上昇が続く長期金利について。先週金曜日、長期金利が一時1.005%をつけて、およそ12年ぶりの高い水準となった。長期金利の上昇による影響は、プラスとマイナスがある。プラス面では、金融機関の定期預金の金利が引き上げられたり、生命保険の予定利率も引き上げられて保険料が安くなったりするというメリットがある。マイナス面としては、長期金利は住宅ローンの固定金利に連動するため、負担が大きくなることなどがある。今の状況を日銀はどう見ているのか。G7の会議があったイタリアで植田総裁は「長期金利は金融市場において形成されることは基本となる、市場の動向を今後とも丁寧にモニタリングしていくつもり」と述べ、金利の動向や水準についてのコメントは避けた。長期金利の上昇は日銀の金融政策が関係している。植田総裁がよく口にする「普通の金融政策」という言葉は、金融政策の正常化ともいえるが、これが金利上昇の背景にある。過去の長期金利の推移を振り返ると、2013年あたりから一気に下がっている。これは当時、黒田総裁になってから日銀が大量に国債を買ったためで、「黒田バズーカ」「異次元の金融緩和」と言われた時期。これに対して植田総裁は、短期金利を動かす普通の政策に戻そうということで、ことし3月にはマイナス金利を解除した。そして次の一手として市場が予想しているのが、長期国債の買い入れの減額。日銀が買う量を減らせば、国債の買い手が少なくなるので価格は下がる。そのため長期金利が上がるというのが、今、起きていること。買い入れの減額の日程について、市場では早ければ次の6月の金融政策決定会合で決めるのではないかという見方が出ている。