日本製鉄とUSスチールとの間で買収が合意したのは一昨年の12月。買収審査の期間が大統領選の年と重なったことで政治問題へと発展し、当時のバイデン大統領が禁止命令を出す異例の事態となった。日鉄としては鉄鋼市場で中国が台頭する中、需要が確実に見込める米国での足がかりとなるこの買収に社運をかけていた。米政府を法的に訴える一方、雇用への貢献などをアピールして説得を続け、最終的には投資額も1.5兆円に積み増した。今回承認の条件として経営の重要事項に拒否権を持つ「黄金株」を米政府に発行する。ただ日鉄側にとってはガバナンスへの監督権などにとどまるため、この影響は限定的とみられている。買収手続きは今月中にも完了し、USスチールは日鉄の100%子会社となる見通し。