石川・白山市に工場があるジェネリックメーカーの辰巳化学。取材中にトラブルが発生し、担当者が急ぐ。手にしたのは検品の際に不良品として弾かれた錠剤を取り出したルーペで確認すると充填している最中に錠剤に汚れがあったとのこと。汚れの原因次第ではすでに製造した薬の全てを廃棄する必要があるという。顕微鏡で拡大すると肉眼ではわからなかった茶色い部分がはっきりと確認できる。他の錠剤の品質には問題がないようであった。この日東京駅に降り立ったのは石川県からやって来た工場長の中岡さんである。珍しくスーツ姿で向かったのは駅前にある貸会議室。辰巳化学が年に1度、薬の販売会社を招いて開催する説明会である。辰巳化学にとっては取り引きを継続・拡大してもらうための大事な会議であった。インフルエンザが流行する今、特に注文の多い薬の製造が滞っていたのでそのことを謝罪した。どうすれば安定供給ができるのかずっと悩んでいた。
