アートの島として知られる直島には国内外問わず多くの観光客が訪れる。今回はこの直島の92歳の男性が集めたユニークな展示会に焦点を当てる。島の小さなギャラリーでは島民たちの取り組みを紹介する展示会が行われている。この島で育った92歳の男性が直島の風景やかつて見られた建物などの写真を地道に収集し冊子にまとめてきたコレクションが展示されている。壁一面に展示されているのは直島に関する新聞記事だけの切り抜きをまとめたスクラップブック。直島の記事40年分が17冊に収められている。展示を企画したアーティストの下道基行さんは「1人のおじいさんがやってきたことで、40年前の事までいろんな人が自分の記憶で辿れる可能性が開かれているから面白い」などと話す。収集を続けてきた田中春樹さんは「集めようと思ったわけでなく、自然とこうなった」などとした。田中さんは戦争の最中、学徒動員で島の製錬所で働き始め、この島の移り変わりを見てきた。定年退職後は、ボランティアで観光案内をするなどしてアートの島を支えてきた。これらの豊富な知識と経験を活かし、島の人や歴史の魅力を伝えたいと下道さんは考えたという。直島は産業の島からアートの島に変わり、田中さんは島で交流する人達のタイプも変わってきたそう。製錬所で働いていたときは普段接していたのは男ばかりだったが、いまアートと関わるようになり、男女問わず国内外の様々な人と交流するようになったと話したという。田中さんの展示の隣の部屋では、田中さんが保存していた記録を元にして、島民によるサークル活動の歴史を辿った展示も行われている。田中さんの展示は今月9日と16日の2日間、瀬戸内「」資料館で行われる。