラスの状態が続くとサービスや商品価格に変化されて消費者物価指数にも影響を与える可能性がある。今回2.4%の上昇となっているが、コロナ禍からの経済再開とウクライナ戦争が重なったころは10%を超える時期があった。その時期に比べると企業物価指数の値上がり幅は落ち着いてきている。ただ注目すべきなのは10日に発表されたGDPの改定率でも企業の設備投資計画が前期に比べ鈍化している点。つまり企業間の取引で価格の上昇が続いていてかつ賃上げも進めなければならないとなると、企業としては設備投資をしずらい。こうなると経済活動そのものがフェーズダウンしないのか懸念される。賃上げが進まなければ消費も盛り上がらない。これは日本経済の大きな課題となっている。GDPの約6割をしめるのが個人消費だが、この個人消費は4四半期連続でのマイナス。つまり1年間マイナスだということ。15年前のリーマン・ショックの前後に個人消費のマイナスが4四半期続いたことがあるが、当時は日本だけでなく金融危機の影響は世界全体で広がっていた。しかし今はアメリカはコロナ禍の反動で消費が増え、景気は少し加熱状態にある。一方日本はGDPの推移で見れば景気後退に入りかかっている。利上げなど金融引き締めを行う判断材料の一つに実質賃金のプラスがある。しかしこれは少々のプラスになったとてさほど消費も増えず景気の回復は見込めないと思っている。今週金曜日には日銀の金融政策決定会合のあとに植田総裁の会見がある。市場では夏頃の利上げなどが観測されているが、早まった引き締めはできないはず。個人消費がマイナスである今の時期には政府には的確な金融政策が求められる。」などと述べた。